2015年4月14日火曜日

今後は弱さが目立つと思われるシンガポール景気

 シンガポール金融管理局(MAS)は、シンガポールドル名目実効レート(S$NEER)の許容変動幅、変動幅の中心値、傾き、いずれも据え置くと発表した。Bloomberg調査によると、予想回答者15名のうち7名が追加緩和を予想。残り8名は政策の据え置きを予想していた。

 MASは為替レートを通じてシンガポールの金融政策をコントロールしており、金融を緩める際にはシンガポールドル名目実効レート(S$NEER)を低めに誘導する。MASはS$NEERにおける中心値と(非公開の)取引バンドの傾きを設定し、金融政策における目標(ターゲット)に合致するよう為替レートを管理することが義務付けられている。仮にS$NEERレートが大きく上昇し、必要以上に金融が引き締められると、MASは金融環境をターゲットに戻すべくSGD売りの介入を実施する。



 MASは通常、4月と10月の年2回金融政策を発表するが、今年は1月28日に緊急会合を開催し、S$NEERの「小幅で緩やかな上昇」を促す従来の方針を維持しながらも、通貨高の誘導ペースを緩めることを決定。今年通年のCPI予想も下方修正し、従来の+0.5%~+1.5%から-0.5%~+0.5%に引き下げた。

 シンガポール景気は冴えない状態が続いている。MASの金融政策発表と同時に発表された第1四半期のシンガポールGDPは2.1%増と前期と同じ伸び。ただ前期比年率では1.1%増と前期(同4.9%増)から減速した。業種別にみると、製造業は前年比3.4%減と2期連続の前年割れ。一方で建設業は同3.3%増と前期から加速し、全体の伸びを下支えした。

 しかしMASは声明文で世界景気は日米欧景気の力強さを背景に緩やかな回復が続く見込みと指摘。製造業のうち電子機器セクターは恩恵を受けるだろうとし、原油価格も年後半には上昇に転ずることから石油関連セクターも下支えされるとの見方を示した。こうした点からMASは今年のシンガポールGDP成長率は2~4%で推移するとの見通しを示した。

 インフレについてMASは、CPI見通しを-0.5%~+0.5%、コアCPI見通しを+0.5~+1.5%と1月の緊急会合時から据え置き。今後もCPIはしばらく鈍化するものの、その後は原油価格の上昇と医療費削減効果の剥落とともに今年末から2016年に向けて伸びが加速するとの見方を示した。またMASは、いつものように労働需給のひっ迫も指摘。中期的にはインフレ圧力が強まるリスクがあるとした。2月のシンガポールCPIは前年比-0.3%と4カ月連続の前年割れ。一方、コアCPIは同+1.3%と前月から小幅加速。いずれもMASの見通しレンジ内での推移となっている。

 今回の決定は、タカ派色の強いMASらしい結果といえるが、これによりシンガポール景気は、他アジア諸国に比べ伸び悩む展開が予想される。特に米国景気の持ち直しが期待される今年4-6月期や7-9月期は、シンガポール景気の弱さが目立つ展開が予想される。

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