2015年4月13日月曜日

中銀会合議事録から考えれば一方的な下落は考えにくいメキシコ・ペソ(MXN)

 メキシコ中銀は9日、3月26日開催分の会合議事録を公表した。議事録では、インフレに関し、会合メンバーが以下のように考えていることが示された。

(1)メンバーの過半(majority)は、インフレリスクに変わりはない(インフレは目標レンジ内での推移を続けている)とみている。
(2)メンバーのほとんど(most)は、メキシコ景気のスラック(弛み)が残っており、内需からのインフレ圧力の強まりがみられないと判断している。
(3)メンバーの過半は、2015年のインフレは当初の見通しを下回り続けていると指摘した。
(4)メンバーの過半は、メキシコ・ペソ(MXN)安が今のところインフレ全般を押し上げていないと判断している。
(5)メンバーの数人(some)は、今後数カ月のインフレが野菜価格の上昇によって強まる可能性があると指摘した。

 一方、景気については以下のような指摘がなされた。



(1)メンバーの過半は、メキシコ景気の停滞が当初の予想よりも長引いていると判断している。
(2)メキシコ経済には依然としてスラック(弛み)が残っており、民間内需は明確な回復を示してないとの指摘があった。
(3)メンバーの数人は、今後数カ月後のGDP成長率が緩やかな回復を示すと予想した。
(4)メンバー全員が、景気見通しが悪化していると指摘した。
(5)メンバーの一人は、今後のGDP成長率がメキシコ中銀の予想レンジの下限に近付く可能性があると指摘した。

 米金融政策についての言及は以下のとおりである。

(1)メンバーの過半は、米国の利上げ開始時期や利上げペースについて引き続き不透明感があると強調した。
(2)メンバーの一人は、米国とメキシコとの間の金融政策の相対的な状態を安定化させることの重要性を繰り返した。
(3)メンバーの二人は、米国の利上げに先んじる形で予防的に利上げすることは間違いであると指摘した。
(4)米金融政策とMXNの行方を今後も注視すべきとの指摘があった。

 会合議事録で明らかになったインフレと景気に関する会合メンバーの認識は、会合声明文で指摘された内容と同じであった。一方、注目される点は、米国の利上げとの連動性を重視するメンバーが一人しかいなかった一方で、二人が米国に先んじる形での利上げに反対の意向を示したことである。

 これまでメキシコ中銀の会合メンバーの一部が、米金融政策との連動性を重視していたのは、金利差拡大によってメキシコからの資本流出が加速を懸念したためと思われる。資本流出によってMXN安が進めば、インフレが上昇し、メキシコ中銀が、いわゆるビハンド・ザ・カーブ(インフレに対して対応が遅れる状態)に陥るリスクも高まる。ならば、米利上げが見込まれる以上、メキシコ中銀も利上げに備えるべき、となる。

 ただMXNは昨年9月1日から先週末(4月10日)までに対ドルで14.0%下落(13.096→15.226)。一方で、コアCPIは昨年9月の前年比+3.34%から今年3月の同+2.45%と鈍化。メキシコ中銀の議事録を見るまでもなく、MXN安の影響は(原油安の影響もあって)みられない。

 一方でメキシコ景気は、会合議事録でも指摘されたように冴えない状況が続く。3月のIMEF製造業指数は51.4と市場予想や前月を上回ったが、昨年秋口の水準を下回ったまま。一方、同月の非製造業指数は49.3と市場予想や前月を下回り、再び50割れとなった。2月のメキシコ景気先行指数は前月比-0.09と6カ月連続の低下。今週は3月のANTAD既存店売上高が発表されるが、市場予想(前年比5.0%増)を下回る可能性はあると思われる。

 メキシコ中銀とすれば、景気が軟調であるほか、米利上げ開始時期が当初の見込みより遅くなりそうだ、という見方もあって、利上げ準備を急ぐ必要もない。一方で、MXN安によるインフレ加速が現時点では見られないとはいえ、理屈の上ではインフレ加速のシナリオが排除しきれない以上、多少、景気が軟調であっても即時に利下げをするわけにはいかない。結果として、政策金利は据え置きが続くことになる。

 MXNは3月に入ると対ドルで下落が続いたが、3月中旬以降は持ち直し、概ね14.8~15.4のレンジ内相場となっている。メキシコの政策金利は(メキシコにとっては低い水準とはいえ)、グローバル投資家にとっては、それなりに魅力的な水準。MXNが対ドルで直近安値の15.6近辺まで下げてくれば、金利差に注目した資金フローもメキシコに流入しやすくなると考えられ、MXNの一方的な下落は回避されると思われる。

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