2015年7月30日木曜日

9月の利上げ開始の可能性を残す一方で12月の利上げ開始の可能性を後退させた7月の米FOMC

日本時間の本日(7月30日)未明に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)声明は、予想通りとはいえ、利上げ開始時期に関し具体的な示唆を与えず。ただ、6月FOMC声明からの細かい修正を踏まえると、FOMCは9月の利上げ開始の可能性を残す一方で、12月の利上げ開始の判断を後退させたと考えられる。

今回の声明と6月の声明を機械的に比べると、変更された点はわずか6点。そのうち5点が、米景気の現状認識を示す第1段落に集中している。第一段落で修正された6点は以下のとおりである。

(1)米経済の拡大
6月の声明では第1四半期の減速を指摘したが、今回の声明では第1四半期の減速に関する言及を削除。代わりに、米経済の拡大が「最近数カ月続いている」とした。

(2)米住宅市場
6月の声明では「いくぶんの(some)改善」が見られるとされていたが、今回の声明では「さらに(additional)改善」が見られる、と上方修正された。

(3)雇用の増加
6月の声明では「雇用増加ペースは加速している」とされていたが、今回の声明では「労働市場は、堅調な雇用増とともに改善が続いている」と労働市場の改善が強調された。

(4)労働市場の余剰資源(未活用部分)
6月の声明での「やや(somewhat)縮小した(diminished)」という表現が「年初から(since early this year)縮小している(has diminished)」に変更。余剰資源の縮小が継続している点が強調された。

(5)エネルギー価格
6月の声明では「エネルギー価格は安定している」との記述があったが、今回の声明では、この記述が削除された。

米経済の見通しを説明する第2段落は、6月の声明から変更なし。米経済は緩やかな拡大と労働市場の改善が続くという見通しや、見通しのリスクがおおむね均衡しているとの記述は据え置かれ、海外要因に対する懸念も示されなかった。第1段落で米経済の現状認識が(若干ながらも)上方修正されていることから考えると、利上げ開始の時期は近付いているとの印象を与えている。

6月の声明からの最後の変更点は、第3段落の利上げ開始時期に関する記述。6月の声明では、労働市場のさらなる改善が見られた時に(when it has seen further improvement)利上げが開始される、と記述されたが、今回の声明では、労働市場の「あといくぶん」のさらなる改善が見られた時に(when it has seen “some” further improvement)利上げが開始される、に変更された。つまり、原文(英文)での変更点は、seenとfurther の間にsomeが付け加えられただけである。

このsomeに対する解釈は、いろいろとあるのかもしれない。しかし文脈から素直に考えれば、このsomeは、あと数回の雇用統計で労働市場の改善が確認されれば利上げが開始される、という意味に捉えるのが自然と思われる。9月のFOMCまでに米雇用統計は2回(7月分と8月分が)発表される。つまり数回(some)を2回とすれば、9月のFOMCで利上げが開始されることになる。数回が3回となれば、利上げ開始は10月のFOMCとなる。

この考え方を使うと、12月のFOMCで利上げが開始されるとした場合、数回は5回を意味することになってしまう。一般的にはsomeが5回といった多くの回数を意味することはない。仮にFOMCの総意として、12月の利上げ開始を強く想定しているのであれば、6月の声明にわざわざsomeという単語を追加する必要はないと考えるのが自然と思われる。

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