2015年7月30日木曜日

物価が上がると円安?円高?

 物価は、その名の通り、物(モノ)の値段のことです。物価には、形のある物体を指す「物(モノ)」という言葉が使われていますが、形はないものの、売り買いがなされるサービスなどの価格も物価の一つと考えます。

 物価が上がる国では、その国の通貨の需要が弱くなる傾向にあります。逆に物価が下がる国では、その国の通貨の需要は強くなる傾向にあります。これは「一物一価の法則」という考え方で説明されます。

 「一物一価の法則」とは、同じ製品で同じタイミングで販売されるのであれば、どこの場所(国や地域)であっても同じ価格である、という考え方です。たとえば、スマホやタブレットといった製品は、どこの国で販売されていても、同じ機種であれば(言語の部分を除けば)同じ性能をもつと考えられます。同じ性能をもち、かつ同じタイミングで販売されるのであれば、どこの国であっても販売価格も同じであろうと考えられます。

 世界中で大ヒットしているスマホが日本と米国で売られているとします。このスマホの価格は、日本では5万円、米国では500ドルだとします。日本語と英語の違いはあるのかもしれませんが、このスマホは同じものですから、日本で使おうと米国で使おうと同じ性能を持つと考えられます。ここで「一物一価の法則」が成り立つのであれば、

5万円=500ドル
となります。
計算すると、円とドルの関係は、
100円=1ドル
となります。

 ここでスマホの価格が変わった場合について考えてみましょう。日本のスマホの価格は変わらないのに、米国のスマホの価格は1年後に550に上がったとします。「一物一価の法則」が成り立つのであれば、

5万円=550ドル
となりますので、
円とドルの関係は、
90.9円(←5万円÷550ドル)=1ドル
もしくは
100円=1.10ドル
となります。

 1年前は100円=1ドル、だったのに、米国だけ価格が上がった1年後には90.9円=1ドルとなり、米ドルの価値が100円から90.9円に下がった、つまりドル安(円高)になったことが分かります。

 米国でのスマホの価格が上がったことで、同じスマホを買うのにより多くのドルが必要となりました。これは、米ドルで何かを買うことができる力(購買力といいます)が下がったと考えられます。一方で日本ではスマホの価格は変わらなかったわけですから、日本円の購買力は変わりません。米ドルの購買力だけが下がったわけですから、円をドルに換える需要は弱くなると考えられます。

●一物一価の法則が成り立つのであれば
物価が上がる=その国の通貨の購買力が下がる=その国の通貨の需要が弱くなる

 では次に、米国のスマホの価格は変わらないのに、日本のスマホの価格が下がった場合を考えてみましょう。ここでは、日本で5万円で売られていたスマホが、1年後に4万円に値下げされたとし、米国で500ドルで売られていたスマホは、1年後も500ドルのままだったとします。さきほどと同じように、ここで「一物一価の法則」が成り立つのであれば、

4万円=500ドル
となりますので、
円とドルの関係は、
80円(←4万円÷500ドル)=1ドル
もしくは
100円=1.25ドル
となります。

 1年前は100円=1ドル、だったのに、日本だけ価格が下がった1年後には100円=1.25ドルとなり、日本円の価値が1ドルから1.25ドルに上がった、つまり円高になったことが分かります。

 日本でスマホの価格が下がったことで、より少ない日本円でスマホが買えるようになりました。これは、日本円の購買力が上がったと考えられます。一方、米国ではスマホの価格は変わらなかったわけですから、米ドルの購買力も変わっていません。日本円の購買力だけが上がったわけですから、ドルを円に換える需要は強まると考えられます。

●一物一価の法則が成り立つのであれば
物価が下がる=その国の通貨の購買力が上がる=その国の通貨の需要が強くなる

 このように一物一価の関係から為替レートの動きを考えることを、経済学の世界では「購買力平価説」といいます。

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