2015年7月27日月曜日

利上げ休止まで売りの動きが続きそうなブラジル・レアル(BRL)

 ブラジル政府は現地時間22日の金融取引終了後、2015~2017年のプライマリーバランス(PB)黒字目標(対GDP比)を以下のように下方修正することを発表した。

【ブラジル政府のPB黒字目標(対GDP比)、左が従来、右が変更後】
 2015年:1.1%→0.15%
 2016年:2.0%→0.7%
 2017年:2.0%→0.7%

 今回の発表の前から、市場では税収減と支出削減の遅れからPB目標が対GDP比0.4~0.6%程度に引き下げられるとの見方が広がっていたが、今回の下方修正は市場の見方を上回るものとなった。

 ブラジルのレビ財務相は、PB目標を達成可能かつ適切な水準に引き下げることは、経済の不確実性を低くするために必要なことと発言。しかしブラジル政府がみずから財政収支改善の遅れを認めたことで、翌23日のブラジル金融市場では株式、債券、通貨がいずれも売りが先行。ブラジル・レアル(BRL)は対ドルで3.35台半ばと2003年3月末以来の安値に下落した。

 大手格付け会社ムーディーズは、ブラジル債の格付けを定期見直し中。一部からは、PB目標の下方修正で、格付けの可能性が指摘されている。ムーディーズによるブラジル債格付けはBaa2で見通しは「ネガティブ」。格下げとなれば、外貨建てブラジル長期債格付けは、BBB-/Baa3/ BBBと、大手格付け会社3社中2社で投資適格級の最低水準となる。

 第3四半期のBBHソブリン格付けモデルでは、外貨建てブラジル長期債格付けがBB+/Ba1/BB+と、とうとう投機的水準(ジャンク級)に陥落。ムーディーズが格下げをしても、今後もブラジル債の格下げ懸念はBRLの重石として残り続けると思われる。

 ブラジル中銀は日本時間30日、金融政策決定委員会を開催し政策金利を発表する。政策金利は50bp引き上げられ14.25%となる見込み。ただインフレ圧力が後退する兆しを見せていないほか、BRL安が進展したこともあって、ブラジル中銀は追加利上げの姿勢を示し続けるだろう。

 本来であれば金利高はBRLのサポート要因。しかし金利高はブラジル景気を下押しする。ブラジル景気のさらなる悪化は、ブラジル政府の税収減につながり、財政収支の改善見通しに対する見方も厳しくなる。結果として、ブラジル債格付けのジャンク級入りが意識されやすくなり、利上げがBRL買いにつながりにくい。

 矛盾しているかのように思えるかもしれないが、ブラジル中銀が利上げを休止できる状態になるまで、BRL売りの動きは続くとみた方が合理的のように思われる。USD/BRLの次の上値の目途は2002年10月の高値から2011年7月の安値の76.4%戻し水準である3.42近辺と思われる。

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