2015年7月13日月曜日

軟調地合いに転ずると思われるイスラエル・シュケル(ILS)

 ギリシャ情勢や中国株の先行き不透明感を背景に新興国通貨が軟調に推移するなか、イスラエル・シュケル(ILS)が底堅い動きを続けている。先週末時点での対ドルでの年初来パフォーマンスは、ILSが3.6%の上昇と、新興国通貨の中ではRUB(7.7%)に次ぐ上昇となっている。

 しかしILSの値動きをよく見ると、対ドルでの上昇基調は6月24日に終了。その後は方向感に欠ける動きが続いている。イスラエルと敵対関係にあるイランは、欧米など6カ国と核開発問題について協議を続けてきたが、交渉期限とされた先月末でも合意には至らず、新たな期限とされた本日(7月13日)にいたっても、日本時間午後1時現在、合意に至っていない。イランのロウハニ大統領は、このまま交渉が決裂すれば、これまで以上の核開発を再開すると述べており、イスラエルの地政学的リスクの高まりがILSの上値を抑えている。

 地政学的リスクの高まりに加え、イスラエルのファンダメンタルズの変化にも注意が必要だ。5月のイスラエルCPIは前月比+0.2%と3カ月連続のプラス。イスラエル経済の重石となり、ILSのサポート材料となっていたデフレ圧力はかなり後退している。

 5月のイスラエル貿易収支(季調値)は9.1億ドルの赤字と前月から赤字額が3億ドルほど拡大。輸出が前年比11.0%減と3カ月ぶりの二桁減となるなど、過去のILS高と原油安の影響で貿易収支の改善に歯止めがかかりつつある。

 一時はバブル化が懸念されていたイスラエルの住宅価格の伸びも鈍化傾向を強めている。3月のイスラエル住宅価格は前年比+3.4%と2012年8月以来の低い伸び。イスラエル中銀による追加緩和のハードルがやや低くなってきた。

 こうしたなか、イスラエル中銀は6月22日、政策金利を0.10%で据え置き。7月6日に公表された会合議事録によると、同中銀の会合メンバーはILS高が輸出増の重石となると指摘し、過剰なILS高に対しては外貨購入策を含めた金融政策で対応する意向を示した。

 本日、イランと欧米6カ国による核協議で合意が成立すれば、ILS買いの動きが強まる場面もあるかもしれないが、イスラエルのファンダメンタルズの変化を考慮すると、ILSの上値追いは無理があるように思える。米国の利上げ開始観測が強まれば、ILSも他新興国通貨と同じように軟調な動きに転ずると予想される。

 USD/ILSの上値の目途は、3月20日の年初来高値(4.068近辺)から6月24日の年初来安値(3.745近辺)の38.2%戻し水準である3.869近辺と200日移動平均線上の3.881近辺と思われる。


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