2015年7月16日木曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年7月15日)

 7月15日のロンドン市場はドル、ユーロともに小動きが続いた。ドル円は123円台半ば近辺でのもみ合いとなった。米債利回りが動意に欠ける動きとなったものの、日経平均先物は底堅く推移し、下げて始まった欧州株も取引中盤にはプラス圏に浮上。この日予定されているFRBイエレン議長の講演を前にドル円は様子見姿勢が強かった。

 ユーロドルは取引前半に1.10ドルちょうど近辺から1.10ドル台前半に小幅上昇したが、その後は同水準で膠着感の強い展開。ギリシャ議会による緊縮財政策の承認を前にユーロも様子見姿勢が強まった。欧州委員会は、ギリシャへの金融支援を再開するまでのつなぎ資金を提供するため、EFSF(欧州金融安定メカニズム)を活用するよう提言。提言によると、つなぎ融資は最長3カ月で、70億ユーロ規模。ギリシャは20日にECB保有の35億ユーロの国債償還を控えているが、EUが検討している金融支援の発動が最短でも7月末であるため、短期の資金繰りが懸念されていた。ただ、同提言に対し英国やチェコなどユーロ不参加国から反対の意見が出ており、英国はSMP利益の利用を提案している。

 ポンドは英経済指標を受けて軟調な動きとなった。6月の英失業率は2.3%と市場予想通り前月と変わらず。しかし同月の英失業保険申請件数は7千件増と市場予想に反し2012年20月以来のプラス。前月分も上方修正された。また5月の英週平均賃金(3カ月平均)は前年比3.2%増と市場予想を小幅下回った。英雇用環境の改善に一服感が出たことから指標
発表後、ポンドは売りが先行。ポンドドルは1.56ドル台半ば近辺から1.56ドルちょうど近辺に下落。その後、1.56ドル台前半に反発したが、上値は抑えられた。

 NY市場はドル買い優勢の展開となった。取引序盤にFRBイエレン議長の議会証言に向けた準備原稿が公表。これによると同議長は、米経済が予想通りに展開すれば、今年のある時点でFFレートの誘導目標を引き上げ、金融政策姿勢の正常化へ踏み出すのがふさわしい経済情勢になる公算が大きいとの見解を表明。米労働市場はまだ最大雇用を達成していないほか、ギリシャ情勢は困難な状態が続いており、中国も高水準の債務や不安定な金融情勢などの課題に直面していると指摘。ただ、こうしたなかでも、米労働市場と米経済が一段と改善する見通しはあるとの見方を示した。FRBはイエレン議長の証言原稿とともにFRB理事会がまとめた経済と金融市場をめぐる報告書も提出。同報告書では、FRBの金融政策がECBや日銀など世界の主要中銀とは逆の方向に向かうとの見方からドル相場が押し上げられたことで米国の輸出と経済が損なわれ、FRBの見通しの不透明感が増したとの見方を提示。また、債券市場が圧迫されれば流動性問題が出てくる恐れがあるとも指摘。ただ、流動性に著しい悪化は見られないとした。

 FRBイエレン議長の準備原稿の公表と同時に発表された6月の米PPIは前年比-0.7%と市場予想ほど落ち込まず、コアPPIは同+0.8%と市場予想を小幅上振れ。7月のNY連銀製造業景況指数は+3.86と市場予想を小幅上回った。ドル円はイエレン議長の準備原稿と米経済指標を受けて123円台後半に上昇。一方、ユーロドルは1.09ドル台後半に下落。米債利回りは上昇後、上げ幅を縮める動きとなったが、6月の米鉱工業生産が前月比+0.3%、同月同国の設備稼働率が78.4%と、いずれも市場予想を上回ったこともあり、ドル買いの動きは継続。ドル円は取引中盤に124円手前まで上昇。ユーロドルは一時1.09ドル台前半と、この日の安値を更新した後、1.09ドル台後半に反発したが、上値は抑えられた。

 取引中盤に始まったFRBイエレン議長の議会での質疑応答では、議員らがFRBに対する議会の監督強化を求めたほか、イエレン議長や他のFRB当局者が議会に対する説明責任を果たしていないと批判。これに対し、イエレン議長は、金融市場に対する情報発信や記者会見の実施などが、FRBが高水準の透明性を維持している証しだと強調。体系的な政策が必要と考える」としつつも、金融政策スタンスが限定的な数値にのみに基づく規則に従うことには強く抵抗すると述べた。

 取引後半にはクリーブランド連銀のメスター総裁の講演原稿が公表。原稿によると、同総裁は米経済がFFレートの上昇に対応できると言明。そのうえで、小幅な利上げは、金融政策の引締めではなく、これまでの景気回復と今後も継続することが見込まれる回復を踏まえれば、緊急的な措置であるゼロ金利からの引き上げは可能だと指摘。利上げ開始時期については、利上げがFOMCの1、2回分前倒しされても、後ずれしても大差ないとの考えを示した。

 取引終盤に発表されたFRBの地区連銀経済報告(ベージュブック)は、、総括判断で、米経済活動は5月中旬から6月にかけて、全12地区で拡大したと指摘。雇用情勢については、全地区を通じて雇用が増えたまたは横ばいの状態だったが、製造業やエネルギー産業で一時解雇が行われたとの報告が一部あった一方で、アトランタなどいくつかの地区では、労働需給のひっ迫が指摘された。

 取引後半は米債利回りが低下したこともあってドル買いの動きは後退。ドル円は123円台後半で推移。ユーロドルは一時1.09ドル台前半に反落後、1.09ドル台半ば近辺でのもみ合いが続いた。

 カナダドルはカナダ中銀による利下げを受けて下落した。5月のカナダ製造業売上高は前月比0.1%増と市場予想を下振れ。6月のカナダ中古住宅販売件数は前月比0.8%減と5カ月ぶりのマイナスとなった。カナダ中銀は政策金利を25bp引き下げ0.50%にすることを発表。同中銀は声明で経済をフル稼働の状態に、かつインフレ率を持続的に目標に回帰させるために、現時点で追加的な金融刺激策が必要と指摘。住宅市場の状況や家計債務の拡大による脆弱性の高まりを認識しつつも、国内経済には著しく、複雑な調整が進行しているとし、追加刺激が必要と強調。そのうえで、引き続き、住宅市場のソフトランディングを想定しているとした。またインフレ見通しの主要リスクとして、石油・ガス関連投資の予想以上の縮小、非エネルギー関連商品の輸出不振、米国の堅調な民間需要が指摘された。ドルカナダはカナダ中銀による利下げを受けて1.28ちょうど近辺から1.29ちょうど近辺に急騰。取引中盤は同水準でのもみ合いが続いたが、後半に入ると、原油価格の下落もあって1.29台半ば近辺に上昇。終盤は1.29台前半での推移となった。

 FRBイエレン議長は年内の利上げを公約化。昨日発表された米小売売上高が弱かったことから9月の利上げ開始観測は広がりを見せていないものの、ドルは底堅い動きとなった。本日東京市場でもドル円は下値の堅い動きが予想される。一方、ユーロは、日本時間午前6~9時頃とみられるギリシャ議会での緊縮財政案の承認がほぼ織り込み済みということもあって反応は限定的と予想。米欧の金融政策の方向性の違いを背景に上値の重い展開が続くと思われる。アジア通貨は米利上げ開始観測を背景に対ドルで軟調な推移となりそうだ。

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