2015年7月9日木曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年7月8日)

 7月8日のロンドン市場はドルが下げ渋る動きとなった。ギリシャ・チプラス首相は欧州議会で演説し、ギリシャ国民の選択は欧州との決裂のためではなく、同国政府は最終的な決裂を回避するための努力をしていると説明。また事前の報道通り正式に3年間の融資ファシリティをEMSに申請したことを明らかにした。これを受けてユーロドルは取引前半に1.10ドルちょうど近辺から1.10ドル台半ば近辺に上昇。ただ取引後半に入りチプラス首相が、ユーロ圏に留まる意思を表明するとともに、詳細な改革案を翌9日に提出する意向を示すと、米債利回りは上昇。ドル買いの動きが強まり、ユーロドルは再び1.10ドルちょうど近辺に反落した。

 ドル円は121円台後半で上値の重い動き。取引後半には一時121円台前半に下落する場面もあったが、後半には米債利回りの上昇を受けてには再び121円台後半に反発した。欧州株は前日終値水準でに推移し、日経平均先物は軟調な推移。中国株の大幅続落を受けて市場のリスク回避姿勢は根強いままだったが、米債利回りの上昇がドル円をサポートした。

 NY市場はドルが軟調な動きとなった。取引前半は注目される米経済指標の発表がなく、米債利回りの上昇も一服。するとドルは売り優勢の動きに転じ、ドル円は121円ちょうど近辺まで下落する一方、ユーロドルは1.10ドル台後半に反発した。中盤に入りNY証券取引所ですべての上場株式の取引が停止する障害が発生するとドル売りは加速。ドル円は120円台半ば近辺と5月19日以来の安値に下落した。

 ユーロドルは取引中盤に1.11ドルちょうど手前まで上昇する場面もあるなど、1.10ドル台後半で底堅く推移。フランスのバルス首相はギリシャ支援の基本は策定されており、合意は手の届く範囲にあると発言。フランスはギリシャがユーロ圏から離脱することに反対するとも述べた。また一部メディアはECBがギリシャ市中銀行向けELAの上限を維持したと報道。ユーロの下値をサポートした。

 後半に入り、NY証取の取引停止を受けて低下した米債利回りが下げ止まると、ドル円は120円台後半に反発し、ユーロドルは1.10ドル台半ば近辺に反落。その後、FRBはFOMC議事録(6月16、17日開催分)を公表。メンバーは、米経済が、いずれかの時点で利上げ正当化できる状況に引き続き近づいているとの認識を表明。しかし、1人を除く全メンバーが、金融政策の正常化の開始基準を満たしたと判断するには、経済成長の強まりや労働市場状況の改善継続、さらにはインフレが委員会目標に向けて伸びていることを示す新たな情報が必要になると指摘。1人だけが6月の利上げ準備はできているとの認識を示したが、多くは逆に早期の利上げに警戒感を示した。また多くのメンバーが、ギリシャ問題に懸念を表明。また数名が、中国景気の先行き不透明感に言及した。

 FOMC議事録の公表と同時に始まった講演で、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁はECBがギリシャ問題による影響がユーロ圏の他各国に伝染することはが遮断できるとし、同問題が世界経済に与える影響は大きくなることはないと発言。また中国当局は政策行動を取る意思と手段があるとも述べ、ギリシャ、中国の両問題に対し、比較的楽観的な見方を示した。一方、利上げについては、物価が2%へ向かっていくとの確信が増すまでは様子見を続けると発言。米国では雇用改善が続いていることに加えて、最近は賃金も上昇しているとし、経済状況は全体として極めて良いと指摘したが、それにも関わらず物価の基調が底打ちし2%に向かって上昇し始めようとしているという説得力のある兆候は出てきていないとも述べた。

 FOMC議事録公表後に、ドルは小幅下落。ドル円は120円台半ば近辺に反落する一方、ユーロドルは1.10ドル台後半に反発した。ただドル円は取引終盤に120円台後半に小幅反発した。

 カナダドルは方向感に欠ける動き。5月のカナダ住宅建設許可件数は前月比14.5%減と市場予想を大きく上回る減少。これを受けてドルカナダは取引序盤に1.27台後半に上昇したが、その後は1.27台前半での推移となった。

 ギリシャ債務協議は、徐々にではあるが、合意成立に向けた動きが継続。一方で、中国株の続落が市場のリスクセンチメントの重石となっている。米FOMC議事録では、FOMCにてギリシャ、中国の両問題が議論され、懸念が共有されたことが示されたが、この議論は両問題が深刻化する前のもの。今後は、両問題に対する懸念が強まることでドル売りの動きが強まる可能性も出てきた。米債利回りは低下基調を継続していることもあって、本日東京市場でのドル円は上値の重い展開が続くと思われる。一方、ユーロはギリシャ債務協議の進展期待から底堅い動きとなりそうだ。アジア通貨は米債利回りの低下を背景に対ドルで下値の堅い動きが見込まれる。

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