2015年7月21日火曜日

対ドルで下げ渋りはあっても上昇は期待しにくい南アフリカ・ランド(ZAR)

 米利上げ観測が強まっている割に、南アフリカ・ランド(ZAR)が対ドルで下げ渋る動きを続けている。USD/ZARは6月1日時点で12.2台。昨日(7月20日)は12.4台だったからZARは下落したことになるが、他新興国通貨に比べれば下げ幅は小さい。

 ZARが下げ渋る背景の一つに南アフリカ中銀による利上げ観測がある。南ア中銀は23日に金融政策決定会合を開くが、25bpの利上げを決めるとの見方が強まっている。Bloomberg調査によると、予想回答者26名中15名が25bpの利上げを予想。残り11名が金利据え置きを見込んでいる。

 貿易収支や財政収支が緩やかながらも改善傾向にあることもZARをサポートしている。5月の貿易収支は49.9億ランドの黒字と赤字予想に反し5カ月ぶり黒字を記録。輸出が前年比14.9%増と高い伸びを示した一方で、輸入が前年比1.0%減となったことで貿易収支が大きく改善した。また同月の財政収支は185.2億ランドの赤字と3カ月連続の赤字となったが、前年同月(223.4億ランドの赤字)から比べれば赤字額が縮小。年初来(1~5月累計)でみると、今年の財政赤字は761.5億ランドと昨年同期の975.0億ランドから大きく改善している。

 ただ南アフリカのインフレと景気は改善の見込みが立たないまま。ZARが対ドルで下げ渋ることはあっても、上昇を期待することは難しそうだ。6月の南アフリカCPIは前年比+5.0%と前月から加速し、コアCPIは同+5.7%と高止まり。ZAR安の進展で輸入物価は上昇しており、25bp程度の利上げでインフレ圧力が早期に後退するとは期待しにくい。

 南アフリカの景気も先行き不透明感が強い。昨年秋の石炭貯蔵施設の水浸し被害を機に、南アフリカの電力不足は深刻化。電力生産量は8カ月連続の前年割れとなっており、生産活動、消費活動がともに抑制されやすい。現に、5月の南アフリカ製造業生産は前年比1.4%減と2カ月連続の前年割れ。同月同国の実質小売売上高は同2.4%と伸び悩みを続けている。5月の輸出が大きく増加したことで同国景気の先行きを期待する声もあるようだが、生産活動が抑制されている以上、輸出の増加は国内物価の上昇にもつながりかねない。

 USD/ZARは2011年後半から上昇(ZAR安)基調が続いたまま。ZARの上昇ストーリーを期待するなら、最低でも12割れを確認する必要があると思われる。 

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