2015年8月27日木曜日

大きく低下していない9月の米利上げ開始の可能性

 市場では9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが始まるとの見方が後退しているようだ。FF金利先物市場から算出される9月FOMCでの利上げ確率は、先週月曜日(8月17日)の48%から、昨日(26日)には24%に低下。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、昨日の講演での質疑応答で、年内に利上げが可能になることを希望するとしながらも、9月の利上げ開始の可能性は依然に比べ説得力を欠くとの見方を示したことも響いているのかもしれない。

 市場が9月の利上げ開始期待を後退させている最大の理由は、金融市場の混乱。先週初めに17500ドル台で推移していたダウ工業株30種平均は、週明けの24日に一時15370ドルと2000ドル以上も下落。米10年債利回りは、一時1.90%ちょうど近辺と、4月27日以来の低水準に急低下した。こんな状況では、利上げに前向きなFRBイエレン議長も利上げ開始に躊躇し、FOMCでは利上げを見送るとの見方がもっともらしく見える。

 ただ金融市場が混乱している間も、米経済指標は米国景気が底堅さを増していることを示している。7月の米住宅着工件数は120.6万戸と市場予想を上回り、2007年10月以来の高水準。同月の米中古住宅販売件数は559万戸と、こちらは2007年2月以来の高水準を記録した。昨日発表された7月の米耐久財受注は前月比2.0%増と、前月に4.0%増となったにもかかわらず2カ月連続のプラス。GDP算出に用いられるコア資本財出荷は同0.6%増と同じく2カ月連続のプラスとなり、第3四半期の米GDP成長率が前期に続き堅調に推移するとの期待を高めた。

 FRBイエレン議長が議会証言などで繰り返し表明しているように、利上げ開始のタイミングは米雇用ならびに景気の状況次第。米景気に変調の兆しが見られないのであれば、利上げ開始のタイミングにも大きな変化がないとみるのが自然となる。

 利上げ開始のタイミングを見定める上でもう一つの重要なポイントである米国の雇用環境にも大きな変化は見られない。8月15日の週の米新規失業保険申請件数は27.7万件と、市場予想(27.0万件)や前週(27.3万件)を超え、1973年11月24日週以来の低水準となった7月18日週から4週連続で増加。しかし8月の米雇用統計のサンプル週に該当する8月15日の週の水準は、前月の同時期にあたる27.8万件よりは低水準。9月4日に発表される8月の米雇用統計は、7月と同様に底堅い結果になるとの見方が強まっている。

 もちろん、たとえ8月の米雇用統計が底堅い結果に終わったとしても、市場は9月のFOMCまで慎重な見方を続けるだろう。昨日のダウ工業株30種平均は16285.51ドルと、前日から4%(619.ドル)も上昇した。しかし昨日の日中高値や終値は、前日(25日)の高値を越えられず、チャート上では米国株の下落トレンドが続いた格好のまま。米国株の先行き懸念が続く中、9月のFOMCで利上げ開始が決まると、米国株が再び大きく売られるとの見方も成り立つ。

 しかし米国債市場は、米国株と違い一時期のような混乱から立ち直りつつある。昨日の米10年債利回りは2.175%と、先週初め(17日)の水準近くまで上昇。同国2年債利回りも0.672%と先週初めの水準(0.706%)まで戻していないものの、今週記録した最低水準(0.535%)からは大きく反発している。原油先物価格は、先週初めの42ドル台から38ドル台まで低下したことも考えると、米国債市場は9月の利上げ開始の可能性を捨てていないと推察される。

 ニューヨーク連銀のダドリー総裁も、昨日の講演で9月の利上げ開始の可能性が低下した背景として金融市場の混乱を指摘した。言い換えれば、金融市場の混乱が収束に向かえば、以前と同じように9月の利上げ開始に前向きな姿勢を示すと予想される。

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