2015年8月17日月曜日

今後も売り優勢の展開が続く見込みのインドネシア・ルピア(IDR)

 マレーシア・リンギット(MYR)の陰に隠れているものの、インドネシア・ルピア(IDR)も下落が続いている。Bloombergによると、USD/IDRは先週、13900台と、17年ぶりのIDR安水準を記録。対ドルでの年初来パフォーマンスは先週末時点で10.2%の下落と、アジア通貨の中ではMYR(14.3%の下落)に次ぐ大幅下落となっている。 

 インドネシア当局は、IDR下落を緩やかなものにしようと努力を続けているようだ。7月のインドネシア外貨準備は1075.5億ドルと5カ月連続で減少し、昨年5月以来の低水準。各種メディアは、インドネシア中銀によるIDR買い介入に関する観測報道を続けている。       

 新興国の中でも比較的高い金利もIDRの下落ペースの加速を防いでいるようだ。外国人投資家によるインドネシア債の保有比率は、8月13日時点で39.0%と昨年末水準からほぼ変わらず。2013年5月の(いわゆる)バーナンキショックのように、外国人投資家がインドネシア債売りに殺到するような状況には至っていない。  

 しかしIDRの下押し材料は数多い。米FRBによる利上げ開始観測、中国・人民元の先安観、原油など国際商品市況の下落、景気の低迷、経常赤字の縮小ペースの鈍化は、いずれもIDRを下押しする。しかも、こうした下押し材料は、短期間で是正されることが期待しにくい。IDRを買い戻すきっかけは、なかなか見いだしにくい。 

 インドネシア政府によるIDR防衛姿勢の弱さもIDRの下落観測をサポートする。今年第2四半期の同国GDP成長率は前年比4.67%と2期連続で5%割れ。同国政府の2015年の成長率見通し(5.0~5.2%)の達成は難しいとの見方が強まっている。こうした中、同国のブロジョネゴロ財務相は、景気刺激のためにインドネシア中銀の利下げが望ましいと発言。ジョコ政権の支持率低下を背景に景気を重視する姿勢が強まっている。ただ、IDRが下落基調を続けている中での利下げとなれば、IDRの売り圧力が強まるのは必至。ブロジョネゴロ財務相の発言は、IDRのさらなる下落を半ば容認したものとの解釈も可能だ。       

 12日に実施された内閣改造で新しく貿易相に就任したレンボン氏の発言もIDRのさらなる下落を予感させる。同氏は、一部米系メディアとのインタビューで、保護貿易的な政策を減らしていくと発言。具体的には、ゴーベル前貿易相が実施した消費財を中心とした輸入関税の引き上げや牛肉輸入の制限を解消する意向を示した。 

 海外からの直接投資を促す意味では保護主義的な政策とされる輸入障壁の撤廃は中長期的には正しい。しかしIDR売りが強まる中での輸入障壁の撤廃は、縮小を続けてきた経常収支赤字の拡大を連想させ、IDR売りの動きが加速する恐れも強まる。レンボン新貿易相が、ジョコ政権の支持率低下を受けての登場ということもあって、ブロジョネゴロ財務相と同様に景気重視姿勢が強いとみられ、IDR防衛姿勢が弱いとの見方も成り立つ。  

 外部環境、当局の意向のいずれ点から考えても、今後もIDRは売り優勢の展開が続くとみていいだろう。USD/IDRの当面の節目は14000だが、MYRと同様に節目を越えると、14500程度まで売りの動きが続くとみておくべきだろう。

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