2015年8月3日月曜日

下げの動きが続きそうなタイ・バーツ(THB)

 タイ景気の悪化が目立っている。先週発表された6月のタイ製造業生産は前年比8.0%減と落ち込み幅が市場予想を上回り、昨年3月以来の大きさ。同月同国の民間消費は同1.5%減と3カ月連続の前年割れ。民間投資は同0.6%増とプラスとなったが、3~5月は前年割れだった。

 タイ景気が悪化した要因は数多い。タイ主要輸出品であるコメと天然ゴム価格は下落。これにより輸出は、(電子機器や自動車輸出では増加基調が維持されているものの)、6月で前年比8.9%減と6カ月連続の前年割れ。洪水被害で企業生産機能がストップした2011年11月以来の落ち込みとなった。

 今後は干ばつ被害を背景とした農村経済の悪化も懸念される。農業所得の落ち込みは、消費者マインドの悪化にもつながりやすく、7月以降もタイ個人消費が減少基調で推移する可能性もある。タイ政府は先週28日、今年の成長率見通しを3.7%から3.0%に下方修正したが、干ばつ被害が広がれば、3%割れも現実味を帯びてくる。

 本日発表された7月のタイCPIは前年比-1.05%とほぼ前月並み。しかしコアCPIは同+0.94%と、小幅ではあるが市場予想を上回り、前月と同じとなった。THB安が進んだことで、タイのインフレ圧力は景気が悪化しているにもかかわらず徐々に強まっている様子。今年後半はベース効果もあってCPIの伸びが高まると思われる。

 タイ中銀は5日、政策金利を発表する。市場予想では政策金利は1.50%で据え置かれる見込み。景気悪化が目立ってきたため、タイ中銀が予想外の利下げに踏み切る可能性は否定できないが、今年後半にインフレ圧力が強まる可能性があるほか、タイ家計の過剰負債の積み上がりを考えると、タイ中銀が積極的に利下げを続けるとは考えにくい。

 THBは、景気悪化や利下げ懸念を背景に7月に入ってから下落基調で推移。先週末には対ドルで35.2台と2009年5月以来のTHB安を記録した。6月のタイ経常収支は8.9億ドルの黒字と、昨年10月以来続いてきた10億ドル以上の黒字がストップ。内需の不振で減少してきた輸入が前年並みとなったことで、これまでTHBをサポートしてきたタイの対外収支が、今後はTHB安要因になる可能性も出てくる。

 実質実効ベースでみたTHBは、6月末時点で105.7と直近安値(2014年1月)の100.3からみて依然として5%程度高い。今後もTHBは、米利上げ観測を背景としたドル買いの動きもあって、タイ景気の悪化に歯止めがかかるまで下げが続くとみるべきだろう。

 USD/THBの上値の目途は、2009年3月に記録した高値の36.44近辺。その次は、2005年7月の高値(42.20近辺)から2013年4月の安値(28.56近辺)の61.8%戻し水準である37ちょうど近辺となる。ちなみに足元の水準をやや上回る水準(35.38近辺)は、上記高安の半値(50%)戻し水準でもある。

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