2016年4月21日木曜日

追加利上げ期待を高める可能性がある4月の米FOMC

 原油価格が堅調に推移している。4月17日、石油輸出国機構(OPEC)加盟国や非加盟の他産油国は、カタールの首都ドーハで会合を開催。事前には原油増産の凍結で合意が形成されるとの見方もあったが、増産を計画するイランは同会合を欠席。サウジアラビアなど湾岸諸国が、イランを含む全OPEC加盟国が参加しない合意では同意しない姿勢を示したことで、増産凍結の合意は見送られた。

 週明けの18日、米国原油の指標とされるWTI原油先物価格は週末終値の40ドルちょうど近辺から37ドル台半ば近くまで急落して開始。しかし18日のロンドン市場に入ると、クウェートの労働ストによる減産が材料視され、WTIは上昇基調で推移。翌19日未明には40ドルちょうど近辺と、WTIドーハ会合前の水準に回復した。

 その後、WTIは40~41ドルで下値の堅い動きを続けたが、昨日(4月20日)のNY市場で発表された米エネルギー情報局(EIA)週間石油在庫統計では、米原油在庫が208万バレル増と、市場予想(300万バレル増)を下回る伸び。原油生産量は日量2.4万バレル減少の同895万バレルと2014年10月以来の低水準を記録すると、WTIは再び上昇基調で推移。本日東京市場では43ドル台後半と昨年11月11日以来の高値で推移している。

 原油輸出を再開したイランが増産姿勢を誇示しているほか、クウェートの石油労働者組合がスト凍結を決めたことから、原油価格は再び下落に転ずるとの見方もあるが、一方で主要産油国がロシアで再び会合を開くとの噂が流れており、需給改善期待も残ったまま。原油価格は今後、軟調な推移に転ずることは否定できないものの、今年2月11日に付けた安値(WTIで26ドルちょうど近辺)に戻る可能性は低くなったと思われる。

 原油価格が堅調に推移するなか、中国景気の先行き懸念も後退している。3月の中国・製造業PMIは50.2と、8カ月ぶりに50台を回復。輸出は3月に9カ月ぶりの前年超えとなるなど、中国の経済指標には底打ちの兆しがみられる。昨日発表された3月の日本・貿易統計(通関ベース)では、中国向けの輸出数量が前年比+0.7%と(かろうじてだが)2カ月連続の前年越え。中国景気の持ち直し観測をサポートした。

 ただ、3月の指標改善は中国の大型連休(春節)の日ずれによるものとの指摘があるのも事実。今年の第1四半期GDP成長率が前年比6.7%増と、前期(同6.8%増)から鈍化したこともあって、中国景気の先行きに対し慎重な姿勢も根強い。しかし今年第1四半期の新規元建て融資は3.2兆元と、1992年の統計開始以来、最大を記録。中国当局が景気対策に本腰を入れたとの見方も広がっており、中国景気の先行きに対する懸念は、今年1月のころと比べれば大きく後退したと思われる。

 米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は、3月29日の講演で、国際的な経済・金融市場の動揺で、米国の消費が今後、弱含む可能性があると指摘。中国景気の減速と原油安の2点を米国景気のリスクと指摘した後に、米国外での情勢が米景気を予想以上に下押しした場合、労働市場の改善も鈍化すると述べた。これは3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、「世界経済と金融動向は引き続きリスクをもたらす」と指摘されたことと整合的である。

 ここでのポイントは、中国景気と原油価格というFRBではコントロールできない2点を指摘し、両者の動向次第で利上げペースが変わる可能性を示したこと。これでは、イエレン議長が利上げ継続の条件として指摘してきた米国の労働市場の改善が確認されたとしても、中国景気や原油価格を理由に利上げが先送りされる可能性が残り続ける。

 しかし上述したように中国景気の減速と原油安に対する懸念は、今年1-2月の頃に比べ後退。イエレン議長(ひいてはFOMCメンバー)の米国景気のリスクに対する考えが変わっていても不思議ではない。4月のFOMC声明で「世界経済と金融動向は引き続きリスクをもたらす」との文言が修正・削除される可能性もあるといえ、この場合、市場は声明文の変更をきっかけに6月の追加利上げを再び視野に入れるだろう。

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