2016年4月14日木曜日

円買いの動きは根強いまま。上昇基調に戻ったとは言い切れないドル円

 世界経済の重石となっていた中国景気に明るい兆しが見られるようになった。3月の中国・製造業PMIは50.2と8カ月ぶりに50超え。内訳を見ると、景気に先行するとされる新規受注が51.4と2014年10月以来の高水準に上昇。新規輸出受注も50.2と2014年9月以来の50台に回復した。

 3月の中国・輸出(ドル建て)は前年比11.5%増と市場予想を上回り、9カ月ぶりの前年超え。一方、輸入は同7.6%減と市場予想ほど落ち込まなかった。商品市況の大幅下落で輸入の減少基調は続いているが、数量ベースでは原油、鉄鉱石、銅の輸入量は増えており、中国の内需の底打ちを示したとの見方もできる。IMFは4月12日、世界経済見通しを公表したが、今年の中国成長率見通しは6.5%と1月時点見通しの6.3%から上方修正。「中国経済のハードランディング」といった極端な見方は後退したように思える。

 FRBイエレン議長が懸念材料として指摘した原油価格も下げ止まりから反発に転じている。米指標原油のWTIは13日、一時1バレル42.42ドルと4カ月半ぶりの高値。サウジアラビアなどの産油国が、17日に予定されているOPEC加盟・非加盟国会合で増産凍結を合意するとの観測が原油価格の上昇を促している。

 中国景気や原油安に対する懸念が後退しているのであれば、ドル円は上昇基調を強めても不思議ではないはず。ドル円との連動性が強いとされる日経平均株価が、本日は500円(3%)を超える上昇を記録しただけになおさらだ。しかし本日(4月14日)のドル円は午前に109円台半ばに上昇した後に109円台前半に反落。午後は同水準で上値の抑えられる動きとなった。

 ドル円の上値の重さは、ドルが軟調なためではなく、円の底堅さに起因している。本日のドルは、円とスイスフランを除く全通貨で上昇。たとえばユーロドルは1.12ドル台半ばと3月29日以来の安値に下落している。

 足元の円(そしてスイスフラン)の底堅さを見る限り、為替市場は世界景気の先行きに対し慎重な姿勢を持ち続けていると推察される。たとえば3月の中国・経済指標の改善は、春節による大型連休が前年とずれたためで、中国景気は依然として低迷しているとの見方がある。昨年の春節による大型連休は2月下旬から3月上旬で、生産・貿易活動は3月になっても一部休止だったのに対し、今年の連休は2月上旬から中旬。今年3月の生産・貿易活動は通常通りとなるため、前年比でみるとプラスとなるのは当然となる。

 原油価格についても同様だ。17日の会合で増産凍結が合意に達するとの期待は過剰との見方は根強い。特にイランは、外貨準備の減少などを背景に経済制裁前の産油量に戻るまで、増産抑制の合意には参加しない意向を示している。仮に増産凍結で合意がなされたとしても、イランだけ対象から漏れる可能性もある。

 米景気のもたつきも円買いの動きをサポートする。アトランタ連銀の経済モデル「GDPナウ」によると、第1四半期の米成長率は0.1%増とほぼゼロ成長。世界景気をけん引するはずの米国がゼロ成長となれば、市場のリスク回避姿勢が再び強まるとの思惑も続きやすい。

 ドル円は3月29日の高値(113.8近辺)から4月11日の安値(107.6近辺)の23.6%戻し水準(109.1近辺)を超えたが、38.2%戻し水準(110ちょうど近辺)の手前。ドル円が上昇基調に転じたとは言い切れず、引き続き慎重な姿勢が必要と思われる。

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