2016年4月11日月曜日

さらなる上昇は期待しにくいマレーシア・リンギット(MYR)

 マレーシア・リンギット(MYR)が、今年1月下旬から堅調に推移している。USD/MYRは、年初に一時4.44台と昨年10月初旬以来の高水準に上昇(MYR安水準に低下)したが、1月下旬からは下落基調での推移が続き、4月に入ると一時3.86ちょうど近辺と、昨年8月上旬以来の低水準に低下(MYR高水準に上昇)。週明け(4月11日)も3.88台で底堅く推移している。

 MYR買いの背景には原油価格の反発がある。NY原油先物価格は、1月20日に1バレル26ドルちょうど近辺と、2003年5月以来の安値に下落。2月初めに34ドル台に反発した後に、2月半ばに再び26ドル台に下落したが、その後は上昇基調での推移が続き、3月下旬には40ドル超と、約4カ月ぶりの高値。4月に入りいったん35ドル台まで下落したが、週明けは40ドルちょうど近辺まで反発するなど、年初に強まった原油安懸念は後退した。

 原油価格の反発を受けてマレーシア株も上昇した。マレーシア株の代表的な株価指数であるクアラルンプール総合株価指数(ブルサ・マレーシアKLCI指数、以下KLCI指数)は、原油安が進んだ1月21日に1600ちょうどと、昨年9月末以来の安値に下落。しかし、その後は上昇基調での推移が続き、3月23日には一時1726.55と約5カ月ぶりの高値に上昇。4月に入ってから1700割れを記録せず、下値の堅い動きとなっている。

 マレーシア政府系・投資会社1MDBを契機とした同国ナジブ首相への批判も収まりつつある。1MDBの不正経理疑惑を調査していた議会の公会計委員会(PAC)は4月7日、調査結果を公表。同報告は取締役会の承認を経ないで1MDBから30億ドル超の資金が外部に支払われていたと指摘した。これを受けて1MDBの取締役メンバー全員が辞任を表明。ナジブ首相は、すでに政敵の更迭や司法長官の交代を実施しており、PAC報告を受けてナジブ首相への追及が和らぐとの見方が出ている。

 ただ、原油高、株高、政治スキャンダルの収束という3つの材料が、今後もMYR買いを空後押しすると期待するのは難しいように思える。原油価格は、イランの増産懸念もあって、1バレル40ドルを大きく上回る上昇が考えにくいまま。マレーシア株についても、KLCI指数から算出される株価収益率(PER)が18倍強と2010年3月以来の高水準。一方で、マレーシア景気は減速気味のままで、今後はマレーシア株の高値警戒感も強まりやすい。2月のマレーシア製造業売上高は同1.4%減と3カ月連続の前年割れ。世界銀行は本日、東アジア・太平洋地域発展途上国の成長率見通しを発表したが、マレーシアは今年4.4%と、昨年10月時点から0.3%下方修正され、昨年の5.0%から鈍化する見通しとなっている。

 1MDBを契機としたナジブ首相への追及が再び強まる可能性は否定できない。PAC報告は1MDBから30億ドル超の資金流出があったことを指摘したが、資金の行き先は不明なまま。また1MDBを設立し、その後は顧問団の議長を務めてきたナジブ首相への言及もなし。野党を中心にPAC報告に対する批判が強まっており、今後は国民から厚い信任を得ているマハティール元首相がナジブ首相への辞任要求を強める展開も否定できない。

 USD/MYRは昨年4月末に3.54近辺を安値に9月末には4.48近辺まで上昇。上述したように足元では3.88台での推移となっているが、これは昨年4月末から9月末までの上昇の61.8%戻し水準である。次の下値の節目は心理的な水準となる3.80ちょうど近辺と、76.4%戻し水準となる3.76近辺が想定されるが、USD/MYRは当面、足元の水準である3.85~3.90でのレンジ内で推移すると予想される。


0 件のコメント:

コメントを投稿