2016年4月18日月曜日

下値の余地は大きい南アフリカ・ランド(ZAR)

 南アフリカ・ランド(ZAR)は、今年1月下旬以降、堅調に推移している。USD/ZARは先週、一時14.4台と昨年12月7日以来のZAR高水準を記録。今年1月11日に記録した過去最高値(ZARは過去最安値)の17.9台からみると、15.3%も上昇したことになる。

 ZAR上昇の背景には南アフリカの安定的な高金利がある。南アフリカ10年債利回りは、年初の9.8%台から低下したとはいえ、先週末時点で9.0%ちょうど近辺。米10年債利回りとのスプレッド(対米スプレッド)は、2014年7月以降、概ね720~750bpで安定している。対米スプレッドが700bpを超えていて、比較的流動性も高い国はトルコとブラジルくらい。しかし両国とも金融緩和姿勢の強まりを背景に対米スプレッドが緩やかに縮小気味。南アフリカ債の金利面での優勢が増している。

 貿易収支が緩やかながら改善基調で推移していることもZARを下支えしているようだ。2月の南アフリカ貿易収支は11億ランドの赤字と、赤字額が市場予想を大きく下回る好結果。輸出が前年比18.4%増と大きく拡大し、輸入の増加(前年比7.5%増)をカバーした。南アフリカの貿易赤字を12カ月移動平均でみると、2月は30億ドルの赤字と、1年前の93億ドルから大きく縮小。2013年1月以来の低水準に改善した。

 ただ、南アフリカのインフレ圧力は根強く、景気も回復が期待しにくい。2月の同国CPIは前年比+7.0%と2009年6月以来の高い伸び。コアCPIは同+5.7%と9カ月ぶりの高い伸びに加速した。20日発表予定の3月CPIも同+6.5%、コアCPIは同+5.8%といずれも高止まりする見込みだ。

 南アフリカ景気の先行き期待も盛り上がりそうにない。2月の同国製造業生産は前年比1.9%増と市場予想に反し前年比プラスを記録。しかし1月の減少からの反動に過ぎず、生産の平均水準は2014年以降、ほとんど変わっていない。2月の同国発電量は前年比2.8%増と11カ月ぶりに前年越えとなったが、水準は切り下がったまま。エネルギーの供給制約が続く以上、たとえ需要が強まったとしても、生産増が続くとは考えにくい。

 供給制約を主因に生産活動が伸び悩む場合、内生的なインフレ圧力は強まり、名目でみた自国通貨はインフレを相殺するように下落が続くことになる。BIS・ブロードベースでのZAR実質実効レートは、2月時点で63.75と1994年の統計開始以来最安値を更新したが、名目でみたZARのサポート材料にはならないだろう。むしろ南アフリカの供給制約が解消されるまで、ZARは実質実効ベースで下落を続けるほうが自然に思える。

 上述したようにZARは堅調な推移をしているが、ZARがさらに上昇を続けるとは考えにくい。今後のUSD/ZARは、200日移動平均(14.5近辺)がサポートとなるのではないだろうか。仮にさらにZAR高が進んだとしても、昨年10月の安値(13.0近辺)から今年1月半ばの高値(17.9近辺)の76.4%戻し水準(14.2近辺)がせいぜいだろう。一方、ZAR安の余地は、これまでの上昇もあって大きい。USD/ZARの上の節目は、15.3近辺、15.8近辺、16.2近辺である。


 

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