2016年5月30日月曜日

大幅下落は見込みにくいポーランド・ズロチ(PLN)


 ポーランドのディスインフレ圧力が根強い。月次で発表されるインフレ予想率は、2014年6月から前年比+0.2%近辺での推移を続けている。一方、実際のCPIは4月に前年比-1.1%と低下幅が2カ月連続で拡大し、1年ぶりに1%を超える低下となった。コアCPIは4月に前年比-0.4%と、現行統計が始まった1998年以降、最大の低下を記録した。

 景気の減速感も強まっている。第1四半期のポーランドGDPは前期比0.1%減(前年比3.0%増)と、市場予想を下回り、2012年第4四半期以来のマイナス成長。4月の同国マークイット製造業PMIは51.0と、こちらも市場予想を下回り、3カ月ぶりの低水準に悪化した。

 ポーランド中銀は27日、5月6日結果発表分の会合議事録を公表。同議事録によると、メンバー数人は景気減速やデフレの深化、デフレによる景気への負の影響が観察される場合には利下げの可能性を排除しないと発言したという。会合メンバーが「デフレ」という言葉を使い、物価下落への警戒感を強めているのも無理はないと思われる。

 ポーランドでは今週、31日に5月のCPIが、翌6月1日には5月のマークイット製造業PMIがそれぞれ発表される。市場予想では両者ともに前月から小幅改善する見込みだが、市場予想に反し悪化となれば、ポーランド中銀による利下げ観測が強まる可能性もある。

 ただ同中銀会合メンバーが、「現在の政策金利水準は経済の均衡に資するとの認識で合意した」と指摘した(5月6日結果発表分の会合議事録)ように、利下げがあったとしても25bpの利下げが1回ある程度で、追加利下げや大幅利下げは考えにくい。4月のポーランド失業率は9.5%と2008年12月以来の低水準に改善。平均総賃金は前年比4.6%増と昨年3月以来、雇用は同2.8%増と2011年9月以来の高い伸びをそれぞれ記録した。雇用・所得環境が堅調に推移するなか、GDPの6割を占める家計消費が大きく崩れるとも思えない。

 貿易収支が小幅ながら黒字基調である点にも注目したい。ポーランドの貿易収支は昨年9月から今年3月まで7カ月連続で黒字。ポーランド輸出の6割弱を占めるユーロ圏景気は伸び悩んでいるものの、今年に入りポーランド・ズロチ(PLN)は対ユーロで4.20を割り込むことなく、昨年の安値圏より安い水準で推移しており、ポーランドの対外収支を下支えしている。

 ポーランド「法と正義」政権が、憲法裁判所やメディアに関する法案を改正したことに対し、欧州委員会が「法の支配」原則に違反している可能性を指摘。ポーランドがEUから受け取っている補助金が削減されるとの思惑も一部で指摘されている。しかしEUの2014〜2020年の次期中期予算枠組み(MFF)については、既に目標、優先分野、各国への割り当てなどが2013年2月の欧州理事会で合意済み。欧州委員会より上位組織であるEUでの決定が、欧州委員会の一存で変更されることはない。

 ポーランド中銀による利下げが限定的で、ポーランド景気の底割れも回避される見込み。貿易収支は黒字が続き、EUへの補助金支出が予定通り実施される可能性が非常に高いことも考えると、PLNが現状水準から大きく売られるとは考えにくい。EUR/PLNの上値の目途は、4.40ちょうど近辺と4.45ちょうど近辺。下値の目途としては、4月4日の安値(4.23近辺)から5月24日の高値(4.46近辺)の間にある4.37近辺(38.2%戻し)、4.34近辺(50%戻し)、4.31近辺(61.8%戻し)が想定される。

 

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