2016年6月17日金曜日

市場の安定化につながると期待される中国政府・当局の元安容認への転換




 中国・人民元が足元で弱含んでいる。オンショア人民元の対ドルレート(USD/CNY)は、6月15日、6.60ちょうどを上抜け、一時6.60台半ば近辺と2011年1月末以来の元安を記録。翌16日にはドル安が続いたこともあり、元レートは6.57台前半まで元高が進んだが、本日(17日)は6.58台後半と再び6.60台に近付いている。

 一方で、中国の資本流出は続いているようだ。5月の中国・貿易統計によると、香港から中国への輸入は前年比242.6%増と、1999年の現行統計開始以来最大の伸びを2カ月連続で更新。輸入全体が同0.4%減と19カ月連続の前年割れとなるなか、香港からの輸入が急増を続けているのは極めて不自然である。香港から中国への輸入は、中国当局による資本規制を回避し、香港への資本を流出させる手段として使われているとの指摘も多い。香港からの輸入増は、中国の資本流出継続を示唆していると思われる。

 中国政府・当局は、表立って認めていないものの、人民元の下落が進むとドル売り介入で下落ペースを抑えてきた。そのため中国の外貨準備は減少が続き、2014年6月には3.99兆ドル(約4兆ドル)あった中国の外貨準備は、足元(2016年5月)では3.19兆ドルと8千億ドルも縮小した。

 足元で人民元が軟調に推移しているのは、中国政府・当局が元安抑制姿勢を緩めたためかもしれない。現に外貨準備の減少ペースは、今年に入り鈍化している。資本流出が続く一方で、元買い介入を続ければ、外貨準備は今後も減り続けという、至極当然の現象に対し中国政府もようやく危機感を覚えたのかもしれない。

 中国政府・当局が今後も元安の進展を容認するようだと、貿易面で中国と強い結びつきを持つ国の通貨の売り圧力が強まることになる。具体的には豪ドル、カナダドル、南アフリカランドといった資源国通貨と、韓国ウォン、台湾ドル、マレーシアリンギットといったアジア通貨だ。ただアジア通貨の中でも、中国との結びつきが比較的弱いとされるフィリピンペソ、インドルピーは売り圧力がさほど強まらないだろう。

 中国政府・当局の元安容認姿勢は、中国株にとっては朗報だ。米株価指数算出会社MSCIは6月15日、新興国株指数への中国本土A株の組み入れを見送ると発表したが、上海総合株価指数は下値の節目とされる2800を割り込むことなく、本日(17日)は一時2900を上抜けするなど下値の堅い動きをみせた。中国株の下値が固ければ、市場のリスク回避姿勢が強まることも回避されやすくなる。6月23日に予定されているEU離脱の是非を問う英国での国民投票が近づいているものの、為替市場は多少なりとも安定化の方向に向かうと期待することもできる。

 ただ、中国政府・当局の元安容認→中国株の安定→市場のリスク回避→為替市場の安定化、という図式は、中国の資本流出が現状程度で収まることが前提となる。なにがきっかけになるかはわからないが、中国の資本流出が拡大するようだと、中国経済に対する懸念が再び市場の話題となる。

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