2016年6月27日月曜日

たとえ利上げでも上昇継続は期待しにくいメキシコ・ペソ(MXN)

 メキシコ中銀は、日本時間7月1日、政策金利を発表する。Bloomberg調査によると、予想回答者15名中、7名は3.75%での据え置きを予想しているが、5名は25bpの利上げ、3名は50bpの利上げを見ている。英国民投票でEU離脱派が勝利したことでメキシコ・ペソ(MXN)が大きく下落したことで、メキシコ中銀が通貨防衛的な利上げに踏み切るとの見方が強まったように思われる。

 MXNは、英国民投票でEU離脱支持が優勢となると下落基調が強まり、東京市場の終盤には対ドルで19.5を上抜け過去最安値を更新。ロンドン市場に入るとMXNは落ち着きを取り戻し、メキシコ政府が16.8億ドル規模の歳出削減を発表したことで買い戻し基調が強まったが、対ドルで18.7台に達すると、MXNは下げ渋り。NY市場後半は19ちょうど手前でもみ合い、週明けの本日(6月27日)は、19ちょうど近辺で推移。対ドルでのパフォーマンスは年初来9.6%下落と、新興国通貨の中ではアルゼンチン・ペソ(ARS)の13.4%下落に次ぐ下げである(ちなみにポンドの対ドルでの下げは年初来9.2%)。

 メキシコ中銀は2月17日、緊急会合を開催し、政策金利を50bp引き揚げ3.75%にすると発表。2月に入りMXNは対ドルで一時19.4台まで下落するなど売り優勢となったことで、緊急利上げに踏み切った。今回のBloomberg予想で利上げの見方が増えたのも、この2月の緊急利下げの印象が強いためと推察される。

 ただMXN下落の原因の一つは、原油先物価格の下落。NY原油先物価格(WTI)は、英国民投票でEU離脱が優勢との報道が広がると、1バレル50ドル台前半から46ドル台後半まで大きく下落。ロンドン市場に入り48ドル台前半に反発したが、NY市場取引後半は47ドル台半ば近辺で推移。週明けは一時47ドルちょうど近辺と一段安となった。MXNは、他新興国通貨に比べ流動性が高く、資源国通貨の代替通貨として取引されることが多い。原油安がMXNを過度に下押しした面もある。

 メキシコの対外収支が赤字基調のままであることも、MXNの重石となっている。本日(27m日)発表される5月のメキシコ貿易収支は21.6億ドルの赤字の見込みと前年同月から赤字額が倍近くに拡大する見込み。第1四半期の経常収支は94.5億ドルの赤字と高水準の赤字が続いている。

 一方でメキシコ景気は、製造業を中心に伸び悩んだままである。第1四半期のメキシコGDPは前年比2.6%増と7四半期連続で2%台のまま。製造業は同1.0%増と2期連続で減速し、2013年第1四半期に前年割れ(前年比1.4%減)を記録してから最も低い伸びにとどまった。6月のメキシコIMEF製造業指数は52前後と伸び悩む見込みで、第2四半期も製造業がGDP成長率を抑制する恐れがある。

 対外収支が赤字で景気も伸び悩んでいれば、MXNが下落を続けるのは自然のこと。インフレは依然として3%を下回っており、製造業が景気の足を引っ張っていることも考慮すれば、MXN安はむしろ歓迎すべきことに思える。しかしメキシコ当局は、MXN安を背景とした資本流出や対外債務の利払い負担の増大などから、利上げでMXN安を抑制したいのだろう。

 ただ原油先物価格の一段高が期待しにくくなっている状況の下、MXNが人為的に抑制されれば景気減速のリスクが強まるだけで、結局、MXNは再び売られることになる。英国のEU離脱手続きの先行き不透明感もあり、メキシコ中銀が利上げに踏み切ったとしてもMXN買いの動きが続くとは考えにくい。USD/MXNの下値の目途は、4月29日の安値(17.05近辺)から6月24日の高値(19.52近辺)の38.2%戻し水準にあたる18.6近辺と半値戻しの水準の18.3近辺。そして61.8%戻し水準で心理的な節目でもある18ちょうど近辺だろう。一方、上値の目途は6月24日の高値(19.52近辺)で、ここを上抜ければ次は20ちょうどがターゲットとなる。


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