2016年8月12日金曜日

レンジ相場が続くと思われるドル円

 昨日(11日)の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均、S&P500、ナスダック総合指数がそろって過去最高値を更新した。米国株の主要3指数がそろって過去最高値を更新したのは1999年12月31日以来と、16年7カ月ぶりのこととなる。当時の米景気は、ITバブルで絶好調。1999年第4四半期の米GDP成長率は前期比年率7.1%増と、新興国並みの高成長だった。

 しかし(指摘するまでもないが)足元の米景気に当時の勢いはない。今年第2四半期の米GDP成長率は前期比年率1.2%増と3期連続の2%割れ。NY連銀の予測モデル「ナウキャスト」によると、第3四半期のGDP成長率は同2.6%増が見込まれているが、前期の低い伸びの反動増も考えれば、決して高い伸びとは言えない。

 昨日のドル円は、米国株だけでなく米長期債利回りも上昇したことで、朝方の101円ちょうどから102円ちょうどへと1円上昇した。ただ米長期債利回りの上昇は、OPEC加盟国と非加盟国が市場安定化に向けて協議することが明らかとなったことで原油先物価格が上昇したためで、米国の追加利上げ期待が高まったからではない。FFレート先物市場から算出される利上げ確率は、9月時点で22.0%、11月時点で25.3%、12月時点ですら49.0%に過ぎない。年内の追加利上げは五分五分で、利上げがあるとしても決まるのは12月のFOMC、というのが市場の大方の見方だろう。米国株の上昇の背景には、米企業決算に対する期待感もあるのだろうが、その前提には米国の追加利上げは当分ないとの見方もある。

 成長率が伸び悩み、利上げも当面、期待できないのであれば、投機筋を中心にドル売りの動きが強まることも考えられるが、現水準からドルを売り込んでいくのも無理があるように思える。財務省が本日発表した対外及び対内証券売買契約などの状況によると、7月31日~8月6日の国内投資家による海外の中長期債投資は8918億円の買い越しと、前週(3121億円の買い越し)や前々週(6787億円の買い越し)を大きく上回り、7週連続の買い越しを記録。該当週は、ドル円が106円台から102円ちょうどまで大きく下げた週の翌週。ドル安・円高が進むと、国内投資家の外債需要が高まる図式に変わりはない。利上げは当面ないとはいえ、米10年債利回りは1.5%台と、日本やドイツのマイナス0.1%台や、英国の0.5%台に比べれば魅力的で、ドル売りの動きは米債買いの流れに飲み込まれやすい。

 今夜は7月の米小売売上高が発表されるが、仮に市場予想を上回る好結果となったとしてもドル買いの動きは限定的だろう。米経済に対する市場の注目点は、個人消費ではなく民間設備投資。来週発表される7月の米鉱工業生産や設備稼働率の方が、小売売上高よりも市場へのインパクトは大きいと思われる。ただ現時点での市場予想を見ると、米鉱工業生産も設備稼働率も前月並みの結果となる見込み。これでは市場も材料視しにくい。

 市場関係者の間からは、8月26日に予定されているFRBイエレン議長のジャクソンホールでの講演まで材料らしい材料はないとの声も出ているようだが、同講演がドル相場の決め手になるとは思えない。「データ次第」の姿勢を貫くイエレン議長が、市場に対し明確なメッセージを放つとは考えにくく、講演内容は楽観的な見方と悲観的な見方をない交ぜにしたものとなるだろう。結局、ドル円は100~104円のレンジ相場が続くと予想される。
 

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