2016年8月22日月曜日

上値余地が大きいようには思えない南アフリカ・ランド(ZAR)

 南アフリカランド(ZAR)が堅調に推移している。新興国通貨を対象に年初来(8月19日まで)の対ドルパフォーマンスを見ると、ZARは14.4%の上昇と、ブラジルレアル(23.7%の上昇)、ロシアルーブル(15.1%の上昇)に次ぐ高い上昇率を記録している。過去1カ月(7月19日~8月19日)でみてもZARは6.1%の上昇と、新興国通貨の中で最も高い上昇率を記録した。

 ZARの上昇の背景には高金利がある。南アフリカ2年債利回りは7.6%台とブラジル、トルコに次ぐ高い水準。年初の8.5%台からは低下したが、南アフリカ中銀のタカ派姿勢が同国債利回りの低下を限定的としている。

 金など貴金属価格や国際商品市況の上昇もZARをサポートしている。年始に1オンス=1050ドルに過ぎなかった金価格は、上昇基調で推移し、2月末には1250ドル台を記録。その後は1250ドルを挟んでの上下動が続いたが、6月下旬には1350ドル台に達し、7月以降は1350ドル近辺で高度待ったままである。今年初めには1バレル=30ドルを割り込んだ原油先物価格は、その後、上昇が続き、6月には50ドルちょうど近辺まで上昇。8月初めには40ドルを割り込む場面もあったが、その後は再び上昇基調を取り戻し、足元では48ドル台に回復している。

 これまで弱いとされてきた南アフリカのファンダメンタルズに改善の兆しが見られる点にも注目すべきだろう。南アフリカの製造業生産は4-6月期に前期比+2.0%と2014年10-12月期以来の高い伸びに加速。貿易収支は4-6月期に307.7億ランドの黒字と四半期では1990年の統計開始以来最大の黒字を記録した。前年比ベースでマイナスとなった同国GDPが4-6月期にプラス転換する可能性も高まっている。

 ただ、ZARが米国債利回りや市場のリスク回避姿勢といった対外ショックに脆弱である点には注意が必要だ。米10年債利回りは先週末に1.59%台と、6月24日の英国民投票以来の高値圏に上昇。米追加利上げ観測がさらに強まれば、米国債利回りの一段高も予想され、堅調に推移している米国株が調整局面に入る可能性も否定できない。米金利の上昇、米国株の下落は、ともにZARを下押しする。

 USD/ZARは、2011年8月の安値(6.65)と2013年1月の安値(8.41)を結んだトレンド線を下抜けしたことはなく現在にいたっている。今月(2016年8月)のトレンドライン上のポイントは13ちょうど近辺。足元の水準(13.6近辺)からみれば、4.5%ほどZAR高水準にある。ZARの大幅安につながりそうな対外ショックが今後も生ずることなく、南アフリカのファンダメンタルズの改善が続くとみても、ZARの上値余地はさほど大きくないように思える。

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