2017年3月13日月曜日

安定的な動きを維持するとみられる韓国ウォン(KRW)

 韓国の憲法裁判所は3月10日、職務停止中の朴槿恵大統領の罷免を認めるとの審判結果を発表した。これにより朴大統領は即時失職。次期大統領選は、5月9日の実施が有力視されている。

 韓国世論調査専門機関「リアルメーター」によると、次期大統領選に立候補が予想される候補者のうち支持率が高いのは以下5人である。

1位(36%):文在寅(ムン・ジェイン)「共に民主党」元代表
2位(14%):黄教安(ファン・ギョアン)首相(大統領権限代行)
3位(13%):安煕正(アン・ヒジョン)忠清南道知事
4位(11%):李在明(イ・ジェミョン)京畿道城南市長
5位(10%):安哲秀(アン・チョルス)「国民の党」前共同代表

(注)カッコ内数値は支持率
(出所)リアルメーター

 上記5名のうち文在寅氏、安煕正氏、李在明氏は、最大野党「共に民主党」に所属。唯一の保守系候補とみなされる黄教安氏が、現時点でも次期大統領選への出馬の意思を明らかにしていないこともあり、4月に実施されるとみられる共に民主党の予備選が事実上の次期大統領選になるとみられている。

 共に民主党に属する3候補は、いずれも朴前大統領の政策を否定し、北朝鮮に対しては融和的な姿勢を示している。一方、2015年に日韓で合意された慰安婦合意に対しては否定的だ。また韓国への配備が進められている高高度ミサイル防衛システム(THAAD)について、文在寅氏は配備の再検討を示唆している。このため外交関係の有識者を中心に、韓国の政権交代で韓国の地政学的リスクが高まるとの見方が示されている。

 中長期的には、こうした指摘が現実のものとなり、韓国ウォン(KRW)安・円高の流れが強まる恐れがある。ただ短期的には、今回の朴大統領罷免を機にKRWは底堅さを増すと予想される。

 次期大統領選で共に民主党系の候補が勝利したとなれば、大統領就任当初の支持率は非常に高いものになる可能性が高い。日本のメディアは、日韓関係の悪化を懸念する声を強めるかもしれないが、韓国内政の安定化は為替市場にとってKRW買い材料となる。

 朴前大統領が職務停止の間も韓国のファンダメンタルズは強固なままだった。2月の韓国貿易収支は72.2億ドルの黒字と黒字額が急増。1月の同国鉱工業生産は前年比+1.7%と市場予想を下回ったが、前月比では+3.3%と高い伸びとなった。

 インフレ圧力はやや強まったが、KRW売りの材料にはなりにくい。2月の韓国CPIは前年比+1.9%と前月に続き2%近くの伸びとなったが、コアCPIは同+1.5%と昨年後半とほぼ同じ伸び。デフレ圧力の後退で韓国中銀による利下げ観測も後退している。

 米国を中心に世界景気が安定感を増しており、外需主導の韓国経済の先行き懸念は高まりにくい。韓国次期大統領選や北朝鮮の軍事挑発など、韓国の地政学的リスクは高まっているものの、KRWは安定的な動きを維持するとみられる。今年前半のUSD/KRWは1100~1200のレンジ内での推移が見込まれる。 

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