2017年5月8日月曜日

上値余地は限定的とみられるマレーシア・リンギット(MYR)

 あまり目立ってはいないものの、第2四半期に入りマレーシア・リンギット(MYR)が比較的堅調な動きを続けている。4月1日から先週末(5月5日)までの対ドルでのパフォーマンスを見ると、MYRは2.0%の上昇とアジア通貨の中ではトップ。新興国全体でみると、CZK(4.4%の上昇)、PLN(3.8%の上昇)など、東欧通貨に次ぐ上昇を記録している。

 MYRのサポート材料は米長期債利回りの低下である。米10年債利回りは、3月半ばに2.62%台まで上昇したが、その後は低下基調で推移。4月18日には2.16%台と、昨年11月14日以来の低水準に低下した。

 マレーシア景気の先行き期待の高まりもMYRをサポートしたと考えられる。マレーシアの輸出は、昨年12月から今年3月まで前年比で二桁増を記録。原油価格の持ち直しで原油関連製品が前年比50%超と急増したほか、電気製品の輸出も二桁増を続けている。今年初めの市場は、トランプ米大統領の外交政策などを背景にリスク回避姿勢が強かったが、4月以降は徐々にリスク回避姿勢が後退。外国人投資家によるマレーシア株式市場への年初来資本流入は、すでに昨年の最大額を上回り、2013年11月以来の高水準に達した。

 MYRが他新興国通貨に比べ出遅れていたことも、足元での上昇につながったと考えることもできる。昨年11月8日の米大統領選から今年3月末までの対ドルパフォーマンスを見ると、MYRは5.1%の下落と、新興国通貨の中ではTRY(13.2%の下落)に次ぐ下落だった。市場のリスク回避姿勢の後退とともに、出遅れていたMYRを買い戻す動きが強まった可能性もある。

 ただMYRのさらなる上昇を期待するのは難しいように思える。マレーシアのファンダメンタルズは大きく改善しているわけではなく、同国中銀は金融緩和を続けるとみられるからだ。

 マレーシアの輸出は大きく増加しているが、内需は伸び悩んでいる。昨年第4四半期のマレーシアGDPは前年比4.5%増と市場予想や前期を上回る伸びとなったが、民間消費は同6.2%増と前期から小幅鈍化。低所得者向けの現金給付策(BR1M)の支給額引上げや最低賃金の10%超の引上げが消費を下支えしたものの、消費者の慎重な姿勢は続いている。民間投資は同4.9%増と前期から小幅加速したが、7月の利下げの効果はさほど見られなかった。政府消費は同4.2%減、公共投資は同0.3%減といずれも前年割れ。マレーシア政府の財政赤字抑制姿勢は今後も続く見込みで、マレーシアの内需が加速するとは考えにくい。

 マレーシア中銀は12日、政策金利を発表するが、政策金利は3.00%で据え置かれる見込み。マレーシア内需の伸び悩みや原油先物価格の足元での下落を受けて、同中銀は金利据え置きで景気を支援する姿勢を示すだろう。マレーシア中銀は原油価格次第としているが、3月のマレーシアCPIは前年比+5.1%と、2008年11月以来の高い伸び。インフレが加速しているにもかかわらず、マレーシア中銀が金利据え置きを続けることはMYRの重石となる。

 USD/MYRは今年初めに4.50ちょうど近辺と、1998年1月のアジア通貨危機以来の高値(MYR安値)を記録。2月、3月は4.41~4.46のレンジ内で推移していたが、4月中旬からは下落基調が続き、4月末には4.33台後半を記録。5月3日には4.31台前半までMYR高が進んだ。

 ただ昨年11月9日の米大統領選で記録した安値(4.18近辺)から今年初めの高値(4.50近辺)への上昇(トランプラリー)の61.8%戻し水準(4.30ちょうど近辺)がサポートとして働くとみられ、足元の水準(4.33台)からみたMYRの上値余地は限定的。17日に発表される4月のマレーシアCPIがさらに加速するようだと、USD/MYRはトランプラリーの38.2%戻し水準にあたる4.37近辺や4.40近辺を目指す展開になると予想される。









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