2017年5月1日月曜日

レンジ内での推移が続くと予想されるロシア・ルーブル(RUB)

 ロシアのプーチン大統領は4月26日、ロシアの工業都市(ヤロスラヴリ市)での企業家との会談で、ロシア政府が「市場実勢に基づいた手法(market-based measures)」でロシア・ルーブル(RUB)に影響を与えようとしていると発言した。一部メディアは、この発言をロシア政府がRUB安に誘導しようとしている、と報じた。この報道が伝わったためか、この日のRUBは対ドルで1.7%下落(USD/RUBは56ちょうど近辺から57ちょうど近辺に上昇)した。

 ただ現地報道などをみる限り、プーチン大統領は、強すぎるRUBがロシアかららの輸出を阻害し、定期的な日々の介入でRUBを安定化することが重要と指摘したものの、RUB安に誘導する意向を示したとは確認されない。RUBの対ドルでの年初来パフォーマンスは、4月末時点で+7.6%と、MXN(+10.1%)、PLN(+8.0%)に次ぐ高さ。プーチン大統領の発言は、さらなるRUB高に対するけん制であり、RUBを意図的に下落させる(RUB安策)ことを狙っているわけではないように思える。

 プーチン大統領のRUBに関する発言の2日後にあたる28日、ロシア中銀は政策金利(1週間物入札レポレート)を50bp引き下げ9.25%にすると発表した。利下げは昨年6月と9月に50bpずつ、今年3月に25bpに続き4回目。利下げ幅は累計175bpとなる。ロシア中銀は声明で昨年末に示した緩やかな利下げを続ける意向を改めて確認。金融政策を引き締め気味にすることで、インフレは今年末に目標である4%に鈍化し、2018年と2019年は目標水準に維持されると指摘した。

 ロシアCPIは今年3月に前年比+4.3%と9カ月連続で鈍化し、2012年6月以来の低い伸びに鈍化。昨年6月のCPIが同+7.5%だったことから、インフレの鈍化幅は320bpと利下げ幅を大きく上回る。

 ロシアの今後のインフレは、原油価格やRUBの水準次第ではあるが、ロシア中銀が予想するように目標水準(4%)近辺での推移が見込まれる。一方で、ロシア景気は悪化にようやく歯止めがかかった状況でしかなく、ロシア当局は景気刺激策が求められている。ロシア中銀は、景気の行方を睨みながらも利下げを続けると考えられ、政策金利は今年末までに少なくとも75bp引き下げられ、8.50%になると予想される。

 上述したようにRUBは今年に入って底堅く推移しており、USD/RUBは年始の60台後半から4月半ばには55台後半まで低下。ロシア・プーチン大統領の発言で、57台半ば近辺に反発したものの、先週末は56台後半に下落。週明け(5月1日)も同水準で推移するなど、RUBの下値は堅い。

 ロシアのマントゥロフ産業貿易相は、ファンダメンタルズからみたUSD/RUBは58~59程度であると発言するなど、ロシア政府の主要メンバーからはRUB高に対する不満の声が上がっている。このためUSD/RUBが再び56割れとなれば、ロシア当局によるRUB売り介入がRUBの上値を抑える可能性が高まる。

 しかし一方で、ロシアで利下げが続くとはいえ、政策金利が8%台半ば程度に維持されるのであれば、米FRBが25bpの幅で今年2回か3回の利上げを決めたとしても、高金利を求めたロシアへの資本流入が続くと予想され、RUBを下支えするだろう。世界景気が米国、中国を中心に底堅く推移していることから原油先物価格が大きく下げることも考えにくく、これもRUBをサポートすると考えられる。USD/RUBは年内56~60のレンジ内での推移が続くと予想される。








 

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