2017年6月2日金曜日

世界景気で下支えされているドル円

 昨日(6月1日)に発表された法人企業統計によると、今年1-3月期の全産業(金融業、保険業を除く)の経常利益は、前年比26.6%増と2013年10-12月期以来の高い伸びに加速した。同期の設備投資(ソフトウェアを含む)は、前年比4.5%増と経常利益ほどではないが前期から加速する形で堅調な結果となり、前期比年率2.2%増だったGDPは、2%台後半から3%近くに上方修正されるとみられる。

 日本に限らず、米国や中国、ドイツなど世界の経済大国は、今年に入り景気の底堅さを増している。1-3月期の米GDP成長率は、前期比年率1.2%増と2期連続で減速したが、NY連銀の経済モデル「ナウキャスト」によると、4-6月期の成長率見通しは同2.2%増と1-3月期から持ち直す見込み。アトランタ連銀の経済モデル「GDPナウ」だと、GDP成長率見通しは同4.0%増と大きく反発する予想となっている。

 中国景気も安定的な推移となっている。1-3月期のGDP成長率は前年比6.9%増と前期から加速。当局発表の製造業PMIは4月、5月ともに51.2と、1-3月期の平均(51.6)を下回っているが、好況・不況の分岐点である50を大きく上回っている。

 ドイツでは景気の過熱感すら指摘されている。1-3月期GDPは前年比1.7%増と5四半期連続で2%弱の伸びを維持。製造業PMIは5月に59.5と2014年以降の過去最高を更新し、ドイツ景気の代表的な景況指数であるIFO企業景況感も5月に114.6と1991年の統計開始以来最高を更新した。

 世界景気が堅調ということもあり、株式市場も好調に推移している。米国株式市場では昨日、S&P500、ナスダック総合指数がいずれも終値ベースで過去最高値を更新。日本株市場では本日、日経平均株価が1年半ぶりに2万の大台を突破した。

 世界的に景気も株式市場も堅調であれば、市場はリスクオン相場ということで円売りの動きが強まってもよいところ。しかしドル円は、5月17日に111円割れとなってからは、110~112円の狭いレンジ内での推移が続いている。

 ただ、これは円安の動きが弱い、というよりも、ドルが円と同じように弱いため、とみるべきだろう。5月17日以降のドル指数は97台前半と、年初の103台後半から大きく下落し、昨年11月の米大統領選以来の低水準で推移している。

 ドルが弱い背景には米長期債利回りの低下がある。米10年債利回りは、昨年11月の米大統領選から12月半ばにかけて1.8%台から2.6%台まで上昇したが、今年に入ってからは3月まで2.3~2.6%のレンジ内で推移。4月以降は2.2~2.4%のレンジに下方シフトしている。

 世界的に景気や株式市場が堅調の中で米長期債利回りが低下気味なのは、金融市場が長期の景気拡大を懐疑的にみている表れと解釈できる。今後、世界景気が金融市場の懐疑的な見方を裏付けるかのように変調をきたせば、ドル円はドル売り・円買いの動きが強まるのは避けられない。たとえば、今夜発表される5月の雇用統計で、平均時給が前年比2%台前半に鈍化すれば、米10年債利回りは2.2%を大きく割り込み、2%ちょうど近辺まで低下するだろう。この場合、ドル円は4月半ばに付けた安値(108円台前半)を割り込み、106円台半ばあたりを目指す展開が予想される。

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