2017年6月15日木曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2017年6月14日)



 6月14日のロンドン市場は米経済指標やFOMCの発表を控えながらもドルがじり高の動きとなった。

 ドル円は110円ちょうど近辺から110円台前半に緩やかな上昇基調で推移。ドイツ株はプラスで始まり、その後は上昇基調で推移。米長期債利回りは低下したものの、ドル円を大きく下押しすることはなかった。

 ユーロドルは1.12ドル台前半から1.12ドルちょうど近辺に緩やかな下落基調で推移。4月のユーロ圏鉱工業生産は前年比+1.4%と市場予想通りで、前月分は同+2.2%に小幅上方修正。同時に発表された第1四半期のユーロ圏雇用は同1.5%増と前期から加速したが、ユーロドルはドル買い優勢の展開となった。

 ポンドも対ドルで下落した。取引序盤のポンドドルは1.27ドル台後半で上値の重い動き。その後発表された5月の英失業率は2.3%と前月と変わらず。同時に発表された4月の英週平均賃金は前年比2.1%増と市場予想を下回り、前月分も同2.3%増に下方修正された。両指標が発表された後、ポンドドルは1.27ドル台前半に下落。中盤以降は1.27ドル台半ば手前に小幅上昇する場面もあったが、概ね1.27ドル台前半で上値が抑えられる動きを続けた。

 NY市場は米経済指標発表後にドルが下落。ただFOMC結果発表後にドルは買い戻された。

 取引序盤に発表された5月の米CPIは前年比+1.9%と市場予想を下回り、昨年11月以来の低い伸び。コアCPIも同+1.7%と市場予想を下回り、2年ぶりの低い伸びに鈍化した。また同時に発表された同月同国の小売売上高は前月比0.3%減と市場予想を下回り、昨年1月以来の大幅減少。GDP算出に用いられるコントロール売上高は同横ばい。ただ前月分は同0.6%増に大きく上方修正された。

 米国の両指標発表後、ドル円は110円台前半から109円台前半へと大きく下落。一方、ユーロドルは1.12ドルちょうど近辺から1.12ドル台後半に上昇した。

 取引中盤に近づき発表された4月の米企業在庫は前月比0.2%減と市場予想通り。ただ、その後発表された米週間石油在庫統計でガソリン在庫の増加が示されると原油先物価格が急落。これを受けて、米債利回りは低下。ドル円は109円ちょうど近辺に下落し、ユーロドルは1.13ドルちょうど手前まで上昇した後に1.12ドル台後半で下値の堅い動きとなった。

 取引中盤に入るとFOMC結果発表を前に米債利回りは膠着感を強め、ドル円は109円ちょうどを小幅上回る水準でもみ合い。ユーロドルは1.12ドル台後半で上値の重い動きとなった。

 取引終盤にFRBはFOMC声明を発表。FFレートの誘導目標は25bp引き上げられ1.00~1.25%となった。ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は金利据え置きを主張し、唯一反対票を投じた。声明では雇用増ペースが足元で緩やかになったとしたものの平均すると堅調であると指摘。インフレが最近鈍化したことも指摘したが、中期的にはFOMCが目標とする2%付近で安定するとの見方を維持した。ただ今後注視する項目として、世界の景気や金融市場の動向を削除し、インフレ動向を注視すると文言を変更した。また声明の後段で、経済情勢がおおむね予測通りに推移すれば、年内にバランスシートの正常化に着手する予定であると説明した。

 同時に発表されたFOMCメンバーによる金利見通し(いわゆるドットプロット)は以下の通りだった。

2017年
1.125%(年2回) 4名
1.375%(年3回) 8名
1.625%(年4回) 4名

2018年
1.125% 1名
1.375% 0名
1.625% 1名
1.875% 2名
2.125% 5名
2.375% 2名
2.625% 3名
2.750% 1名
3.125% 1名

※2017年のカッコは利上げ回数見通し

 経済見通しは以下の通りだった。

*実質GDP 
17年 2.2%増(2.1%増)
18年 2.1%増(2.1%増)
19年 1.9%増(1.9%増)
長期 1.8%増(1.8%増)

*失業率 
17年 4.3%(4.5%)
18年 4.2%(4.5%)
19年 4.2%(4.5%)
長期 4.6%(4.7%)

*PCE   
17年 1.6%(1.9%)
18年 2.0%(2.0%)
19年 2.0%(2.0%)
長期 2.0%(2.0%)

*PCEコア 
17年 1.7%(1.9%)
18年 2.0%(2.0%)
19年 2.0%(2.0%)

※カッコは前回(3月)の見通し

 FOMC声明発表後、ドル円は109円台前半に小幅上昇する一方、ユーロドルは1.12ドル台半ば近辺に下落。その後、開催された会見でFRBイエレン議長は、引き続き緩やかな利上げが正当化されると明言。FRBバランスシートの縮小開始は比較的早期で、数回のインフレ指標に過剰反応しないことが重要であるとも述べ、金融政策の正常化に対する強い意欲を示した。

 同議長の会見中に米債利回りは短期債中心に上昇基調が強まり、ドル円は109円台後半に上昇。ユーロドルは1.12ドルちょうどを小幅割り込んだが、引けにかけては1.12ドルちょうどを小幅上回る水準まで反発した。

 米FOMCの内容はほぼ市場予想通り。直前に発表された米CPIが予想以上に弱かった点についてイエレン議長は強気の姿勢を示したが、米10年債利回りの推移をみる限り、市場のインフレ鈍化懸念を払しょくできたとは言い難い。

 5月の米小売売上高の結果については判断が分かれるかもしれないが、GDP算出に用いられるコントロール売上高は底堅い動きとなっており、米景気は潜在成長率並みの拡大ペースを維持していると判断される。第1四半期の伸びが弱かったことも考えると、第2四半期の成長率が3%台に加速する可能性は残っている。現にアトランタ連銀の「GDPナウ」は第2四半期の成長率見通しを3.2%に上方修正している。

 ただトランプ大統領周辺とロシアとの不透明な関係をめぐる疑惑「ロシアゲート」については、依然として混沌としたままで、トランプ政権による財政支出期待はトーンダウン。米景気の加速ストーリーが再び浮上してこない限り、ドル円の上値が抑えられやすい状況は続くとみるべきだろう。

 とはいえ、FOMCが緩やかな利上げ継続の方針を示したこともあって米短期債利回りは下値の堅い動き。本日東京市場でのドル円は109円台後半で方向感に欠ける動きが予想される。

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