2017年6月26日月曜日

上値余地あるものの慎重な姿勢も必要なタイ・バーツ(THB)


 タイ景気は力強さを感じにくい状態が続いている。第1四半期のタイGDPは前年比3.3%増と、前期から加速。前期比では1.3%増と2012年第4四 半期以来の高い伸びを記録した。民間消費が前年比3.2%増と前期(同2.5%増)から加速。外需寄与度は1.6%減と前期(1.4%減)から拡大した が、GDP全体を下支えした。4月のタイ個人消費指数は前年比+3.6%と、2月に続き3%超えを記録するなど、第2四半期も個人消費は堅調に推移してい る。

 しかし一方で、民間設備投資は伸び悩んだままだ。民間投資は前年比1.1%減と前期(同0.4%減)から減少率が拡大。4月のタイ民間投資指数は前年比-0.2%と低下率が縮小しているものの、10カ月連続で前年割れとなった。

  これまでタイ景気をけん引してきた外需にも変調の兆しがみられるようになってきた。5月のタイ貿易収支(通関ベース)は9.4億ドルの黒字と、黒字額が4 カ月連続の前年割れ。輸出は増加基調を維持しているものの、輸入の増加ペースが輸出を上回り貿易収支を悪化させている。

 タイのインフレ圧力も弱いままだ。5月の総合CPIは前年比-0.04%と小幅とはいえ昨年3月以来の前年割れ。コアCPIも同+0.46%と、25カ月連続で伸びが1%未満にとどまっている。

  タイ中銀は5月24日の会合でも政策金利を1.50%で据え置き。同中銀は声明で、タイ景気の見通しは改善している一方で、総合インフレは軟化していると 指摘。現在の緩和的な金融政策が景気をサポートしているとの考えを示した。同中銀は景気回復の牽引役として財輸出と民間消費を指摘しているが、上述したよ うに財輸出の拡大が投資増につながっておらず、民間消費増の効果の一部は輸入増で吸収されている。

 タイ・バーツ(THB)は、対ドルで 年始に36ちょうど近辺を記録したが、その後は上昇基調で推移。2月初めには35ちょうど、5月末には34ちょうどを、それぞれ割り込み、6月半ばには 33.8台と2015年7月以来の高値を記録した。景気はさえないものの、貿易黒字と低インフレは定着。タイ中銀が利下げに踏み切る可能性が低いことも THBをサポートする。

 THB高が輸入物価の低下を通じ、タイのインフレ圧力をさらに弱め、それが民間消費増やTHB高につながるとい う循環が続く可能性はあるものの、THB高の継続は、貿易黒字の縮小を通じ、製造業の収益環境を悪化させ、民間投資がさらに落ち込むリスクも高める。結果 として、タイ景気は伸び悩む可能性も高まる。

 THBの上値余地は依然としてあるものの、それは世界景気の状況次第の部分も大きく、 THBの一段高を期待するにはそれなりに慎重な姿勢も必要と思われる。USD/THBの下の節目は2015年7月の安値である33.7近辺と2015年5 月の安値である33ちょうど近辺となる。一方、上の節目は、50日移動平均である34.3近辺と4月の高値である34.8近辺となりそうだ。


 
 
 



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