2017年7月24日月曜日

軟調な推移が続くとみられるフィリピン・ペソ(PHP)

 フィリピンの対外収支の悪化が続いている。5月のフィリピン貿易収支は27.5億ドルの赤字と、1980年の統計開始以来、最大の赤字を記録。輸出は前年比13.7%増と3カ月連続の二けた増となったが、輸入が同16.6%増と急増。同国政府主導のインフラ投資の拡大で資源や原材料の輸入が拡大した。6月のフィリピン総合国際収支は5.69億ドルの赤字と赤字額が前月の0.6億ドルから大きく拡大。同指標は、昨年10月から6月までの9カ月間のうち、4月を除く8カ月で赤字を記録している。

 対外収支の悪化の背景には、フィリピン景気の拡大と海外労働者送金の鈍化があげられる。第1四半期のフィリピンGDPは前年比6.4%増と2期連続で鈍化。ただ鈍化の主因は、前年同期にフィリピン政府が5月の選挙を控え政府支出を拡大させたことによる反動減。民間消費は前年比5.7%増、固定資本投資は同11.8%増と、いずれも前期から鈍化したものの高い伸びを維持。第2四半期以降も前年比で6%台の伸びは維持するとみられる。一方、海外労働者送金は、4月に前年比5.9%減と6カ月ぶりの前年割れ。翌5月は同5.5%増と反発したが、先進国からの送金は前年並みに落ち込んでおり、以前のような勢いはなくなりつつある。

 フィリピンのインフレ圧力の高まりは落ち着きを見せつつある。6月のフィリピンCPIは前年比+2.8%と2カ月連続で鈍化し、5カ月ぶりに2%台に鈍化。フィリピン中銀のギニグンド総裁はCPIは4月にピークを打ったと発言。同中銀は6月の会合で今年のインフレ見通しを従来の3.4%から3.1%に引き下げた。

 インフレが落ち着いたことでフィリピン中銀は様子見姿勢を強めている。同中銀は6月の会合でも政策金利を3.00%で据え置き。声明では、前回声明で削除された「現状の金融政策は適切」との文言が復活し、金利据え置きを今後も続ける意向を示唆した。

 対外収支が悪化する一方、インフレは鈍化。ただ景気が拡大する中でも、中銀が金利据え置き姿勢を強めていることからフィリピン・ペソ(PHP)は軟調な推移を続けている。たとえば新興国通貨の年初からの対ドルパフォーマンスをみると、ほとんどの通貨が上昇を記録する中、PHPは1.9%の下落と、アルゼンチン・ペソ(ARS)に次ぐ下落率を記録している。

 フィリピンは、輸出競争力が高くない一方で、資本財を中心に輸入依存度が高い。このため世界景気の拡大を背景に輸出増が続いたとしても、内需拡大を受けた輸入増のペースが上回り、結果的に貿易収支の悪化が続く恐れが高い。外国人投資家によるフィリピン株式市場への資本流入も止まっており、PHPは軟調な推移が続くとみられる。USD/PHPは6月中旬から上昇(PHP安)基調で推移。7月11日には50.96近辺と2006年9月以来の高値を記録した。次の節目は2006年8月の高値である52ちょうど近辺で、ここを上抜けると同年6月の高値である53.7近辺が視野に入る。







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