2017年2月4日土曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2017年2月3日)



 2月3日のロンドン市場はドルが対欧州通貨で上昇した。

 ユーロドルは1.07ドル台後半からじり安の動きが続き、取引後半には1.07ドル台前半に下落。取引中盤に発表された12月のユーロ圏小売売上高は前年比1.1%増と市場予想を下回ると、ユーロは上値の重い動きが強まった。

 一方、ドル円は113円台前半でこう着感の強い動き。米雇用統計を控え米債利回りはもみ合い。ドイツ株は小幅プラスで始まったものの、その後は方向感に欠ける展開となり、ドル円は様子見姿勢が続いた。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2017年2月3日)

 新興国通貨は対ドルで買い優勢となった。

 SGDは対ドルで0.2%の上昇。
1月のシンガポール製造業PMIは51.6と前月から低下した。

 CNYは対ドルで0.2%の上昇。
1月の中国・財新製造業PMIは51.0と市場予想や前月を下回った。

 BRLは対ドルでほぼ変わらず。
1月のブラジルFIPE・CPIは前月比+0.32%と市場予想や前月を下回った。

 MXNは対ドルで0.9%の上昇。
1月のメキシコ消費者信頼感は68.5と市場予想を大きく下回り、2001年の統計開始以来の最低を大きく更新した。

 CLPは対ドルで0.7%の上昇。
チリ中銀は会合議事録(1月20日結果発表分)を公表。同会合では25bpの利下げが決められたが、会合では50bpの利下げの議論があったことが判明。景気減速とインフレ鈍化が意外なものとの見方があったことも示された。

 COPは対ドルで0.9%の上昇。
コロンビア中銀は四半期インフレ報告を公表。今年のインフレは4%に非常に近づくとみられるが、インフレ鈍化のペースは同中銀が望むほどのペースではないだろうとの考えが示された。1月のコロンビアPPIは前年比+2.66%と前月から加速した。

 TRYは対ドルで1.0%の上昇。
1月のトルコCPIは前年比+9.22%と市場予想を大きく上回り、1年ぶりの高い伸びに加速した。

 ZARは対ドルで1.0%の上昇。
1月の南アフリカ・スタンダード銀行PMIは51.3と前月から小幅低下した。

 HUFは対ドルで変わらず。
12月のハンガリー小売売上高は前年比3.2%増と市場予想や前月を下回った。

 RUBは対ドルで0.7%の上昇。
ロシア中銀は市場予想通り政策金利を10.00%で据え置き。同中銀は声明でロシア景気の回復ペースは当初の予想より早く、第1四半期の利下げの可能性は低くなったと指摘。インフレが4%目標を満たさない可能性は依然としてあるとの見方を示した。

よい週末をお過ごしください。

2017年2月3日金曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2017年2月2日)




 2月2日のロンドン市場はドルが下落基調で推移した。

 ドル円は取引序盤こそ112円台後半で推移していたが、中盤に近づくと下落基調に転じ、取引後半には112円台前半に下落。取引序盤に持ち直した米債利回りは、その後、低下。ドイツ株はマイナス圏での推移が続き、ドル円の上値を重くした。取引終盤に米債利回りが小反発となると、ドル円は112円台半ば近辺に上昇したが、上値は抑えられた。

 ユーロドルは取引前半に1.07ドル台後半から上昇基調で推移し、中盤には1.08ドルちょうど近辺に上昇。ただ高値警戒感も強く、取引後半は1.08ドルちょうど近辺でもみ合いとなった。12月のユーロ圏PPIは前年比+1.6%と市場予想を上回り、2013年1月以来の高い伸びに加速したが、市場の反応は限定的だった。

 ポンドは取引前半に1.26ドル台後半から1.27ドルちょうどに上昇。しかし1月の英建設業PMIが52.2と市場予想を下回ると、ポンドドルは1.26ドル台前半まで下落した。

 取引後半にBOEは市場予想通り政策金利を0.25%で据え置き。資産購入規模も4350億ポンドで据え置くと発表した。いずれも全会一致。同時に発表されたインフレ報告では、今年の成長率見通しを昨年11月時点の+1.4%から+2.0%に大幅上方修正。一方、インフレは2年後見通しを2.56%%、3年後見通しを2.36%にそれぞれ下方修正した。議事要旨では一部メンバーが2%のインフレ目標のオーバーシュートについて容認する限度に「やや近づいている」との認識を示したことが判明した。BOEカーニー総裁は、声明発表後の会見で成長見通しの上方修正は、ブレグジットによる景気への影響がないというわけではないと指摘。BOEは見通しに基づき双方向に行動できると発言した。

 BOE声明発表後、ポンドは売りが先行し、ポンドドルはNY市場序盤までに1.25ドル台後半まで下落した。

 NY市場ではドルが上昇基調で推移した。

 取引序盤はドル円が112円台前半、ユーロドルは1.08ドルちょうど近辺でそれぞれ推移。取引中盤に近づき発表された第4四半期の米労働生産性は前期比+1.3%と市場予想を上振れ。同時に発表された米新規失業保険申請件数は24.6万件と市場予想を下回った。両指標発表後、ドル円は112円ちょうど近辺まで下落したが、中盤にかけては112台前半で持ちなおし。ユーロドルは1.08ドル台前半に小幅上昇したが、上値は抑えられた。

 取引中盤に入り、一部米大手企業の起債が発表されたことを受けて米債利回りは上昇。ドルは買い戻しの動きが強まり、ドル円は取引後半に112円台後半と、この日の高値を更新。終盤は同水準を維持した。一方、ユーロドルは下落基調での推移が続き、終盤には1.07ドル台半ば近辺まで下落した。

 米新規失業保険申請件数は24万件台を維持するなど米雇用環境は好調なまま。今夜発表される1月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が18万人程度の増加と見込まれているが、同月同国のADP雇用統計の結果も考えると、市場予想を上回ることも期待できる。

 米債利回り、米国株はともに下値の堅い動きを維持。本日東京市場でもドル円は底堅く推移すると予想される。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2017年2月2日)

 新興国通貨は東欧通貨が対ドルでやや軟調だったが、他は対ドルで買い優勢となった。

 KRWは対ドルで1.0%の上昇。
1月の韓国CPIは前年比+2.0%と市場予想を大きく上回り、2012年10月以来の2%台を記録。ただコアCPIは同+1.5%と市場予想を上回ったものの、伸び加速は限定的だった。今朝発表された1月の韓国外貨準備は3740億ドルと前月から増加。12月の韓国経常収支は78.7億ドルの黒字と黒字額が前年同月比2.9%減となった。

 MYRは対ドルで小幅上昇。
1月のマレーシア製造業PMIは48.6と4カ月ぶりの高水準に上昇した。

 TWDは対ドルで0.9%の上昇。
1月の台湾製造業PMIは55.6と前月から低下した。

 THBは対ドルで小幅上昇。
1月のタイ消費者信頼感は74.5と2カ月連続で上昇した。

 SGDも対ドルで小幅上昇。
1月のシンガポール購買部景気指数は51.0と市場予想を上回り、2014年11月以来の高水準に上昇した。

 MXNは対ドルで0.7%の上昇。
11月のメキシコ景気先行指数は前月比-0.09と27カ月連続で低下した。

 COPは対ドルで1.0%の上昇。
12月のコロンビア輸出は前年比32.7%増と5年ぶりの高い伸びに加速した。

 ZARは対ドルで0.5%の上昇。
12月の南アフリカ発電量は前年比0.8%増と前月から鈍化した。

 TRYは対ドルで0.9%の上昇。
1月27日までの週のトルコ非居住者によるトルコ債投資は3.22億ドルの売り越しと3週連続の売り越しとなった。

 CZKは対ドルで小幅下落。
チェコ中銀は市場予想通りレポレートやCZKの対ユーロ上限策といった一連の金融政策を現状維持。同中銀は声明でCZKの対ユーロ上限策は今年第2四半期より前に終了することはないと指摘。終了時期は今年半ばあたりになるとの見方を示した。同中銀のルスノク総裁はCZKの対ユーロ上限策終了後の過度なCZK高の動きを抑える用意ができていると発言した。

 RUBは対ドルで1.2%の上昇。
1月27日のロシア金・外貨準備高は3925億ドルと前週から増加。米財務省はロシア連邦保安局(FSB)に課していた制裁に限定的な例外を設けると発表。ただトランプ米大統領は、ロシアに対する制裁を緩和するとの問いに対し、何も緩和しないと答えた。

本日もよろしくお願いいたします。

2017年2月2日木曜日

トランプ大統領に配慮? 2月FOMC声明の見解

 米連邦公開市場委員会(FOMC)は、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.50-0.70%に据え置くことを全会一致で決定。FF金利の据え置きは市場予想通りだっただけに意外感はないが、公表された声明には興味深い点がいくつかある。

 声明の第一段落に記載される当局の現状判断では、経済活動の緩やかな拡大が続いており、雇用の伸びは堅調を維持し、失業率は低水準のままと、前回12月会合での判断と概ね同じだった。各論では、家計・企業のマインド(信頼感)に改善がみられるとの文言が追加され、景気の現状認識が(若干ではあるが)上方修正されたといえる。

 インフレについては、現状判断で慎重な見方が維持される一方、先行き(見通し)も(若干ながら)上方修正された。インフレの現状判断では、最近の数四半期に加速したものの、依然として目標である2%を下回っていると指摘。物価連動債と普通国債の利回り差から求められるブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、2年物で1.95%近辺と2014年3月以来の高水準に加速しているが、FOMC声明では市場ベースのインフレ期待も依然として低く、サーベイ(調査)ベースのインフレ期待はほとんど変わっていないとされた。筆者は、BEIの加速を根拠にインフレ期待の現状認識が上方修正される可能性があると考えていただけに、今回の判断はやや意外だった。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2017年2月1日)




 2月1日のロンドン市場はドルの上値が重い展開となった。

 ドル円は取引前半にドイツ株の上昇を受けて113円台前半から113円台後半に上昇。しかし中盤に入ると、113円台半ば手前に反落。後半は113円台前半へとじり安の動きとなった。東京市場で底堅く推移していた米債利回りはロンドン市場に入るとじり安の動き。ドイツ株が伸び悩んだことで、ドル円も上値の重い動きとなった。

 ユーロドルは取引前半に1.07ドル台後半で上値の冴えられる動き。中盤に近づくと、1.08ドルちょうどに上昇したが、1月のドイツ製造業PMI(確報値)は56.4と市場予想に反し、速報値から小幅下方修正となると、1.08ドルちょうど手前でもみ合い。後半は1.07ドル台後半に下落した後に、再び1.08ドルちょうどに上昇した。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2017年2月1日)

 新興国通貨は対ドルで買い優勢だった。

 KRWは対ドルで0.3%の上昇。
12月の韓国鉱工業生産は前年比+4.3%と市場予想を上振れ。1月の韓国貿易収支は32.0億ドルの黒字と黒字額が市場予想を大きく下回った。輸出が前年比11.2%増と市場予想を上回ったものの、輸入が同18.6%増と2012年2月以来の大幅増となったことが響いた。1月の韓国製造業PMIは49.0と前月から小幅悪化した。

 IDRはBloombergによると対ドルで0.2%の下落。
1月のインドネシア製造業PMIは50.4と4カ月ぶりに50台を回復。同月同国のダナレクサ消費者信頼感は96.2と1年ぶりの低水準。1月のインドネシアCPIは前年比+3.49%と市場予想を小幅上回った。

 PHPは対ドルで小幅下落。
1月のフィリピン製造業PMIは52.7と2016年以降の最低を記録した。

 THBは対ドルで0.2%の上昇。
1月のタイ製造業PMIは50.6と前月から変わらず。1月のタイCPIは前年比+1.55%と前月から小幅加速したが、コアCPIは同+0.75%とほぼ変わらず。1月のタイ企業景況感は50.1と前月から小幅低下した。

 CNYは休場。
1月の中国製造業PMIは51.3、同月同国の非製造業PMIは54.6と、いずれも前月とほぼ同じだった。

 INRは対ドルで0.6%の上昇。
1月のインド製造業PMIは50.4と前月から小幅上昇した。

 BRLは対ドルで0.7%の上昇。
12月のブラジル鉱工業生産は前年比-0.1%と市場予想を下振れ。1月のブラジル製造業PMIは44.0と2カ月連続で低下。1月のブラジル商品価格指数は前年比-9.10%と3カ月ぶりに大きな低下。同月同国の貿易収支は27.3億ドルの黒字と黒字額が市場予想を上回ったが、前月から大きく縮小した。

 MXNは対ドルで0.5%の上昇。
12月のメキシコ海外労働者送金は前年比6.2%増と市場予想を下回る伸び。1月のメキシコ製造業PMIは50.8と前月から改善。同月同国のIMEF指数は製造業が49.0と市場予想を上回り、前月から改善したが、非製造業は47.1と市場予想を下回り、2009年6月以来の低水準に悪化した。

 PENは対ドルで変わらず。
1月のペルーCPIは前年比+3.10%とほぼ市場予想通りで前月から小幅鈍化した。

 RUBは対ドルでほぼ変わらず。
1月のロシア製造業PMIは54.7と市場予想を上回り、2014年の統計開始以来最高を更新。1月30日のロシアCPIは前週比+0.1%と前週と変わらず。昨年のロシアGDP成長率は0.2%減と市場予想ほど落ち込まず。一昨年の成長率も従来の3.7%減から2.8%減に上方修正された。

 TRYは対ドルで0.2%の上昇。
1月のトルコ・マークイット製造業PMIは48.7と前月から改善した。

 HUFは対ドルで小幅下落。
1月のハンガリー製造業PMIは56.5と市場予想を大きく上回り、3カ月ぶりの高水準に回復した。

 PLNは対ドルで小幅上昇。
1月のポーランド・マークイット製造業PMIは54.8と市場予想に反し前月から改善した。

 CZKは対ドルで0.3%の下落。
1月のチェコ・マークイット製造業PMIは55.7と市場予想を上回り、1年ぶりの高水準に上昇した。

 ZARは対ドルで0.2%の上昇。
1月の南アフリカ・バークレイズ製造業PMIは50.9と市場予想を上回り、6カ月ぶりに50台を回復。1月の南アフリカNaamsa自動車販売は前年比3.7%増と市場予想に反し前年越えとなった。

本日もよろしくお願いいたします。

2017年2月1日水曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2017年1月31日)

 1月31日のロンドン市場はドルが取引前半こそ買い優勢となったが、終盤に対ユーロを中心に売りに転じた。

 ユーロドルは取引前半に1.07ドルちょうど手前から1.07ドル台前半に上昇。取引序盤に発表された12月のドイツ小売売上高は前年比1.1%減と市場予想に反し前年割れとなったが、その後発表された1月のドイツ失業者数が2.6万人減と市場予想を上回る減少。同月同国の失業率は5.9%と、東西ドイツ統一以降の最低を更新し、ユーロ買いの動きをサポートした。

 しかし取引中盤に米債利回りの上昇が続くと、ユーロドルは1.07ドルちょうど近辺に反落。第4四半期のユーロ圏GDPが前年比1.8%増、同時に発表された1月のユーロ圏CPIが同+1.8%と、ともに市場予想を上回ると、ユーロドルは1.07ドル台前半に小幅上昇したが、上値は抑えられた。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2017年1月31日)

 新興国通貨は対ドルで買い優勢だった。

 SGDは対ドルで0.9%の上昇。
12月のシンガポールM2は前年比8.0%増と3カ月連続で加速し、2013年6月以来の高い伸びを記録した。

 THBは対ドルで0.2%の上昇。
12月のタイ製造業生産は前年比0.5%増と市場予想を下振れ。同月同国の設備稼働率は63.3%と前年同月より小幅低下。同月同国の経常収支は37.2億ドルの黒字と黒字額が市場予想を上回った。

 INRは対ドルで小幅上昇。
12月のインド財政収支は4352.4万ルピーの赤字と5カ月ぶりの大幅赤字を記録。インド政府は昨年度(2015年4月から16年3月)のGDP成長率を従来の7.6%から7.9%に上方修正した。

 PHPは対ドルで小幅上昇。
12月のフィリピンM3は前年比12.4%増と前月並みの伸びを維持した。

 IDRはBloombergによると対ドルで変わらず。
12月のインドネシアM2は前年比7.0%増と前月から鈍化した。

 BRLは対ドルで0.7%の下落。
12月のブラジル基礎的財政収支は707億レアルの赤字と赤字額が市場予想を下振れたが、前月からは大幅拡大。同月同国の製造業PPIは前年比+0.78%と3カ月ぶりのプラスに転じた。

 MXNは対ドルで0.3%の下落。
第4四半期のメキシコGDPは前年比2.2%増と市場予想通りで前期から小幅加速した。

 CLPは対ドルで0.2%の上昇。
12月のチリ失業率は6.1%と市場予想通りで前月から小幅改善した。

 ZARは対ドルで0.2%の上昇。
12月の南アフリカM3は前年比6.06%増と市場予想や前月を上回った。

 TRYは対ドルで0.3%の上昇。
12月のトルコ貿易収支は56.0億ドルの赤字と市場予想通り。同月同国の外国人観光客数は前年比11.1%減と前月から減少率が大きく縮小。トルコ中銀は会合議事録(1月24日結果発表分)を公表。コアインフレは上昇基調にあり、短期的には加速する可能性があるとの指摘があった。

 HUFは対ドルで0.9%の上昇。
12月のハンガリーPPIは前年比+0.5%と2015年7月以来の前年比プラスを記録した。

 ILSは対ドルで0.2%の上昇。
12月のイスラエル失業率は4.3%と2012年の統計開始以来最低を更新した。

本日もよろしくお願いいたします。

2017年1月31日火曜日

上値追いは推奨できないマレーシア・リンギット(MYR)

 マレーシア・リンギット(MYR)は今年に入ってから上昇基調での推移が続いている。MYRは年初に対ドルで4.50ちょうどと過去最安値を更新。しかし、その後のMYRはじり高の動きを続け、先週26日には4.425近辺を記録。休場明けの本日(31日)も4.43ちょうど近辺と下値の堅い動きを見せている。

 MYR上昇の背景には米債利回りの上昇一服がある。米10年債利回りは昨年12月15日に2.64%近辺まで上昇。しかし、今年に入ると低下基調に転じ、一時は2.30%近辺まで低下した。米金利の低下で、マレーシアからの資本流出懸念が後退したと考えられる。

 マレーシア当局による積極的なMYR防衛も功を奏したようだ。昨年11月の米大統領選の翌週、マレーシア中銀は、国内銀行によるNDF取引が禁じられていることを改めて通知するとともに、規制の実効性を高める措置を導入するとし、NDFを通じたMYR売りの動きに圧力をかけた。また12月には国内為替取引の自由化などの措置を導入。これにより海外投資家は投資取引証明を提出することなくMYR建て資産の25%相当までを国内為替先物でヘッジする可能となり、海外投資家の不安感を後退させた。また同時にMYR買い介入も断続的に実施した模様で、1月13日時点のマレーシア外貨準備は943億ドルと、2015年11月半ば以来の低水準に減少している。

 しかしMYRの脆弱性は、現時点で改善していないことを忘れてはならない。外国人投資家によるマレーシア国債の保有高は昨年12月時点で1684.8億リンギットと、同年2月以来の低水準に減少したが、同国債発行額に占める割合は50%近辺と、インドネシアの40%弱を大きく上回っている。

 マレーシアの短期対外債務の大きさは、今後もMYRの重石となるだろう。昨年9月末時点のマレーシア短期対外債務は8652.8億リンギット。9月末時点の同国外貨準備高は、短期対外債務の1.14倍に過ぎず、資本流出が強まればMYR安は進みやすくなる状況に変わりはない。

 昨年はMYR安が進み、原油先物価格は上昇したが、マレーシアの対外収支は改善が頭打ちである。11月のマレーシア貿易収支は90.3億リンギットの黒字と黒字を維持したが、7カ月連続で前年割れとなっている。

 足元では米トランプ政権による新政策の先行き不透明感が強く、ドルは上値の重い展開となっているが、米景気は底堅さを維持。FRBによる追加利上げが視野に入れば、米債利回りが上昇基調を取り戻す可能性が高く、MYRの対外環境が再び悪化する恐れがある。マレーシア当局はMYR安抑制姿勢を続けるだろうが、MYRの上値追いは合理的なものと思えない。
 

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2017年1月30日)

  1月30日のロンドン市場はドルが底堅く推移した。

 ドル円は取引前半に114円台半ば近辺から115円ちょうど手前に上昇。ロンドン市場に入り米債利回りが上昇。ドル円の上昇をサポートした。しかし中盤に入り米債利回りは伸び悩み、下げて始まったドイツ株は軟調継続。ドル円も上値が重くなり、終盤は114円台後半での推移となった。

 一方、ユーロドルは取引前半に1.07ドル台前半から1.07ドルちょうどに下落。1月のドイツ・ザクセン州CPIは前年比+2.3%と前月から大きく加速したが、ユーロドルはドル買い優勢。取引中盤に入り発表された1月のユーロ圏景況感は107.9と市場予想や前月をを小幅上回ったが、市場の反応は限定的。ユーロドルは1.07ドルちょうど手前でもみ合いを続けたが、終盤にオーストリア中銀のノボトニー総裁がドル高は欧州経済にとって良いことだと発言し、3月はテーパリング議論には早すぎると述べると、ユーロは売りの動きが強まり、ユーロドルは1.06ドル台前半まで下落した。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2017年1月30日)

 KRWは休場。
12月の韓国百貨店売上高は前年比3.3%増と前年比プラスに転換。同月同国のディスカウントストア売上高は同1.9%減と前月から減少幅が縮小した。

 BRLは対ドルで0.5%の上昇。
1月のブラジルIGP-Mは前年比+6.65%と市場予想を下回り、2015年6月以来の低い伸び。12月のブラジルCNI設備稼働率は76.0%と市場予想を下回り、2003年の統計開始以来最低を更新。同月同国の中央政府財政収支は601億レアルの赤字と、赤字額が前月を上回ったが、市場予想ほど拡大しなかった。

 CLPは対ドルで0.4%の上昇。
12月のチリ鉱工業生産は前年比+0.3と市場予想を小幅上触れ。同月同国の小売売上高は同4.1%増と市場予想に反し、前月から鈍化した。

 TRYは対ドルで2.5%の上昇。
1月のトルコ経済信頼感は85.7と2009年4月以来の低水準に悪化した。

 HUFは対ドルで0.2%の上昇。
12月のハンガリー失業率は4.4%と、1999年の統計開始以来最低を更新した。

 ZARは対ドルで0.4%の下落。
12月の南アフリカ財政収支は227億ランドの黒字と5カ月ぶりの黒字に回復したが、黒字額は前年同月比で30.6%の減少だった。