2018年1月22日月曜日

上値が重くなると予想されるブラジル・レアル(BRL)

 ブラジルの年金改革法案の早期成立が難しくなっている。同法案は昨年末に採決される予定だったが、来月(2月)に採決を延期することを決定。先週には、今年10月に予定されている大統領選・議会選が終わるまで、法案採決が延期されるだろうとの観測記事が、政府・議会関係者の話として報じられていた。

 ブラジルの年金改革法案は、財政赤字削減策の一つであり、年金給付は総額で削減される。政府は、年金支給開始年齢の引き上げ幅を当初案より小さくすることで、法案可決の可能性を議会に働きかけているようだが、選挙を前に年金給付の削減という不人気政策を推進するインセンティブは議会側にはない。先週の観測記事にあったように、年金改革法案は来月になっても採決されない可能性が高いと思われる。

 仮に年金改革法案が可決したとしても、ブラジルの財政再建の先行き不透明感は強い。テメル大統領の支持率は、自らの汚職疑惑もあって1桁台前半のまま。同大統領は10月大統領選への出馬を否定し続けている。一方、同選挙の支持率調査では、元大統領ルーラ氏が30%程度で1位、極右政治家として知られるボウソナロ下院議員が15%程度で2位。過去の発言などを考慮すると、両者ともに、支持獲得を目指し財政再建路線を否定するとみられる。

 年金改革法案の採決先送りなどを背景に、ブラジル債の格下げ圧力は高まっている。米格付け大手S&Pは11日、ブラジルの長期債務格付けを「BB」から「BB-」へ格下げし、格付けの見通しを、「ネガティブ」から「安定的」に変更した。同社は格下げの理由として、ブラジルの財政改革の遅れと18年の大統領選挙後の政策の不確実性を指摘した。現時点ではムーディーズ(Ba2)、フィッチ(BB)の両社は、S&Pより1ノッチ上の格付けを付与しているが、両者ともに格付け見通しは「ネガティブ」であり、追随格下げの可能性は否定できない。

 ブラジル中銀は2月7日に金融政策委員会(COPOM)を開催するが、政策金利は25bp引き下げられ6.75%になると見込まれている。Bloomberg調査やブラジル中銀の週次サーベイによると、市場関係者の多くは、ブラジル中銀が2月の委員会で25bpの利下げを決めるとともに利下げ打ち止めを示唆するとみている。ブラジル景気は底打ちしており、インフレ鈍化も一服。ブラジル中銀は利下げを休止し、様子を見るだろうとの見方が優勢だ。仮に市場の見方通りの展開となれば、ブラジル債の利回りは金利狙いの投資家にとって魅力的なものであり続ける。

 ブラジル・レアル(BRL)は、ドル安局面が続いたこともあり、対ドルで年始から上昇基調で推移。USD/BRLは年始の3.30ちょうど近辺から3.20ちょうどを割り込む水準まで下落し、10月20日以来のBRL高水準に達している。しかし2月に近づき、年金改革法案の採決が10月まで先送りされるとの見方が強まれば、ムーディーズ、フィッチともに格下げに動くとみられ、財政赤字の拡大懸念もあってBRLの上値は重くなるとみるべきだろう。USD/BRLは、現状水準の3.20ちょうど近辺がサポートと予想され、3.25や3.30が上値のターゲットと考えられる。






 

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