2018年2月5日月曜日

下値の堅い動きが続くとみられる中国・人民元(CNY)

 中国・人民元(CNY)の上昇が止まらない。USD/CNYは、昨年10月初めから12月半ばまで6.57~6.65のレンジ内で推移していたが、その後下落基調で推移。先週末は一時6.26台後半と2015年8月以来のCNY高水準に下落した。

 CNY高の背景には、中国の資本流出が止まったことがあげられる。中国・国際収支統計の外貨準備を除く金融収支(資本フローに該当)は、2014年に514億ドルの赤字、2015年に4,345億ドルの赤字、2016年に4,170億ドルの赤字と、3年連続の赤字(資本流出)を記録。しかし2017年に入ると、同収支は一転して黒字が続き、昨年1~9月期の累計黒字額は1,120億ドルに達している。

 貿易・経常収支の持ち直しもCNYをサポートする。2016年の中国・経常黒字は1,964億ドルの黒字と2013年以来の低水準に縮小。四半期ベースでは2016年第4四半期に118億ドル(年率472億ドル)まで黒字額が縮小した。2017年第1四半期も経常黒字は184億ドルと低迷したが、第2四半期は509億ドル、第3四半期は405億ドルと、持ち直している。貿易黒字は、2017年第1四半期に604億ドル(前年比56.5%減)と急減したが、第2四半期は118億ドル(同10.2%減)、第3四半期は114億ドル(同88.3%増)、第4四半期は131億ドル(同11.4%増)と、2017年下期は増加基調に転じた。2月8日発表予定の1月の貿易黒字は、547億ドルと、前年比12%程度の増加が見込まれている。

 中国景気の安定も、資本流出の抑制を通じCNY高につながる。2017年の中国GDP成長率は6.9%増と、昨年(2016年)の6.7%増から加速。今年も中国景気は消費中心に堅調に推移している様子で、1月の中国・非製造業PMIは55.3と3カ月連続で上昇した。

 中国の習近平・国家主席は、主席に就任した当初から、中国経済を設備投資・輸出主導から消費主導に変革させる必要性を強調している。同主席は、昨年10月の中国共産党大会の党中央委員会活動報告(政治報告)で、2020年から35年までの15年間を「第1段階」と位置付け、都市と農村の生活水準の差を大幅に縮小するなど「人民全体の共同富裕」に向けて堅実な歩みを進めると言及。さらに50年までの「第2段階」では共同富裕を実現させ、「総合的な国力と国際影響力において世界の先頭に立つ国家になる」と宣言した。

 習主席の発言から推察されるのは、人民元相場の高め誘導策である。中国経済が消費中心に変わるとともに、中国を国際政治上で先頭に立たせるには、自国通貨である人民元は他通貨に比べ高い方が都合がよい。資本流出が収まり、貿易・経常黒字は持ち直し、景気が安定しているのであれば、中国当局が元高誘導に舵を切っても不思議ではない。

 2015年8月以来の安値(CNY高)に達したUSD/CNYの次の節目は、2015年8月の安値となる6.20ちょうど近辺。6.20は2015年後半から2016年末まで続いた元安局面の直前の水準となるが、BISが算出する実質実効ベースのCNYは、先週末時点で125.5近辺と、2015年7月に記録した最高水準(131.0)から4%ほど低い水準にある。中期的にみたCNYの割高感は強くなく、CNYは下値の堅い動きを維持するとみられる。


 



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