2018年3月5日月曜日

ラマポーザ期待と景気鈍化の綱引きとなりそうな南アフリカ・ランド(ZAR)

 南アフリカ・ランド(ZAR)が、2月26日をピークに下落基調で推移している。ZARは2月26日に対ドルで11.5ちょうど近辺と、2015年2月以来のZAR高水準を記録。しかし、その後のZARは下落基調で推移し、先週末(3月2日)には一時12.0を上抜けし、2月12日以来と約3週間ぶりの安値に下落した。

 ZARは昨年11月13日に対ドルで14.5台後半と1年ぶりの安値を記録。しかし、その後は、南アフリカのズマ大統領退陣期待を背景に上昇基調で推移していた。今年2月14日に、ズマ大統領が辞任し、与党・アフリカ民族会議(ANC)議長で副大統領を務めていたラマポーザ氏が新大統領に選出されると、対ドルで12ちょうど近辺を推移していたZARは、一気に11.7まで上昇した。

 ラマポーザ新大統領がZAR買いにつながったのは、ラマポーザ政権発足により南アフリカの財政収支が改善するとの期待が高まったと考えられる。同新大統領は、実業界出身で、大統領就任前から経済・財政改革の必要性を主張。大統領就任直後に発表された2018年度(18年4月~19年3月)予算案では、付加価値税(VAT)の14%から15%への引き上げなどの増税策を公表。財政赤字(対GDP比)は2017年度の4.3%から3.6%に縮小する見通しを示した。またズマ前大統領に更迭されたネネ、ゴーダンの両元財務相は、2月26日の内閣改造で政権に復帰した。

 ラマポーザ大統領が、ズマ前大統領に比べ、経済・財政改革の必要性を認識し、就任早々に行動に移している点は評価されるべきだが、市場の期待通りに経済・財政改革が現実のものとなるかは不透明感が高い。南アフリカでは来年5月に総選挙が実施されるが、緊縮財政の推進でANCの支持率が低下し、ANCがラマポーザ政権に圧力を加える可能性は十分にある。

 緊縮財政の推進で低成長が長期化する恐れもある。3月6日に発表予定の第4四半期の南アフリカGDPは、前期比年率1.8%増と2期連続で鈍化の見込み。これまで景気を下支えしてきた輸出は、今年1月の前年比0.4%増と急鈍化。一方で、輸入は同18.3%増と急増しており、今年は外需が一転して景気を下押しする可能性も高まっている。

 家計消費も先行き期待が持ちにくい。昨年第4四半期の南アフリカ失業率は26.7%と1年ぶりの低水準。ただ、高水準であることに変わりはなく、緊縮財政が進めば進むほど、家計消費の改善も止まりやすくなる状態にある。

 南アフリカにとって望みの綱は、インフレの鈍化だろう。南アフリカCPIは、1月に前年比+4.4%と、2015年3月以来の低い伸び。コアCPIは同+4.1%と、2011年12月以来の低い伸びとなった。これまでのZAR高が今後もインフレ圧力を抑えるだろうが、原油先物価格など商品市況は上昇。南アフリカ中銀が、景気浮揚を目的に利下げ再開となれば、インフレ期待が高まる恐れが高まる。

 南アフリカのファンダメンタルズが、今後も改善を続けるとは期待しにくく、ZARの上昇はいったん止まったとみるのが自然に思える。今後はラマポーザ政権への期待感がZARをサポートする一方、景気を中心とした経済指標の悪化がZARの下押し圧力として作用すると予想される。USD/ZARの下落は、あったとしても11.5程度。上の節目は12.00、12.23、12.50、12.68、13.00が想定される。



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