2020年1月13日月曜日

税食業と税生業

 産業は製造業と非製造業の2つに分けられることが多いですが、税食(ぜいしょく)業と税生(ぜいしょう)業の2つに分けることもできます。税食業は、タックス・イーター(tax eater)という言葉から作り出した造語です。タックス・イーターとは、その名の通り、税金を食べる者、を意味します。税食業は、売上の多く(もしくは全て)を税金に依存する産業をいいます。

 税生業は、税食業と違い、売上を税金に依存しない産業をいいます。たとえば、売上高の多くが輸出による産業は、税生業の一つと言えます。輸出による売上は、日本国外での販売によるわけで、日本の税金が使われていないからです。

 なぜ、こうした産業を税「生」業と名付けたかというと、売上を税金に依存しない産業は、税金を使っていないだけでなく、利益の一部を税金として納める、つまり税金を生み出す産業といえるからです。

 税食業に属する産業は、役所や役人の天下り団体のほか、公共事業を請け負う建設業、武器製造業、公的組織での教育、医療・福祉・介護、廃棄物処理、政治家などです。一方、税生業に属する産業は、製造業の多く、電気・ガス、通信、情報サービス、運輸、卸小売、不動産などがあります。

 今後、与党が自民党から他の政党に変わったとしても、日本政府は財政支出を増やし続けていきます。一方で、国内企業は、売上を増やす能力が高めにくくなりますから、税金を当てにした事業の魅力は高まります。結果として、税食業に属する企業の割合が増え、税生業に属する企業の割合は低くなります。