法人企業統計によると、今年6月末時点の日本企業(除く金融・保険)の総資産は1556兆円と3月末の1569兆円から縮小したが、自己資本は664兆円へと増加し、自己資本比率は42.7%と1954年の統計開始以来の過去最高を更新した。
日本企業の自己資本が増加を続けているのにもかかわらず、日本の株式市場では日本企業の多くが割安に放置されている。全上場企業のうち株価純資産倍率(PBR)が1倍未満の割合を日米英独の4カ国別にみると、英国が14%、米国とドイツが10%であるのに対し、日本は38%と突出して高い。
日本の上場企業が割安に放置される理由の一つとして考えられるのは、日本企業が現預金を過剰に保有していることだ。日本企業が保有する現預金は、6月末時点で192兆円と過去最高を更新し、総資産に占める割合は12.3%と26年(1991年6月末)ぶりの高水準に上昇した。手元流動性が時価総額の30%を超える日本の上場企業数は約4千社のうち200を超える。
日本は英米にくらべ現金保有コストが高い。日銀は2016年1月にマイナス金利政策を導入。これにより預金金利は、すべての預入期間においてほぼゼロとなり、円建ての安全資産とされる日本国債の利回りも、満期10年未満まですべてマイナスとなり、10年物ですらゼロ近辺となった。こうした結果、有価証券から得られる日本企業の金利収入は激減した。