2018年8月23日木曜日

政府の意気込み通りに普及するとは言い切れないQRコードによるキャッシュレス決済

一部国内紙は8月21日、日本政府がスマートフォン(スマホ)で読み取るQRコードを使った決済基盤を提供する事業者(決済事業者)に補助金を供与し、中小の小売店にはQRコードによる決済額に応じて時限的な税制優遇を検討していると報じました。政府は、今年度中にスマホやタブレットでQRコードを読み取る非現金(キャッシュレス)決済の規格標準化に向けた方針を示すとも報じられており、この方式を使う決裁事業者に補助金が支給されるようです。

経済産業省は、決済事業者に供与される補助金予算を2019年度予算案に盛り込み、中小小売店を対象とした税制優遇については、自民党税制調査会などでの議論を踏まえ、今年末に政府が閣議決定する税制改正大綱への反映を目指すとされています。

経済産業省は、2025年までにキャッシュレス決済の比率を40%に高めるという目標を掲げています。決済事業者への補助金や中小小売店への税制優遇は、経済産業省の目標達成に向けた強い意気込みを示す一例と考えることもできそうです。

ただ、たとえ経済産業省がQRコードによるキャッシュレス決済を普及させたいと思っても、普及の進み具合は、買い物の担い手である消費者と、商品を消費者に販売する小売店の考え次第です。小売店からすれば、たとえ税制優遇という経済インセンティブがあったとしても、お客様である消費者が、キャッシュ(現金)による決済を引き続き望むのであれば、QRコードによるキャッシュレス決済システムの導入を見送るのが合理的となります。