日本株が底堅さを増す動きを見せている。年初に19300円近辺で始まった日経平均株価は、1月半ばに1万9千円割れ。3月には19700円近くと年初来高値を小幅更新する水準まで反発したが、その後は下落基調が続き、4月半ばには18200円台と年初来安値を更新した。
しかし4月下旬から日経平均株価は上昇基調を強め、連休明けの5月11日には2万円ちょうど近辺と2015年12月以来の高値に上昇。6月2日には20200円台、6月20日には20300円台と2015年8月以来の高値を更新。7月は一時2万円を割り込む場面もあったが、今週は2万円を割り込むことなく下値の堅い動きを維持している。
東京都議選後の各種世論調査によると、安倍政権の支持率は30%台半ば前後と、政権運営が困難な危険水域とされる30%割れが目前。第1次安倍政権の際にも、2007年8月の世論調査で支持率が30%ちょうど近辺に低下し、翌9月に安倍首相が辞任したこともあり、第2次安倍政権も近い将来に終焉を迎えるとの見方も一部にあるようだ。
しかし底堅い動きを示す日本株が、安倍政権を救う可能性は十分あるように思える。日本銀行が公表する資金循環などから推計すると、今年4-6月期の日本株の評価益は、日本全体で35.5兆円の増加と、前期の0.6兆円増から大きく拡大した見込み。この結果、安倍政権が始まってから(2012年12月末以降)の日本株の評価益累計は337兆円と、2015年6月末に記録した333兆円を上回りそうだ。ちなみに民主党が政権を担当していた2009年9月末から2012年9月末までの3年間、日本株は最大67兆円の評価損を記録。民主党政権が終了する直前の2012年7-9月期だけでも日本株は11.5兆円の評価損を計上した。
日本株だけでなく、日本景気も堅調に推移している。5月の有効求人倍率は1.49倍と43年ぶりの高水準に達し、同月の現金給与総額は前年比0.7%増と緩やかながら増加基調を維持。5四半期連続で前期比プラスを記録しているGDP成長率は、4-6月期以降もプラスを続けるとの見方が強まっている。政権全体での評価は下がっているのだろうが、経済運営に対する安倍政権に対する評価は依然として高いままだろう。
日本株や日本景気が堅調に推移し、安倍政権も続くとの見方が広がれば、円売りの動きは続くとみるのが自然となる。本日(7月12日)のドル円は、114円ちょうど近辺から113円台半ば手前へと下落したが、これは前日NY市場で節目とされた114円台半ばを突破できず、ドル買いポジションが調整された結果とみられる。米FRBが利上げやバランスシート縮小といった金融政策の正常化を模索する一方で、日銀は金融緩和を続けるという金融政策の違い(ダイバージェンス)を背景に、7月後半のドル円は114円台半ばの上抜けをトライし、次の節目である115円ちょうどを目指す展開が期待される。
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