2019年9月19日木曜日
お金を働かせる難しさ
資産形成では、お金をできるだけ働かせることが大事と言われています。
といっても、お金はアルバイトに出かけることができませんし、自宅で食事を作ってもらうこともできません。お金を働かせる、というのは、保有しているお金(元手)を使って、より多くのお金を生み出す、という意味です。
元手を使って、お金を生み出す方法としてよく知られているのが銀行預金です。銀行にお金を預けておけば、預けている期間に応じて利息が生まれます。生まれた利息は、新たな元手となり、利息が利息を生み出すことになります。これを複利(効果)といいます。
しかし、日本の銀行預金の利息は、ほとんどゼロに近い(いわゆるゼロ金利)状態です。たとえばメガバンクの普通預金の利息は、1年間預けた場合、元手に対して0.001%にすぎません。これは100万円を1年間、メガバンクの普通預金に預けておいても、生まれる利息は10円を意味します。しかも、この10円の利息に対し、2円(20%)の税金が課せられるので、手元に残る利息は8円となります。厳密にはゼロではないものの、これでは「お金が働いた」とはいえません。
ゼロ金利だからと、元手を使って外国為替証拠金取引(いわゆるFX)に励む方もいらっしゃいます。FXでは、スワップポイントという銀行預金の利息に近いものがあります。FX会社の口座で、元手となる(金利がほぼゼロの)日本円を売り、金利の高い外貨を買うと、外貨を持っている(買ったままにしている)間、スワップポイントという金利差を得ることができます。銀行預金と仕組みは違うものの、預けている間にお金が生み出される、という意味では、FXのスワップポイントは、銀行預金の利息のように思えます。
しかしFXでは、持っている外貨の価値が日々刻々と変わります。このため、スワップポイントでお金を生み出す一方で、元手が減ってしまうこともあり得ます。この結果、スワップポイントで生まれたお金と元手の合計が、最初の元手より少なくなる、つまり損をしてしまうこともあり得ます。これでは、お金を働かせに出したら、そのまま逃げて行った、ことになります。
同じことは株式投資、投資信託、不動産などへの投資でもあり得ます。株式や投資信託を買うことで、配当という新たなお金を得ることができます。不動産の場合、家賃という形で新たなお金を得ることができます。しかし買った株式、投資信託、不動産の価値(価格)が下がってしまい、トータルで見ると損をすることもあり得ます。
銀行預金は、銀行の信用や仕組みもあって、預金が減ることは(事実上)ありません。しかし、銀行預金のように元手が減ることがない、お金を働かせる場所は少ないのが現実です。お金を働かせる場所のほとんどは、元手が減ってしまう可能性があります。ここに、お金を働かせる難しさがあります。
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