2019年9月8日日曜日

投資と消費の違い


多くの方は、投資と消費の違いを、なんとなくボンヤリとわかっているのでしょうが、明確に説明できる方は、意外と少ないものです。

まずは消費について考えてみましょう。消費とは、文字通り、「費やして消してしまう」行為を指します。消費のたとえとして使われるのが食事です。お金を払って何かを食べても、最後に何も残りません。まさに「費やして消してしまう」ことになります。

一方、投資は、文字を見ると、「資(財産)を投ずる」行為となります。財産を何かに投ずる(支払う)ことさえすれば、文字だけ見ると、すべて投資となりそうです。



ただ、投資という文字には、消費と違い、消えてしまう、という意味がありません。このため、投資という行為の後に、何かが消えてしまうのか、それとも消えないのかは、文字の上ではわかりません。言い換えると、投資という言葉は、文字の上では、投じた後に、何かが消えてしまうこともあれば、消えないこともある、と解釈することもできます。

消費で使われた、費やす、という言葉と、投資で使われた、投ずる、という言葉は、どちらも「使う」という意味で同じといえます。そして投資において、何かが消えてしまう、場合、投資と消費は、使った後に何かが消える、という意味で同じ言葉といえます。

このため、投資も消費も似たようなものだ、と考えてしまうことも、なんとなく可能といえます。

しかし資産形成を考える際には、投資と消費は明確に違うもの、と考えることをおすすめします。そして、投資は資産形成に役立つもの、消費は資産形成に役立たないもの、と(あえて)自分の中で定義づけすることをおすすめします。

投資は資産形成に役立つもの、という考え方を前提とすると、投資の意味は、文字通りの意味に、もう一つの意味を加えることになります。それは、投じた後に後で返ってくるもの、という意味です。

以前のコラム(資産形成とは)にて、資産という言葉を説明しました。繰り返しになりますが、資産には、時間とともに金銭的な価値が増えるもの、という考え方があります。この考え方を利用すると、投資とは、

何かを投じた(費やした)ことで資産を得ること

と言い換えることができます。

この考え方を前提とすると、社会において投資と考えられているものの中には、じつは投資ではないものが含まれることに気づきます。たとえば、買い物などで多額のお金を払った後に、「これは投資だから」といって買い物を正当化しようとする方を見かけます。買ったものが資産であれば、その考え方は正しいといえますが、資産でなければ、その言葉は誤りと言えます。

教育への支出は、投資と消費の違いを考える上で便利です。たとえば海外の大学や大学院に留学するとします。海外留学は、資産を買うことではないので、一見、単なる消費のように思えます。しかし海外留学を経て、海外の大学・大学院を卒業したという資格を得たことで、給与が上がったり、より高い給与を得る職場に転職することができれば、海外留学は投資の一つといえます。反対に海外留学し、日本に帰国しても、給与も変わらなければ、転職もせず、結果として金銭的な価値が増えなければ、海外留学は消費となります。

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