2014年2月6日木曜日

ビットコインのメリットを整理する

ビットコインに関する論評が増えていますが、どの論評を見ても議論が散漫な印象が否めません。ビットコインに関し、技術的な理解が浅いゆえに、表面的な議論に留まる例が多いだけでなく、通貨や金融・資本政策に関する基本的な知識が不足したまま、思い込みで結論を導こうとしているためのように思えます。
 
有識者を称する方が、様々な理由で不十分な知識のままビットコインについて語るのは避けがたい現象なのでしょうが、せめてビットコインの機能(そして本質)を自分なりに整理した後に言及してほしいと願っています。
 
ビットコインには様々な機能がありますが、現時点では概ね次の3つに分けることができると思います。
 
(1)取引決済
(2)送金
(3)富保管・蓄積
 
以下では上記3つの点でビットコインのメリットを考えてみます。

(1)取引決済
各種メディアが報じているようにネット小売店を中心にビットコインを取引決済手段の一つとして受け入れる例が増えています。背景にはBitPayの利用によってビットコインの価格変動リスクを回避することが容易になった点があげられます。
 
小売店がビットコインを取引決済手段として受け入れるメリットの一つに取引手数料の低さが挙げられます。クレジットカード利用による取引手数料は売上高の4~10%程度と言われています。一方、BitPayの取引手数料は1%程度です。小売店としてはクレジットカードよりもビットコインを利用してもらった方がコスト節約になります。
 
現金化の期間が短い点もビットコイン利用の利点といえます。BitPayが小売店にいつのタイミングで現金を送金しているのかは不明ですが、クレジットカード会社のように現金化のために1.5~2カ月も時間を要することはないと思います。ビットコイン利用による現金化までの期間の短さは、資金繰りの点から小売店にとって有益です。
 
(2)送金
銀行経由による送金は国をまたぐ場合、数日かかりますし、取引手数料も多額です。また手続きも煩雑です。一方、ビットコインの送金は受け渡し完了までせいぜい10分で、取引手数料も1%未満です。
 
(3)富保管・蓄積
ビットコインは金融機関を経由せずに保管できますので、当局によって富を捕捉される可能性が大きく低下します。これは節税(脱税?)にも有効です。
 
ビットコインは現金や金などと違い、物理的なデリバリーコストがほぼゼロと言えます。ビットコインに富を移動させれば、富を保有する方が亡命などの理由で逃亡する際に富のデリバリーを心配する必要はなくなります。
 
またビットコインはその仕組み上、インフレによって価値が毀損する可能性が少ないといえます。このためインフレによって現金を中心に富が毀損するリスクを回避することも可能と言えます。