2016年3月4日金曜日

安倍政権の次の一手となりそうな財政支出の再拡大

 日本の個人消費が悪化を続けている。昨年第4四半期の実質個人消費は、前期比0.8%減の304.5兆円と、2011年第3四半期以来の低水準に減少した。今年に入っても1月の実質消費水準指数(家計調査ベース)は、前年比-2.7%と5カ月連続の前年割れ。水準は93.0と前月(92.5)から小幅上昇したものの、消費税率が引き上げられた直後の2014年5月を除くと、1981年(35年前)以来の低水準に落ち込んでいる。

 消費悪化の主因とされているのが、一人当たり実質賃金の伸び悩みだ。本日(3月4日)発表された1月の実質賃金指数は、現金給与総額で前年比0.4%増と3カ月ぶりのプラスとなったが、ボーナスを除く「きまって支給する給与」は前年比ゼロ(横ばい)。「きまって支給する給与」は昨年7月以降、実質で前年比ゼロを境に小幅に上下動する状態が続いている。

 安倍首相は、2016年度予算案の基本的質疑で、総雇用者所得は名目で増え、実質でも伸びていると発言。たしかにGDP統計で公表される雇用者報酬(一人当たり賃金に雇用者数を乗じたもの)は昨年、名目で255.4兆円と2008年以来の高水準に増加。実質でも262.0兆円と2014年から1.1%増加した。ただ実質雇用者報酬の水準は、アベノミクスが喧伝された2013年(262.2兆円)を越えていない。安倍首相が、「名目では増え」と言いながら「実質では伸びている」と述べたのも、実質での水準の伸び悩みを意識したためと推察することもできる。

 所得の伸びだけでなく、可処分所得に対する消費の割合を示す平均消費性向の低下も、消費悪化の主因と思われる。1月の平均消費性向(家計調査ベース)は72.3と4カ月連続で低下し、昨年7月以来の低水準。単月でのブレを均すため四半期でみると、昨年第4四半期は73.1と2012年第1四半期以来、約4年ぶりの低さとなっている。

 名目でみた一人当たり賃金や平均消費性向が今後、大きく改善に向かうとは考えにくい。今年の春闘ではメガバンク3行の各労働組合は、いずれもベースアップ(ベア)要求を見送る方針。トヨタ自動車がベア2千円以上を回答する見通しとなっているが、前年の4千円を下回る。2月のロイター企業調査によると、今春の賃上げ率が2%以上と予想する企業は全体の16%と、昨年1月調査の40%から大きく低下。ベア実施予定の企業は現状で9%しかない。年始からの世界景気の減速懸念や円高の進展で、経営側は賃上げ回避や労働者への配分をベアではなく一時金で対応する姿勢を強めるだろう。一方、平均消費性向については、消費者態度指数や景気ウォッチャー調査といった消費者マインド調査が大幅な悪化を示していないが、日本株は年始から大きく下落。2017年4月の消費税率の引き上げを控え、消費者の生活防衛姿勢が緩むとも考えにくく、平均消費性向が底這いを続ける可能性も十分あると思われる。

 個人消費の悪化ないしは低迷が続くことで、日本のGDP成長率にも大きな期待は持ちにくい。そんな状況ではあるが、日銀の追加緩和を期待するのは当面、難しいだろう。日銀・黒田総裁は、本日の参院予算委員会での答弁で、さらにマイナス金利を下げることは考えていないと明言。1月29日にマイナス金利を導入した際の会見とは真逆の姿勢に転じた。マイナス金利導入による市場の混乱が長期化しつつあるほか、推測報道にあったようにG20での日本の円安誘導に対する批判への配慮を強めていると推察される。

 残された手段はアベノミクス第2の矢とされる財政支出の再拡大である。先月末に成立した今年度(2015年度)補正予算の早期執行を目指すだけでなく、(来年度(2016年度)予算案が成立していないが)来年度補正予算の早期策定も視野に入る。一部で実しやかに噂される消費税率引き上げの再延期も、今後の景気次第とはいえ現実味の薄いものとも思えない。先月27日に開催されたG20声明で「財政政策の機動的な実施」が盛り込まれたことも、安倍政権の財政再拡大の錦の御旗となりそうだ。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年3月3日)

 3月3日のロンドン市場はドルがやや軟調な推移となった。ドル円は取引き前半に114円ちょうど近辺を小幅上回る水準から113円台後半に下落。欧州株、米債利回りがともに小幅下落。ドル円の重石となった。中盤に欧州株が前日終値水準に下げ幅を縮め、米債利回りも下げ止まると、ドル円は114円ちょうど近辺に反発。しかし後半に入り、欧州株、米債利回りともに小動きとなると、ドル円は114円ちょうどを上抜けできず上値が抑えられる動きを続けた。

 一方、ユーロドルは1.08ドル台後半でじり高の動き。2月のユーロ圏サービス業PMI(確報値)は53.3と市場予想に反し速報値から上方修正。1月のユーロ圏小売売上高も前年比2.0%増と市場予想を上振れ、ユーロ買いの動きをサポートした。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年3月3日)

 新興国通貨は一部を除き対ドルで3日続伸。原油先物価格の上昇に加え、米債利回りの低下が新興国通貨買いを後押しした。

 KRWは対ドルで1.1%の上昇。2月の韓国CPIは前年比+1.3%と市場予想を上回り、2カ月ぶりの高い伸び。コアCPIは同+1.8%と市場予想通りで、2カ月連続で2%を割り込んだ。

 THBは対ドルで0.2%の上昇。2月のタイ消費者信頼感は74.7と2カ月連続で低下した。

 IDRはBloombergによると対ドルで0.4%の上昇。2月のインドネシア消費者信頼感は110.0と前月から低下した。

 BRLは対ドルで2.2%の上昇。USD/BRLは一時3.77台と昨年12月10日以来のBRL高水準に低下した。2月のブラジル商品価格指数は前年比+23.72%と前月から鈍化。ブラジル中銀は市場予想通り政策金利を14.25%で据え置き。メンバー8人中2名は50bpの利上げを主張した。昨年第4四半期のブラジルGDPは前年比5.9%減と、1996年の統計開始以来、最大の落ち込みを更新。2月のブラジル・マークイット・サービス業PMIは36.9と2013年の統計開始以来、最低を更新した。

 MXNは対ドルで0.5%の下落。2月のメキシコ国内自動車販売台数は前年比13.5%増と二桁増を維持したが、伸びは3カ月ぶりの低水準。1月のメキシコ景気先行指数は前月比-0.16と2011年9月以来の低下幅を記録。メキシコ中銀は四半期インフレ報告を公表。今年の成長率見通しは2.0~3.0%に下方修正。インフレは今年末に3%近辺に加速するとの見方が示された。同中銀のカルステンス総裁はインフレが再び鈍化する恐れがあると指摘。またMXNがファンダメンタルズに沿って下落するのであれば、MXN買い介入は実施されないとの見方も示した。

 COPは対ドルで0.4%の上昇。1月のコロンビア輸出は前年比36.6%減と16カ月連続の前年割れとなった。

 ZARは対ドルで0.5%の下落。2月の南アフリカ・スタンダード銀行PMIは49.1と市場予想に反し前月から低下した。

 HUFは対ドルで1.1%の上昇。1月のハンガリー小売売上高は前年比2.1%増と市場予想を下回り、前年割れを記録した2013年6月以降、最も低い伸びとなった。

 TRYは対ドルで0.5%の上昇。2月のトルコCPIは前年比+8.78%と市場予想を下回り、3カ月ぶりの低い伸び。ただコアCPIは同+9.72%と、7カ月連続で加速し、2014年7月以来の高い伸びを記録した。

 RUBは対ドルで変わらず。2月26日時点の金・外貨準備は3798億ドルと前週から小幅増加した。

アダムズ方式を考えたのは、やはりアダムズさんなのでしょうか?

2016年3月3日木曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年3月2日)

 3月2日のロンドン市場は円、ユーロともに動意に欠ける展開となった。ドル円は114円台前半での推移。取引前半に米債利回りは小幅上昇。ドル円をサポートしたが、上昇で始まった欧州株は取引中盤以降、上げ幅を縮める動き。この日夜に発表される米ADP雇用統計の結果を見極めたいとの思惑も強く、ドル円は様子見姿勢が強かった。

 ユーロドルは1.08ドル台後半で上下動。ECBクーレ専務理事は、マイナス金利が銀行収益を圧迫するリスクがあると十分に認識しているとしながらも、多くはマイナス金利による影響を克服しており、むしろ超低金利政策から恩恵を受けていると指摘。成長とインフレが弱い以上、超低金利が再投下されるとの認識を示した。1月のユーロ圏PPIは前年比-2.9%と市場予想通りだった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年3月2日)

 新興国通貨は対ドルで続伸。原油先物価格の上昇が好感された。

 KRWは対ドルで0.8%の上昇。1月の韓国鉱工業生産は前年比-1.9%と市場予想を上回る落ち込み。同月同国の経常収支は70.6億ドルの黒字と前年同月比12.9%増を記録した。2月の韓国・日経製造業PMIは48.7と2カ月連続で低下した。

 SGDは対ドルで0.2%の上昇。2月のシンガポール購買部景気指数は48.5と市場予想を下回り、2012年10月以来の低水準に低下した。

 BRLは対ドルで1.1%の上昇。2月のブラジルFIPE・CPIは前月比+0.89%と市場予想とほぼ同じで前月からは鈍化。1月のブラジルPPIは前年比+10.49%と過去最高の伸びを記録した昨年10月以来の高い伸びとなった。

 MXNは対ドルで0.5%の上昇。メキシコ中銀のエコノミストサーベイでは今年のインフレ見通しが+3.34%に上方修正。一方、成長率見通しは2.45%に下方修正。USD/MXN見通しは17.89に上方修正された。

 RUBは対ドルで小幅上昇。2月29日のロシアCPIは前週比+0.1%と前週から鈍化した。

私の知り合いに2月29日生まれがいますが、うるう年以外の年では、3月1日に誕生日のお祝いをするそうです。ちょっと安心しました。

2016年3月2日水曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年3月1日)

 3月1日のロンドン市場はドル買い・円売り優勢の展開となった。ドル円は取引前半に112円台後半から113円台前半に上昇。欧州株が取引序盤に上げ幅を広げ、米債利回りは上昇基調で推移。ドル円の上昇をサポートした。ただ取引中盤に入り欧州株、米債利回りの上昇がともに一服すると、ドル円も113円台前半で上昇一服。取引後半も同水準での小動きとなった。

 ユーロドルは1.08ドル台後半で上値の重い動き。2月のドイツ失業者数は1万人減と市場予想通り。同月同国のマークイット製造業PMI(確報値)は50.5と市場予想に反し速報値から上方修正。同月のユーロ圏マークイット製造業PMI(確報値)も51.2とドイツと同じく市場予想に反し速報値から上方修正され、1月のユーロ圏失業率は10.3%と市場予想に反し前月から改善したが、ユーロドルは米債利回りの上昇を背景にドル買い優勢となった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年3月1日)

 新興国通貨は対ドルで上昇。原油先物価格や欧米株の上昇を背景に新興国通貨は買い戻しの動きが強まった。

 KRWは休場。2月の韓国・貿易収支は73.9億ドルの黒字と黒字額が市場予想を上回り、過去最高を記録した昨年11月以来の高水準。輸出が前年比12.2%減と市場予想ほど落ち込まなかったことで黒字が拡大した。

 THBは対ドルでほぼ変わらず。2月のタイCPIは前年比-0.50%とほぼ市場予想通りで前月ともほぼ変わらず。ただコアCPIは同+0.68%と小幅ではあるが市場予想を上回った。

 IDRはBloombergによると対ドルで0.2%の上昇。2月のインドネシアCPIは前年比+4.42%と市場予想を上ぶれ。ただコアCPIは同+3.59%と市場予想を小幅下回った。同月同国のダナレクサ消費者信頼感は98.4と前月とほぼ同じ結果に終わった。

 MYRは対ドルで0.7%の上昇。一部米紙は、マレーシアのナジブ首相個人の銀行口座に、2011年から13年の間に10億ドルを超える入金があったと関係者2名の話として報道。また同紙は、2カ国の捜査当局が10億ドルの入金の過半(6.81億ドル)が、マレーシア当局が発表したサウジアラビアからの個人的な寄付ではなく、マレーシアの政府系投資ファンド1MDBからのものとみているとも報じた。

 PENは対ドルで小幅上昇。2月のペルーCPIは前年比+4.47%と市場予想を小幅下回り、4カ月ぶりに前月から鈍化した。

 BRLは対ドルで2.1%の上昇。2月のブラジル・マークイット製造業PMIは44.5と過去最低を記録した昨年11月以来の低水準。1月の同国CNI設備稼働率は75.9%と2003年1月の統計開始以来最低を更新。2月のブラジル貿易収支は30.4億ドルの黒字と黒字額が市場予想を上回った。

 MXNは対ドルで1.4%の上昇。1月のメキシコ海外労働者送金は前年比18.8%と市場予想を起きく上回る伸び。2月のメキシコIMEF指数は製造業が51.3、非製造業が50.4といずれも市場予想や前月を下回った。

 RUBは対ドルで2.6%の上昇。2月のロシア・マークイット製造業PMIは49.3と市場予想や前月を下回った。

 TRYは対ドルで1.1%の上昇。2月のトルコ・マークイット製造業PMIは50.3と2カ月連続で低下した。

 HUFは対ドルで小幅上昇。2月のハンガリー製造業PMIは54.8と2カ月連続で上昇した。

 PLNは対ドルで0.4%の上昇。2月のポーランド・マークイット製造業PMIは52.8と市場予想を上回り、7カ月ぶりの高水準に上昇した。

 CZKは対ドルで小幅上昇。2月のチェコ・マークイット製造業PMIは55.5と市場予想通りで、前月から低下した。

 ZARは対ドルで1.8%の上昇。2月の南アフリカ・バークレイズ製造業PMIは47.1と市場予想を大きく上回り、4カ月ぶりの高水準。昨年第4四半期GDPは前年比0.6%増と市場予想を小幅上回ったが、過去6年間で最も低い伸びとなった。

私くらいのベテランになると、音を聞いただけで、そのクシャミが風邪によるものなのか、花粉症によるものなのかを瞬時に判別できます。

2016年3月1日火曜日

ジャンク級への格下げ懸念で過去最安値が視野に入る南アフリカ・ランド(ZAR)

 南アフリカのズマ大統領は昨日(2月29日)、声明を通じ、一部メディアが報じた同国ゴードハン財務相との確執を否定した。一部メディアは26日、ゴーダン財務相が同国歳入庁(SARS)のMoyane長官の更迭をズマ大統領に要求したが、同大統領はそれを拒否したと報道。一部別メディアは、SARSがズマ大統領の不正蓄財機関となっており、ゴーダン財務相がSARSの組織運営の不適切性をズマ大統領に指摘したと報じた。ZARは一連の報道を受けて一時対ドルで4%超下落。しかしズマ大統領の声明が発表された昨日は2%弱の上昇となった。

 ズマ大統領は昨年12月にネネ財務相(当時)を突然に解任。その後、金融市場ではほぼ無名だったバンルーエン氏を後任に指名した。しかし財政健全化を指向するネネ財務相の解任を受けてZARは売りが先行。ズマ大統領は、バンルーエン氏に代わり元財務相のゴーダン強調統治・伝統業務相(当時)を再び財務相に就任させた。ゴーダン氏は、財務相就任後の会見で、南アフリカのソブリン債格付けを投資適格級の維持に向けて努力する考えを表明。同氏がネネ氏の前任として財政健全化に配慮する姿勢を示してきたこともあり、ZAR売りの動きは一服した。

 ネネ、ゴーダンの両財務相に関する報道から分かるように、市場は南アフリカの財政懸念を強めている。昨日発表された1月の同国財政収支(12カ月累計値)は、1549.2億ランドの赤字と、昨年2月に記録した赤字額の直近ピーク(1804.4億ランドの赤字)から赤字額は縮小。しかし歳出(12カ月累計値)は1.21兆ランドと2004年4月の統計開始以来最大を更新。財政健全化姿勢の弱さを印象付ける内容となっている。

 南アフリカ財務省が2月24日に発表した2016年度予算案も市場の財政懸念を強める内容となった。同予算案では財政赤字のGDP比が3.2%と、現在の3.9%から縮小する見通しが示されたが、その主因は所得税や燃料税などの課税強化や公務員の新規雇用凍結によるもの。しかし南アフリカ景気の減速・低迷が続く中での課税強化は現実味が薄いとの指摘も多い。現に同予算案では2016年のGDP成長率見通しを0.9%と昨年10月時点の1.7%から下方修正している。

 南アフリカ予算案が見通すように、同国の景気回復を期待することは難しい。同国の干ばつ被害は続いたままで、同国主要輸出先である中国景気も減速したまま。同国の主要輸出産品である貴金属、卑金属の価格は持ち直したが、南アフリカ・ランド(ZAR)の下げに比べて輸出額の伸びは弱い(ZARは2015年に対ドルで25.2%下落したが、輸出は名目で12.2%増に留まった)。

 民需の伸びを期待することも難しい。昨年第4四半期の南アフリカ失業率は24.5%と市場予想に反し、1年ぶりの低さに改善したが、水準は非常に高いまま。一方、インフレはコアベースで1月に前年比+5.6%へと加速。南アフリカ中銀はインフレ抑制を目的に漸進的な利上げを続けているが、結果として実質小売売上高の伸び(前年比)は4%未満で伸び悩んでいる。

 景気減速が長引けば長引くほど、税収の伸び悩む可能性が高まり、南アフリカ政府は財政健全化路線を続けることが難しくなると予想される。ズマ大統領のポピュリズム姿勢の強さを考えると、財政健全化路線を放棄し、歳出拡大を指向する恐れも十分にある。

 南アフリカの財政悪化が、同国ソブリン債の投機的水準(ジャンク級)への格下げにつながるとの見方も強まっている。主要格付け3機関のうちS&Pとフィッチは、同国債格付けを「BBB-」と投資適格級の最低水準にしている。S&Pは、格付け見通しを「ネガティブ」とする理由として景気減速と財政赤字拡大の長期化を指摘。同国予算案が発表された後もS&P高官は、同じ2点を指摘した。ズマ大統領が、ゴードハン財務相との関係悪化を否定する声明を出したのは、財政健全化姿勢が強いことで知られるゴードハン財務相を解任する意思がないことを示すことで、ジャンク級への格下げを回避しようとした可能性もある。

 ZARは南アフリカ債利回りの高さ(そして米国債利回りの伸び悩み)を背景に買いが入る場面もあるが、同国債のジャンク級への格下げを十分に織り込んだように思えない。USD/ZARの上(ZAR安方向)の節目は2月26日の高値(ZAR安水準)にあたる16.3近辺、1月11日の高値(過去最高値・17.9近辺)から2月23日の安値(15.1近辺)の半値戻し水準にあたる16.5近辺、そして過去最高値の17.9近辺と考えられる。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年2月29日)

 2月29日のロンドン市場はユーロが下落。一方、円は上昇一服となった。ユーロドルは取引前半に1.09ドル台半ば手前から1.09ドル台後半に小幅上昇。1月のドイツ小売売上高が前月比0.7%増と市場予想を上回り、前月分も上方修正。ユーロの買い戻しを後押しした。しかし、ユーロ買いの動きは続かず、取引中盤は一転して売り優勢となり、ユーロドルは1.09ドル台前半に下落した。後半に発表された2月のユーロ圏CPI(速報値)は前年比-0.2%と市場予想に反し5カ月ぶりの前年割れ。コアCPIは同+0.7%と市場予想を下回り、10カ月ぶりの低い伸びに鈍化。これを受けてユーロ売りの動きは続くことになり、ユーロドルは1.08ドル台後半と2月2日以来の安値に下落した。

 一方、ドル円は113円ちょうどを挟んで上下動。欧州株は下げて始まったが、その後は下げ渋り。米債利回りも下げ止まり、ドル円の下値を支えた。取引後半に中国人民銀行が預金準備率を50bp引き下げると発表。これを受けドル円は113円ちょうどを小幅上回る水準まで上昇したが、上昇は限定的で、すぐに113円ちょうど近辺での小動きに。豪ドル/ドルは0.71ドル台前半から0.71ドル台後半に小幅上昇したが、ドル円と同じく上昇は一時的で、その後は0.71ドル台半ばを挟んでの小動きとなった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年2月29日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。原油先物価格の上昇でZAR、COP、RUBなどが買い戻される一方、東欧通貨はユーロと連れ安となる形で下落した。

 KRWは対ドルで小幅上昇。3月の韓国・景況判断は製造業が67と前月から悪化。非製造業は66と前月と変わらず、2009年4月以来の低水準のままだった。

 SGDは対ドルで小幅上昇。1月のシンガポールM2は前年比1.1%増と2014年6月以来の低水準に鈍化した。

 THBは対ドルで変わらず。1月のタイ製造業生産は前年比-3.3%と落ち込み幅が市場予想を上回り、2014年11月以来の大きさ。同月同国の企業景況感は48.5と4カ月ぶりの低水準。一方、同月同国の設備稼働率は63.9%と前月より上昇した。1月のタイ経常収支は40.7億ドルの黒字と黒字額が市場予想を上回った。

 IDRはBloombergによると対ドルで0.2%の上昇。1月のインドネシアM2は前年比7.7%増と5カ月連続で鈍化し、11年ぶりの低い伸びとなった。

 PHPは対ドルで小幅下落。1月のフィリピンM3は前年比11.5%増と2014年10月以来の高い伸び。同月同国の銀行貸出は同15.6%増と1年ぶりの高い伸びとなった。

 MYRは対ドルで0.2%の上昇。1月のマレーシアM3は前年比2.2%増と1988年3月以来の低い伸びを記録した。

 BRLは対ドルで小幅下落。ブラジル中銀の週次サーベイでは今年末のインフレ見通しとUSD/BRL見通しがいずれも小幅ながら下方修正。政策金利見通しは14.25%で変わらずだった。2月のブラジルCNI消費者信頼感は98.7と前月から小幅上昇した。

 CLPは対ドルで0.6%の下落。1月のチリ小売売上高は前年比3.4%増とほぼ市場予想通りの結果。同月同国の鉱工業生産は同-8.3%と落ち込み幅が市場予想を上回り、2010年の統計開始以来最大。同月同国の失業率は5.8%と市場予想に反し前月から変わらずだった。

 COPは対ドルで1.5%の上昇。1月のコロンビア失業率は11.9%と3年ぶりの高水準に上昇した。

 ZARは対ドルで1.9%の上昇。1月の南アフリカM3は前年比10.28%増と市場予想に反し前月から小幅鈍化。、同月同国の民間部門信用は同8.54%と市場予想を下回り、4カ月ぶりの低い伸び。1月の南アフリカ貿易収支は179億ランドの赤字と赤字額が市場予想を上振れ。同月同国の財政収支は308.4億ランドの赤字と過去最大を記録した昨年7月以来の大幅赤字となった。

 HUFは対ドルで小幅上昇。1月のハンガリーPPIは前年比-1.7%と9カ月ぶりの大幅な落ち込みだった。

 TRYは対ドルで1.0%の上昇。1月のトルコ貿易収支は37.6億ドルの赤字とほぼ市場予想通り。1月のトルコ外国人観光客は前年比6.4%減と6カ月連続の前年割れとなった。

 CZKは対ドルで0.5%の下落。1月のチェコM2は前年比9.4%増と2008年2月以来の高い伸びとなった。

 PLNは対ドルで0.2%の上昇。2月のポーランドインフレ予想は前年比+0.2%と市場予想通り前月と同じだった。

米フロリダ州主催の害獣駆除プログラム「パイソン・チャレンジ」により、国立公園があるエバーグレイズのビルマニシキヘビ106匹が捕獲されたそうです。中には全長4.6メートルのものもあったとのこと。ヘビ好きにはたまらないイベントですね。ぜひ来年の旅行プランの一つとしてご検討を。

2016年2月28日日曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年2月26日)

 2月26日のロンドン市場はドルが底堅く推移した。ドル円は112円台後半から取引後半には113円ちょうどを上抜け。ただ終盤には112円台後半と取引序盤の水準に反落した。原油先物価格は緩やかながら上昇基調で推移し、米債利回りも上昇。欧州株もプラス圏での推移となり、ドル円の下値を堅くした。

 ユーロドルは取引前半から中盤にかけて1.10ドル台後半から1.10ドルちょうど近辺に下落。2月のドイツ・ザクセン州CPIは前年比-0.1%と2015年1月以来の前年割れ。ドイツのインフレ圧力の低下が嫌気されユーロを下押しした。取引後半に入りユーロドルは1.10ドル台前半に小幅反発。しかし、2月のユーロ圏景況感は103.8と2015年6月以来の低水準。ユーロドルは1.10ドル台前半で上値の抑えられる動きを続けた。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年2月26日)

 新興国通貨は対ドルで下落。EMEA通貨の下げが目立った。

 TWDは対ドルで小幅上昇。1月の台湾鉱工業生産は前年比-5.65%と市場予想ほどの落ち込みとならなかった。

 BRLは対ドルで1.1%の下落。2月のブラジルIGP-Mは前年比+12.08%とほぼ市場予想通りの伸びとなり、2008年10月以来の水準に加速。1月のブラジル基礎的財政収支は279億レアルの黒字と黒字額が市場予想を上回った。

 CLPは対ドルでほぼ変わらず。チリ中銀は会合議事録(2月12日結果発表分)を公表。政策金利の据え置きは全会一致であったことが判明。ただ25bpの利上げの是非について議論があったことも判明した。会合メンバーは2017年初めにインフレは3%に減速するだろうとの見方を表明。低成長と高インフレのジレンマに今後苦慮するとの見方も示された。

 MXNは対ドルで0.8%の下落。1月のメキシコ失業率は4.30%と市場予想に反し前月から小幅低下。同月同国の貿易収支は34.4億ドルの赤字とほぼ市場予想通りの結果となった。

 COPは対ドルで0.8%の下落。1月のコロンビア小売業信頼感は19.5と前月から低下。一方、同月同国の鉱工業信頼感は5.3と前月から上昇し4カ月ぶりの高水準に達した。

 HUFは対ドルで0.8%の下落。1月のハンガリー失業率は6.2%と市場予想に反し前月と変わらずだった。

 ZARは対ドルで3.5%の下落。一部メディアは南アフリカのゴードハン財務相が警察から捜査を受けていると報道。同国ズマ大統領は同報道を否定した。また別報道では同財務相が同国歳入庁のMoyane長官と対立していると報じられた。

よい日曜日をお過ごしください。