2016年10月21日金曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年10月20日)


 10月20日のロンドン市場は円、ユーロなど主要通貨は方向感に欠ける展開となった。ドル円は103円台後半での推移。ドイツ株、米債利回りともに動意に乏しく、ドル円は様子見姿勢が続いた。

 ユーロドルは1.09ドル台後半で膠着感の強い動き。8月のユーロ圏経常収支(季調値)は297億ユーロの黒字と2カ月連続で黒字額が拡大したが、ユーロの反応は限定的だった。取引終盤にECBは市場予想通り政策金利と量的緩和の現状維持を決定。ECBは声明で政策金利が現行またはそれ以下の水準に長期にわたりとどまることを引き続き見込んでおり、金利は資産購入の終了時期よりもかなり後まで低水準を維持するだろうと指摘。月額800億ユーロの資産購入は2017年3月末まで、または必要に応じそれ以降も継続すると表明した。

 ポンドドルは1.22ドル台後半で上値の重い動き。9月の英小売売上高は前年比4.1%増と市場予想を下振れ。ポンドの重石となった。

 NY市場はECBドラギ総裁の会見を機にユーロが下落。ドル円も円売り優勢となった。取引序盤にECBドラギ総裁は会見を開始。同総裁は本日の会合でQE延長の議論がなかった一方で、テーパリングの議論もしなかったと発言。QEが突然終了する可能性は低いとしながらも、QEについての委員会の作業結果を12月に検証すると述べた。ユーロドルは会見初めに1.10ドル台前半に急騰する場面もあったが、テーパリングの議論がなかったことなどが材料視され、急騰後に1.09ドル台半ば近辺に下落。会見終了後もユーロは売り優勢となり、取引中盤には1.09ドル台前半まで下落した。

 一方、ドル円は取引前半に103円台後半で方向感に欠ける動き。米新規失業保険申請件数は26.0万件と市場予想を大きく上回る一方、10月のフィラデルフィア連銀景況指数は9.7と市場予想を上振れたが、ドル買いの動きは特段みられなかった。取引中盤に近付き発表された9月の米中古住宅販売件数は547万戸と市場予想を上回り、3カ月ぶりの高水準を記録すると、ドル円は上昇基調となり、取引中盤には104円ちょうど近辺に上昇した。

 取引後半に入ると米債利回り、米国株ともに動意に乏しくなり、ドル円は104円ちょうどで膠着感を強め、ユーロドルは1.09ドル台前半で小動きを続けた。

 米新規失業保険申請件数は予想外の悪化となったが、10月のフィラデルフィア連銀景況指数は持ち直しの動き。米景気は低成長ながら安定的と言え、ドル売りにはつながっていない。ECBドラギ総裁の会見からもユーロ圏景気に対する過度な不安が示されなかったように世界経済は安定感を増している状況。本日東京市場でもドル、円、ユーロといった主要通貨は動意に乏しい展開が予想される。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年10月20日)

 新興国通貨は一部を除き対ドルで下落。原油先物価格の下落が嫌気された。

 TWDは対ドルで変わらず。9月の台湾輸出受注は前年比3.9%増と市場予想を上回ったが、前月からは鈍化した。

 IDRはBloombergによると対ドルで変わらず。インドネシア中銀は一部市場予想に反し、政策金利を25bp引き下げ4.75%にすると発表。同中銀は声明で金融緩和によって銀行貸し出しを伸ばし、消費の拡大を促すとした。

 PHPは対ドルで0.4%の上昇。中国を訪問中のフィリピンのドゥテルテ大統領は、北京の人民大会堂で行われたビジネスフォーラムで、米国と決別すると表明した。

 BRLは対ドルで0.8%の上昇。ブラジル中銀は政策金利を25bp引き下げ14.00%にすると発表。利下げは4年ぶりで全会一致。同中銀は声明でこれまで長く続いた高インフレがインフレ期待を強め、内生的なディスインフレの動きを遅くする可能性があると指摘する一方、経済活動の弛み(スラック)がディスインフレの動きを加速させる可能性もあると指摘した。8月のブラジル経済活動指数は前年比-2.72%と低下率が市場予想を下回った。

 TRYは対ドルで変わらず。トルコ中銀は市場予想に反し、レポレート、翌日物貸出金利、翌日物借入金利を全て据え置き。同中銀は声明で景気減速がコアインフレの鈍化に貢献しているとしながらも、リラ安や他コスト要因がインフレ見通しの改善を阻害していると指摘した。

 RUBは対ドルで0.3%の下落。10月14日のロシア金・外貨準備高は3914億ドルと3週連続で減少し、4カ月ぶりの低水準に達した。

 PLNは対ドルで0.7%の下落。ポーランド中銀は会合議事録(10月5日結果発表分)を公表。メンバー数名は今後数四半期は政策金利が据え置かれるとの見通しを表明。メンバーの過半は2017年にはインフレがプラスになるとの見方を示した。

ボリビアの先住民が古来からの方法で製作した全長18メートルの木製の筏で、南米からオーストラリアへ太平洋を横断する試みが始まり、来年22月の出航に向け準備が進められているそうです。皆様はまねしないでください。

2016年10月20日木曜日

慎重な見方が求められる中国景気と人民元



 第3四半期の中国GDPは前年比6.7%増と3期連続で同じ伸びとなった。これにより今年の中国成長率は、中国政府が今年の成長率目標として設定した6.5~7.0%の下限を下回ることはなくなったとみられ、中国景気が安定感を増したとの見方が強まった。

 しかし一部で指摘されているように、中国のGDP成長率を素直に受け取ることは難しい。GDP統計は、他統計から作成される加工統計とはいえ、3四半期連続で同じ伸びになることは(たとえ新興国であっても)考えにくい。

 中国・国家統計局の盛来運報道官は、指標発表後の会見で、中国経済は安定成長を続けており、消費が貢献したと説明した。同時に発表された個人消費動向を示す実質社会消費小売総額(以下、個人消費とする)は、1-9月期で前年比9.8%増と、1-6月期の同6.7%増から小幅加速し、同報道官の発言を裏付けるような結果となっている。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年10月19日)


 10月19日のロンドン市場はドルが軟調な展開となった。ドル円は取引中盤まで103円台半ばでもみ合い。後半に入り米債利回りが小幅低下すると103円台前半に下落した。一部メディアが次回の日銀金融政策決定会合で追加緩和を見送ると報じたこともドル円の重石となった。

 ユーロドルは取引前半に1.09ドル台後半から1.10ドルちょうど近辺に上昇。8月のユーロ圏建設業生産高は前月比0.9%減と5カ月ぶりの減少となり、前月分も下方修正されると、ユーロドルは1.10ドルちょうど近辺で伸び悩み。後半はユーロ売り優勢となり、ユーロドルは1.09ドル台後半に下落した。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年10月19日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。東欧通貨は上値の重い動きとなる一方、アジア通貨や中南米通貨は堅調に推移した。

 KRWは対ドルで0.6%の上昇。9月の韓国PPIは前年比-1.1%と低下率が2014年11月以来の低さに縮小した。

 CNYは対ドルでほぼ変わらず。第3四半期の中国GDPは市場予想通り前年比6.7%増と3期連続で同じ伸び。9月の中国鉱工業生産は前年比+6.1%と市場予想に反し前月から鈍化。一方、同月同国の小売売上高は同10.7%増と市場予想通り前月から小幅加速した。

 BRLは対ドルで0.5%の上昇。10月15日のブラジルFIPE・CPIは前月比+0.02%、10月のブラジルIGP-M(二次速報値)は前月比+0.16%と、いずれもほぼ市場予想通り。8月のブラジルIBGEサービス部門売上高は前年比3.9%減と市場予想を上回る減少。10月のブラジルCNI産業信頼感は52.3と前月から小幅低下したが3カ月連続で50台を維持した。

 CLPは対ドルで0.4%の上昇。チリ中銀は市場予想通り政策金利を3.50%で据え置き。同中銀は声明で今後の金融政策の変更は内外マクロ経済環境次第との考えを繰り返した。

 HUFは対ドルで小幅下落。8月のハンガリー平均総賃金は前年比6.9%増と市場予想を上回り、2012年7月以来の高い伸びを記録した。

 ZARは対ドルで0.4%の上昇。9月の南アフリカCPIは前年比+6.1%と市場予想を小幅下回ったが、前月から加速。一方、コアCPIは同+5.6%と市場予想や前月を下回った。8月の南アフリカ小売売上高は前年比0.2%増と市場予想を下振れた。

 PLNは対ドルで変わらず。9月のポーランド鉱工業生産は前年比+3.2%と市場予想を小幅下回る一方、同月同国の建設業生産高は同15.3%減と市場予想ほど落ち込まず。同月同国の小売売上高は同4.8%増と市場予想や前月を下回った。

 RUBは対ドルで0.8%の上昇。9月のロシア失業率は5.2%と市場予想通り前月と変わらず。同月同国の実質可処分所得は前年比2.8%減と減少率が市場予想を大きく下回り、実質賃金は同2.8%増と2カ月連続で2%超の伸び。同月同国の実質小売売上高は同3.6%減と減少率が市場予想を下回り、前年割れが続く2015年以降、マイナス幅が最も小さくなった。

 ILSは対ドルで0.2%の下落。10月のイスラエルCPI予想は前年比+0.7%と前月から小幅加速した。

本日、日本ではプロ野球ドラフト会議が開催されます。指名されたら職場の者と私の今後について協議したいと思っています。

2016年10月19日水曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年10月18日)


 10月18日のロンドン市場は取引後半に円が買われる場面もあったが、主要通貨は総じて動意に欠ける展開となった。ドル円は取引中盤まで104円ちょうど近辺で小動き。ドイツ株は上げて始まり、その後じり高の動きとなったが、米債利回りは動意に乏しく、ドル円は小動きを続けた。取引後半に入り米債利回りが低下すると、ドル円は103円台後半に下落。しかし終盤に米債利回りが上昇に転ずると、ドル円も104円ちょうどに反発した。

 ユーロドルは1.10ドルちょうどを小幅上回る水準で動意に乏しく推移。ただ終盤に1.10ドルちょうど近辺に低下した。この日はユーロ圏主要国出経済指標の発表もなく、ユーロ相場は材料難となった。

 ポンドドルは取引中盤まで1.22ドル台半ば近辺で小動き。9月の英CPIは前年比+1.0%と市場予想を小幅上回り、2014年11月以来の1%台に加速。8月の英住宅価格指数は前年比+8.4%と市場予想を上回ったがポンド買いの動きは見られなかった。取引後半に入り一部メディアが英国のEU離脱手続きについて議会の批准が必要となる可能性が高いとする政府筋の発言を報ずると、英国債は買い優勢となり、ポンドドルは一時1.23ドルちょうどに上昇。ただ引けにかけては1.22ドル台後半に下落した。

 NY市場は取引前半こそドル買いの動きが強まったが、長続きせず、中盤以降は上値が抑えられた。取引序盤に発表された9月の米CPIは前年比+1.5%と市場予想通り。コアCPIは同+2.2%と市場予想を小幅下回った。指標発表後、ドル円は一時103円台後半に下落する一方、ユーロドルは1.10ドルちょうどを上抜けしたが、その後は原油先物価格の上昇を背景に米債利回りが上昇。ドル円は104円台前半に上昇する一方、ユーロドルは1.09ドル台後半に下落するなどドル買い優勢となった。

 しかし取引中盤に近付き原油先物価格が反落すると、米債利回りも低下。ドル円は下落基調に転じ、取引中盤に入ると103円台後半に下落。ユーロドルは1.10ドルちょうど手前に反発した。

 ただ、その後、米債利回りは下げ止まり、動意に乏しく推移。ドル円は104円ちょうど手前でもみ合いとなり、ユーロドルは1.09ドル台後半で推移した。

 FRBは9月の公定歩合議事録を公表。9連銀が公定歩合を引き上げるよう主張したことが判明し、年内追加利上げ観測をサポートしたが、米債市場は大きく材料視せず。米景気の先行き期待が盛り上がらないこともあり、ドル買いの動きも強まっていない。本日東京市場でもドル円は104円ちょうどがレジスタンスとして機能するとみられ、上値の重い動きが続くと予想される。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年10月18日)

 新興国通貨は対ドルで上昇。米債利回りの伸び悩みがサポートとなった。

 CNYは対ドルで小幅下落。9月の中国資金調達総額は1.72兆元と市場予想を上回る規模。同月同国の新規元建て融資は1.22兆元と市場予想を上回ったが、M2は前年比11.5%増と市場予想を小幅下回った。

 BRLは対ドルで0.6%の上昇。8月のブラジル小売売上高は前年比5.5%減と市場予想を上回る減少を記録した。

 COPは対ドルで0.3%の上昇。8月のコロンビア貿易収支は10.3億ドルの赤字と赤字額が市場予想を小幅上振れ。同月同国の小売売上高は前年比1.9%減と市場予想を上回る減少。一方、同月同国の鉱工業生産は同+9.4%と市場予想を大きく上回り、2014年3月以来の高い伸びに加速した。

 PLNは対ドルで変わらず。9月のポーランド平均総賃金は前年比3.9%増と市場予想を下回り、3カ月連続で鈍化。同月同国の雇用は同3.2%増と市場予想や前月を小幅上回った。

 RUBは対ドルで0.3%の上昇。9月のロシアPPIは前年比+5.1%と市場予想を上回り、3カ月ぶりの高い伸びを記録した。

吸血鬼ドラキュラのモデルとなった貴族が住んでいたお城に、31日のハロウィーンの夜に2人一組の客を宿泊させる企画を宿泊施設レンタル会社が発表し、募集を開始したそうです。日本だとお化け屋敷で一夜を過ごすようなものですね

2016年10月18日火曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年10月17日)


 10月17日のロンドン市場はドルが上値の重い動きとなった。ドル円は取引前半に104円ちょうど近辺から104円台前半に小幅上昇。一方、ユーロドルは1.10ドルちょうど手前から1.09ドル台後半に下落した。下げて始まったドイツ株が下げ幅を縮め、米債利回りが上昇し、ドル買いの動きとなった。

 しかし取引中盤に入り、ドイツ株が軟調に転じると、米債利回りも一転して低下基調で推移。ドル円は104円ちょうどを小幅上回る水準に反落し、ユーロドルは1.10ドルちょうどに上昇するなど、ドルは軟調な動きとなった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年10月17日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。ZARやMXNの上げが目立つ一方でアジア通貨は軟調だった。

 SGDは対ドルで小幅上昇。9月のシンガポール輸出(除く石油)は前月比2.4%増と市場予想を上回った。

 IDRはBloombergによると対ドルで0.2%の下落。9月のインドネシア貿易収支は12.2億ドルの黒字と黒字額が市場予想を上回り、昨年7月以来の高水準。輸出は前年比0.59%減と市場予想に反し前年割れとなったが、輸入が同2.26%減と前年割れが続いたことで貿易黒字が拡大した。

 PHPは対ドルで0.2%の下落。8月のフィリピン海外労働者送金は前年比16.3%増と市場予想を大きく上回り、2014年3月以来の高い伸びを記録した。

 BRLは対ドルで変わらず。10月のブラジルIGP-10は前月比+0.12%と市場予想を小幅上回ったが、前月から鈍化。ブラジル中銀の週次エコノミストサーベイでは年末時点の政策金利見通しが13.50%に下方修正。10月16日のブラジル貿易収支は11.6億ドルの黒字と黒字拡大ペースが前月から鈍化した。

 TRYは対ドルで0.3%の下落。7月のトルコ失業率は10.7%と市場予想通りで前月から悪化。9月のトルコ中央政府財政収支は169.1億リラの赤字と昨年12月以来の大幅な赤字を記録した。

 RUBは対ドルで0.2%の下落。9月のロシア鉱工業生産は前年比-0.8%と市場予想に反し前年割れとなった。

ロボット掃除機の市場規模が拡大しているそうです。床に置いたモノを片付けてくれるロボットの登場まで待ちたいと思います。

2016年10月17日月曜日

マーク・ファーバーのコメント(2016年10月)

マーク・ファーバー博士から、またレポートが届きました。
せっかくですので内容を簡単にご紹介します。

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ミレニアル世代とは、
おおまかに80年代前半から00年代前半に生まれた
10から30代の米国人を指します。

「おおまかに」というのは、
厳密な定義があるわけではなく、
人によって結構な差があるからです。

日本では、おおまかに80年代前半から00年代までの
学習指導要領の影響を受けた10から30代を
「ゆとり世代」と呼ぶことがあります。

これも「おおまかに」であり、
その範囲は人によって大きな差があるようです。

ただ「ゆとり」というと文脈に
否定的な意味あいを含んでいることが多く、
要は日米ともに「いまどきの若い奴らは……」
という使われ方をしている感じがします。

さて、博士はこのミレニアル世代が
現状・将来に対して誤った認識をしているのに驚いた
(そしてよく考えれば驚くほどではない)
と指摘しています。

その元凶として挙げているのは、
いつもの方々です。

また、その“誤った認識”のひとつとして
年金の積立不足危機(特に公務員年金)
を挙げています。

ただでさえ不足しているのに
今後は逆ザヤで、さらに二進も三進もいかなくなり
倒産する自治体が続出する可能性があるようです。

それなのに米国では
「現金(の呪縛)を撤廃して
金利を“自由”にしよう
=金利操作・マイナス金利を推し進めよう」
という議論があります。

博士はキャッシュレス社会がむしろ呪縛となり、
さらなるドルへの自傷行為となる
可能性を指摘しています。
ここが今回のレポート最大のテーマです。

レポートの最後は
有望市場としてブラジルを挙げています。

大きな偏見と混乱で、かなりみえにくいものの
そこには「真実」「転機」「進化」があり、
むしろ人知れず、何もせず、
“いつもの方々”に踊らされて
退化していく国よりはマシとの指摘です。

マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート

来年には下値余地が広がると思われるブラジル・レアル(BRL)

 ブラジル中銀は日本時間10月20日の朝に政策金利を発表する見込みである。Bloomberg調査によると、予想回答者21名中、金利据え置きが2名、25bpの利下げが7名、50bpの利下げが12名と予想がバラついている。

 ここにきて利下げの見方が強まっているのは、ブラジルのインフレ指標が鈍化の兆しを見せ始めたためだろう。9月のIPCAは前月比+0.08%と、2014年7月以来の低い伸び。IGP-Mは7月から3カ月連続で前月比0.2%程度の伸びに留まっている。FIPE・CPIは9月に前月比-0.14%と2013年7月以来のマイナスに転じた。

 国有石油会社ペトロブラスが14日、燃料価格を引き下げる方針を示したことも利下げムードを刺激している。同社は15日からディーゼル油を2.7%、ガソリンを3.2%引き下げると発表した。

 そもそも市場では、今年第4四半期からブラジル中銀が利下げを始めるとの見方を持っていた。同中銀が毎週実施するエコノミスト調査では、政策金利見通しが今年末時点で13.75%、来年末時点で11.00%となっている。金融政策委員会(Monetary Policy Committee:COPOM)は、今年は残り2回、来年は計10回開催される予定。エコノミスト調査の見通しでは、今年は年内に50bpの利下げ1回か、25bpの利下げ2回が見込まれており、来年は毎会合で25bpの利下げか、2会合に1回の割合で50bpの利下げが実施されることが見込まれていることになる。

 ブラジル景気は低迷が続いている。第2四半期GDPは前期比0.56%減と6四半期連続のマイナス。鉱工業生産は3月以降、前月比でプラスを続けてきたが、8月は-3.8%と2012年1月以来の大幅低下。小売売上高は前月比でプラスとマイナスを繰り返し7月は0.3%減。7月の経済活動指数は前月比0.09%減と小幅ながらマイナスに転ずるなど、第3四半期もブラジル景気は底打ちするとは言い切れない。

 インフレが(ようやく)落ち着きを見せ始めた一方で、景気が低迷を続けているなか、ブラジル政府は財政再建路線を維持している。テメル大統領は、政府支出への上限設定、退職年齢の引き上げ、インフラ整備への民間資金の導入などに取り組む姿勢を示しており、ブラジル下院では政府支出に上限を課す法案が大差で可決した。政府による景気刺激が期待できない以上、ブラジル中銀が利下げに動くのは自然と言える。

 ブラジル・レアル(BRL)は7月以降、対ドルで3.10~3.40のレンジ内での推移。高金利に加え、ブラジルの対外収支の改善が続いていることもあり、BRLは安定的な動きを維持している。ペトロブラスが燃料価格の引き下げを発表した14日は、ドル高の動きも加わったが、BRLは対ドルで0.9%の下落に留まった。仮にブラジル中銀が10月20日に50bpの利下げに踏み切ったとしても、ブラジルのインフレや対外収支がすぐさま悪化するとは考えにくく、BRL売りの動きは限定的だろう。むしろ利下げに伴う景気回復期待から、ブラジル株が上昇し、BRLは買い優勢となる可能性すらある。

 しかし来年に入り、ブラジル中銀が利下げを続けることで、BRLの上値は重くなるとみておくべきだろう。利下げに伴い高金利メリットが剥落するだけでなく、利下げで景気が刺激されれば、輸入増によってBRLを下支えしてきた対外収支の改善が悪化に転ずる可能性が高いからだ。

 すでにブラジルの対外収支の改善は頭打ちの兆しもでてきた。ブラジル経済収支(12カ月累計)は改善傾向が続いているが、貿易収支は黒字拡大が止まっている。8月の財・輸入数量は前年比40.2%増と2010年11月以来の大幅増。今のところBRLが底堅く推移していることもあり、輸入物価の伸びが抑えられているが、景気回復とともに輸入数量が増加し、BRLが少しでも軟調となれば輸入物価も上昇。輸入額がさらに上昇することで対外収支が悪化し、それがBRL安を促すという、いわゆる悪循環の可能性も否定できない。

 これまで低下してきた米債利回りが、徐々に上昇している点にも注意が必要だ。米10年債利回りは先週、6月3日以来となる1.80%台を一時記録。NY連銀が公表する米10年債のリスクプレミアムも、-0.46程度と5月末水準までマイナス幅が縮小している。今後の米国景気次第の部分はあるものの、来年にかけて米FRBが金融政策の正常化に対する強い意欲を示せば、米債利回りがさらに上昇することも十分にありえる。利下げに伴うブラジル債利回りが低下する一方、米債利回りが緩やかながらも上昇基調を続ければ、ブラジルの資本流入が縮小する可能性が高まる。

 USD/BRLは今年1月21日に4.1720の高値を記録してから下落基調で推移。8月10日には3.1141に達した。上の節目は1月から8月の下落の23.6%戻し水準である3.364、心理的節目3.400、38.2%戻し水準の3.5182、そして半値戻しの3.6430あたりか。来年に入ればBRLの下値余地が広がるイメージを持っていいだろう。

2016年10月16日日曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年10月14日)


 10月14日のロンドン市場はポンドが買い優勢の展開となる一方、円はじり安の動きとなった。ポンドドルは取引序盤に1.22ドルちょうど近辺から1.21ドル台後半に下落。その後、1.22ドルちょうど近辺に反発したが、8月の英建設支出は前年比0.2%減と市場予想を下回ると、ポンドドルは1.22ドルちょうど近辺で上値が重くなった。

 指標発表後、しばらくしてBOEのカーニー総裁が8月の金融緩和策が労働市場の見通し下支えに役立ったとの見解を表明。向こう数年の間にインフレがややオーバーシュートすることも甘んじて受け入れる意向を示した。カーニー総裁の発言が伝わると、ポンドドルは上昇基調となり取引中盤には1.22ドル台前半に上昇。後半には1.22ドル台半ば近辺に上昇した。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年10月14日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。アジア通貨が底堅く推移する一方、東欧通貨は下落した。

 SGDは対ドルで0.7%の下落。シンガポール金融通貨庁(MAS)は金融政策を発表し、シンガポールドルの誘導方針を現状維持とすると発表。資源安による輸出の落ち込みが経済成長を押し下げるとの見通しを示し、来年の成長率も大きな回復は見込めないと指摘。消費者心理の冷え込みから来年の物価上昇率の伸びも「緩やかにとどまる」とし、現行の金融政策を長期維持する必要があるとした。同時に発表された第3四半期のシンガポールGDPは前期比年率4.1%減と4年ぶりの大幅減少。8月のシンガポール小売売上高は前年比1.0%減と市場予想に反し6カ月ぶりの前年割れとなった。

 CNYは対ドルで変わらず。9月の中国CPIは前年比+1.9%と市場予想を上回り、同時に発表された同月同国のPPIは同+0.1%と市場予想に反し前年割れを回避した。

 INRは対ドルで0.3%の上昇。9月のインドWPIは前年比+3.57%と市場予想を下回り、前月から小幅鈍化した。

 PENは対ドルで小幅上昇。ペルー中銀は市場予想通り政策金利を4.25%で据え置き。同中銀は声明でインフレ期待は緩やかに弱まっている一方で、経済活動は潜在成長率に近いペースで推移していると指摘した。8月のペルー経済活動は前年比+5.5%と市場予想を上回り、6カ月ぶりの高い伸び。9月の同国失業率は6.5%と市場予想を下回り、昨年12月以来の低水準に改善した。

 COPは対ドルで小幅下落。コロンビア中銀は会合議事録(10月1日結果発表分)を公表。インフレは依然として高いとの指摘があったが、メンバーの一人はインフレよりも景気減速のリスクの方が大きいと指摘。景気鈍化が確認されれば、利下げを選択肢として検討すべきとの考えを示した。

 CZKは対ドルで0.8%の下落。8月のチェコ経常収支は7.4億コルナの赤字と赤字額が市場予想を下回った。

 PLNは対ドルで1.2%の下落。9月のポーランドM3は前年比9.3%増と市場予想を下回り、5カ月連続で鈍化。8月の同国経常収支は10.5億ドルの赤字と赤字額が市場予想を上回り、昨年7月以来の大きさに拡大した。

 ILSは対ドルで0.3%の下落。9月のイスラエルCPIは前年比-0.4%と市場予想通り、低下率が前月から縮小した。