2018年9月21日金曜日

激しい競争の後でみえてくるキャッシュレス社会のイメージ

日本経済新聞は9月19日、QRコードによるスマホ決済事業者のOrigami(オリガミ)が今秋にも、企業向けに決済機能を無償で開放すると報じました。報道によると、オリガミの決済機能を使えば、企業は独自ブランド(たとえば、ムラタペイ)の決済サービスを始めることができるほか、オリガミの加盟店と連携することが可能になるそうです。

日本では今年に入り、経済産業省が主導する形でキャッシュレス決済を普及させようとする動きが目立っており、アップル、アマゾン、LINE、ヤフーなど様々な大手企業が、スマホ決済事業に相次いで参入しています。またLINEやヤフーなど新規参入組は、自社サービスの普及を推進するために、期間限定の形で決済手数料の無料化を決定するなど、積極的な営業活動をしています。

2018年9月13日木曜日

MUFGだけでは大きなインパクトとなりえない銀行店舗を核とした不動産再開発

日本の主要メディアは9月10日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が三菱地所と共同で銀行支店跡地などの再開発を手掛ける新会社の設立を検討していると報じました。報道によると、新会社はMUFG60%、三菱地所40%の出資で設立され、MUFGの子会社とすることで検討されているようです。新会社は銀行法において金融関連の助言業務を手がける会社と位置づけられ、三菱UFJ銀行が保有する物件を中心に再編する全国の店舗について、跡地の活用や最適な店舗の場所の選定について検討するとされています。

メガバンクや地方銀行の多くは駅前や人通りの多い場所などの好立地に店舗を有していますが、店舗の統廃合や小型店への切り替えに伴い、たとえ好立地の店舗であっても移転されるケースが増えると予想されています。そこでMUFGは、新会社を通じ好立地の店舗の移転と合わせて駅前の再開発や、新店舗の移転候補地の選定を助言し、街の活性化につなげる意向のようです。一部報道によると、対象となる店舗は100店を超える可能性があるそうです。

2018年9月6日木曜日

景気後退リスクを高めるかもしれない北海道と関西での自然災害被害

9月6日午前3時8分ころ、北海道の胆振地方中東部を震源とする地震が発生しました。気象庁によると、北海道安平町で震度6強の揺れが観測されたほか、千歳市で震度6弱、札幌市と苫小牧市で震度5強が観測されました。各種報道によると、一部市町村で大規模な土砂崩れが発生したほか、札幌市などでは家屋や工場が倒壊したようです。

この地震の影響で、北海道内の全ての火力発電所が停止。約295万戸で停電が発生し、6日午前9時現在でも復旧のめどは立っていないようです。交通インフラについては、9日朝の時点で北海道内の電車は全線停止。北海道新幹線は新青森-新函館北斗間で運転見合わせとなっています。新千歳空港では滑走路に異常がなかったようですが、ターミナルビルで水漏れが発生し閉鎖。新千歳空港の発着便はすべて欠航が決まっています。札幌市営地下鉄と路面電車は全線で運行の見通しが立っておらず、北海道中央バスと函館バスの2社が全線運休しています。

関西でも台風21号の影響で交通インフラがマヒしています。関西国際空港(関空)は、台風21号の接近で滑走路やターミナルビルが浸水し、停電が発生。地下1階が水没し、排水ポンプが故障したほか、空港がある人工島と対岸をつなぐ連絡橋がタンカーの衝突で破損し、同空港は9月4日から全面閉鎖が続いています。

北海道と関西の交通インフラがマヒしたことで、日本の製造業におけるサプライチェーンは当面、毀損した状態が続くことになりそうです。日本経済新聞は9月6日朝、日本製紙の製紙工場、新日鉄住金・室蘭製鉄所の高炉、トヨタ自動車の部品工場の停止・休止を報じています。また同新聞は、2017年の関西国際空港経由の輸出額が5.6兆円と、関西2府4県全体の3分の1を占めて、輸入額は3.9兆円と、関西の4分の1を占めていることも紹介しています。サプライチェーンの毀損がどの程度、続くかを見極めることは難しいものの、数日程度でサプライチェーンが平常時の状態に戻ると期待することも難しいでしょう。

地銀の将来像を示唆しているのかもしれない越境融資比率の違い

毎日新聞は9月4日、地方銀行(地銀)が本拠地以外の都道府県の企業に融資をする「越境融資」を拡大させていると報じています。同様の内容は日本経済新聞でも6月13日に報じられていますが、両記事とも、日本総合研究所の吉本澄司主席研究員のレポートでの分析結果をヒントに作成されたようです。

毎日新聞
越境融資を加速 都市進出に活路 金利競争が激化
https://mainichi.jp/articles/20180904/ddm/008/020/061000c

日本経済新聞
地銀の越境融資、最高に 再編論議に影響も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31718500T10C18A6EE9000/

日本総合研究所・吉本澄司主席研究員
数字を追う~経済活動や取引先企業、貸出の県境越えと地域銀行再編
競争条件と規模拡大の両立には県境を越えた統合が有力
https://www.jri.co.jp/file/report/researchfocus/pdf/10591.pdf

報道によると、地銀が本店所在地外の都道府県で実施した融資は、昨年(2017年)3月末時点で融資全体の33.2%で、今年(2018年)3月末時点では過去最高の35%超に達したようです。アパートなどの不動産関連や中小企業の借り換えが比率の上昇に貢献していると考えられています。

越境融資の比率が最も高かった都道府県は、岐阜県の64.5%で、越境融資の比率が50%以上(本拠地以外での融資が全体の半分以上)の都道府県は岐阜県、島根県、和歌山県など6県。一方、比率が最も低かったのは沖縄県の2.7%で、越境融資の比率が20%以下は東京、愛知、埼玉など7都道県でした。(2017年3月時点)

2018年8月30日木曜日

外国人投資家が後押しするのかもしれない地銀の再編・統合

日本経済新聞は8月29日、上場地方銀行(上場地銀)において外国人投資家が株式を保有する割合(外国人株主比率)が上昇していると報じています。同報道によると、上場地銀の外国人株主比率が最も高いのは、横浜銀行と東日本銀行を有するコンコルディア・フィナンシャルグループとスルガ銀行の33.0%で、大東銀行(28.6%)、沖縄銀行(25.4%)、福島銀行(24.5%)と続いています。

日本銀行は7月末、「株主構成の変化が地域銀行の経営に与える影響」という論文を公表しています。同論文では、2010年度から2016年度の上場地銀を対象に、株主に占める外国機関投資家の割合が上昇した影響を調べたところ、地銀の配当支払いと自己株買いの動きが積極化した可能性があると指摘されています。一方、地銀の収益力に対しては、明確な影響を及ぼしていることが確認されなかったと記されています。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2018/data/wp18j07.pdf

一般的に外国人投資家は、投資先企業に対し株主還元の強化を求める傾向があると言われています。上場地銀において外国人株主比率が上昇したことで、上場地銀は、配当支払いや自社株買いを増やしたり、高い水準で維持する姿勢を続けると予想されます。