2019年9月26日木曜日

とりあえずポイントサービスには参加した方がいいのか?

大手小売店の多くは、いわゆる「ポイントサービス」を顧客に提供しています。お客様は、買った金額に応じて、小売店からポイントが与えられ、そのポイントを使うことで、割引サービスが受けられる、というものです。

ポイント制度を用意する小売店は、お客様にポイントサービスへの参加を勧めます。参加するために費用を支払う必要はないのに、何かを買えば自動的にポイントがたまるので「お得ですよ」と説明します。

しかし、ポイントに参加するために名前や住所、メールアドレスなどを登録する場合がありますので、手続きが面倒なので参加を見送る方も少なくありません。ポイントサービスを受けるためには、カードを持ってくる必要があるため、財布の中がカードでいっぱいになってしまう、という理由で参加を見送る方もいらっしゃいます。

このためか、最近では、ポイントを手に入れるためにカードではなくて、スマホのアプリを使うことが増えてきました。最近では、スマホを常に持っている方も増えていますし、アプリであれば、ポイントサービスにたくさん参加しても、スマホがかさばることもありません。



また、ポイントサービスの中には、名前や住所を必要とせず、LINEなどのSNSを通じてポイントサービスに参加できるものも増えてきました。LINEであれば、実際の名前や住所を小売店に明かすこともありませんので、いわゆるプライバシーが守れそうに思えますし、手で字を書く必要もないので手続きが簡単なように思えます。

ポイントサービスに参加するためのお客様のコストはゼロですから、「とりあえず」ポイントサービスに参加するのは合理的のように思えます。また貯めたポイントを使いそびれても、もともとコストをかけたわけではないので、損をするわけではないように思えます。

しかし、だからといって、むやみにポイントサービスに参加するのは、あまり合理的な行動とは思えません。とくに、お客様にとって便利に思えるスマホを使ったポイントサービスへの参加は、受け取ったポイントを本当に使うのか?と考えてから参加した方が無難に思えます。

ポイントサービスをお客様に提供するため、小売店は何らかのコストを支払っています。スマホのアプリを使ったサービスであれば、アプリを作成するコストを支払っています。SNSを使ったポイントサービスの場合、小売店はSNSにもコストを支払っています。

こうしたコストは、長い目で見た場合、価格に反映されます。ポイントサービスのコストが価格に反映されれば、それはお客様の負担が増すことになります。つまり、お客様が得をするように思えるポイントサービスは、結局、お客様の負担で成り立ちます。

ポイントサービスを使うことで小売店のお客様が大きく増えれば、価格を上げなくてもポイントサービスを提供するためのコストはカバーされます。しかし、最近では、小売店の多くはポイントサービスを提供しているので、ポイントサービスが差別化の要因になりにくくなっているように思えます。ポイントサービスによってお客様が大きく増える、ということは、今の日本の場合、あまり期待できないように思えます。

ポイントサービスは、お客様に繰り返し来ていただく、という狙いで始まったサービスですが、最近ではお客様へのマーケティング(営業)活動に使うことも珍しくなくなりました。たとえばポイントサービスに参加した後、メールやSNSなどを通じて、ポイントサービスを提供する小売店から広告を受け取ることは一般的なことになりつつあります。

広告をきっかけとした買い物を否定する意図はありませんが、一見お得に見える広告情報によって、不要不急の買い物が増える可能性は否定できません。広告を全く見ない、ということも理論的には可能ですが、その場合、メールなどで受け取った情報を仕分けするという作業が必要です。こうした作業は短時間なので負担感が少ないように思えるかもしれませんが、目や脳の疲れにつながりやすいことも忘れてはなりません。

ポイントサービスがお客様にとって本当にお得なのは、ポイントサービスを利用する前から小売店に行く回数が多く、今後も数多く行く可能性が高いと考えられる場合のみでしょう。この場合であれば、ポイントを使いそびれることもなくなるでしょうし、小売店から届く広告情報を無視する必要もありません。

あまり利用する可能性が低い小売店の場合、たとえ勧められてもポイントサービスへの参加を見送る判断も時には必要と思われます。店員さんは、参加は無料ですから、と勧めてくるかもしれませんが、その後に行かないのであれば、たとえ無料であっても受け取ったポイントを使うことはありません。また、次回以降にすぐに使えたとしても、その金額が数十円から百円程度であれば、交通費をかけた時点でむしろ赤字(損をすること)になってしまいます。

小売店を選ぶ際に、ポイントサービスを提供していない小売店を選ぶ、という考え方も有効かもしれません。ポイントサービスを提供していない小売店は、体制が整っていないためかもしれませんが、少なくともポイントサービスのためにコストをかけておらず、ポイントサービスの提供コストをお客様に負担させることはありません。ポイントサービスを提供しなくても、ビジネスをきちんとやっていける、という自信の裏返しと解釈することもできます。

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