2017年11月25日土曜日

低インフレ、金融緩和 そしてビットコイン


 日本のインフレは弱いままである。消費者物価指数(CPI)は8月、9月と2カ月連続で前年比+0.7%と、消費税率引き上げの影響が一巡した2015年4月以降、最も高い伸びに加速。ただ内訳をみると、エネルギーによる押し上げ効果(寄与度)が+0.5%、生鮮食品を除く食料の寄与度が+0.2%と、この2つで伸びのほとんどが説明できる。これらは原油価格の上昇を背景とした公共料金の引き上げと、酒の安売り規制を強化する改正酒税法の施行による酒類の上昇によるところが大きく、内生的に物価上昇圧力が高まっているとは言い難い。現に、食料とエネルギーを除くCPIは、今年2月から7月まで前年比で小幅マイナスで、8月、9月はゼロ(横ばい)である。

 インフレが弱いのは米国でも同じである。CPIは10月に前年比+2.0%と前月から鈍化し、食料とエネルギーを除くCPI(コアCPI)は同+1.8%と7カ月連続の2%割れである。PCEデフレータは9月に前年比+1.6%とハリケーンの影響でエネルギー価格が上昇したにもかかわらず2%割れのまま。FRBがインフレ目標のターゲットとするコアPCEデフレータは同+1.3%と、2012年5月以降、2%割れのままで、年初(1月時点で前年比+1.9%)からみると鈍化している。

 FOMCでは、弱いインフレが長続きする可能性を指摘する声が増えているようだ。日本時間の昨日(11月23日)早朝に発表されたFOMC議事要旨(11月2日結果発表分)によると、FOMCスタッフは、来年のPCEデフレータが、コアPCEデフレータの「説明しがたい」鈍化により下方修正される可能性があると指摘。FOMC参加者の多くは、コアPCEデフレータが当初の予想よりも長く2%割れを続ける可能性があると認めている。