2017年4月25日火曜日

マーク・ファーバーのコメント(2017年4月)



昨日、ファーバー博士からメールをいただきました。
博士は相変わらず元気のようです。
今回も彼のレポートをご紹介します。
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=9933&c=2011281600009



“米国経済盤石論”のひとつとして、
家計資産の増加を挙げる人がいます。

2016年10-12月期には、93兆ドル近くまで増えました(FRB発表)。
トランプ相場が追い風になったようです。
(ちなみに日本の個人金融資産は
資金循環統計16年10-12月期によると
過去最高の1800兆円台となりました)

しかし、博士は「この巨額の富」が「ほとんど幻想」であり、
むしろ、そこにはいくつかの問題がみえてくると指摘しています。

例えば、家計の上位0.1%が下位90%よりも
富を保有しているという「偏在」の問題です。

特権階級が下位から富を吸い上げる仕組みを作り上げ、
この偏在がさらに深刻化していると説きます。

それに超金持ちがどれだけさらに金持ちになろうが、
トリクルダウンは知れていると
具体的な例を挙げて説明しています。

また、実質ベースでみると今の若者は、
高齢者が若者だったときに比べて稼げていないし
ほとんど富がありません。

さらに、米家計資産で大きな割合を占める年金が
静かなる危機に瀕しています。
例えば、今回取り上げているのは、
あるトラック運転手組合の年金破綻による悲惨な状況です。
これに公務員年金や企業年金の積立不足が控えています。

米国で株式や債券が理想的な現状にもかかわらず、
年金破綻の問題が潜んでいる実情を
博士はかなり問題視しているようです。

また、博士は家計資産が増えたといっても、
株式全体が生んだ富(配当の再投資を含めたトータルリターン)
に比べると、たいしたことがないと指摘しています。

その理由をいくつか挙げているのですが、そのひとつが
ほとんどの株式は短命で、ほとんどリターンを上げておらず、
ごく少数の大化け株が全体的なリターンをゆがめている事実です。
そのからくりのなかで、
個人投資家は常に「風説の流布」によって
往復ビンタをくらっていると主張しています。

そのため、博士は指数運用がさらに成長するとみていますが、
その先には生き残った積極運用のマネジャーが世界を舞台に
大活躍する姿がみえているようです。

最後に、注目の市場として
今月は欧州株を挙げており、
具体的な銘柄を挙げています。

また巻末には、スイスの運用会社「ENISOパートナーズ」の幹部が記した
運用哲学と有望市場のレポートを掲載しました。

特にユーロ相場についての見方は非常に興味深いです。
なお、同社のForte Eファンドは
英系金融情報会社シティワイヤが選ぶ
2015年度最優秀欧州系株式ファンドに選ばれています。