2018年7月29日日曜日

リスク回避を続けているわけではない個人の資産運用

日本の個人は、これまで言われていたほど投資信託(投信)を購入・保有していないことが判明し、話題になっています。日本銀行は6月27日、資金循環統計の改定結果を公表しました。資金循環統計は、個人(家計)、企業、金融機関、政府といった部門が保有する金融資産・金融負債の状況を示す統計です。家計が保有する現預金は960兆円である、家計の金融資産は1800兆円を超えている、といった報道を目にした方もいらっしゃるかもしれませんが、こうした報道は、この資金循環統計がもととなっています。

資金循環統計の改定は、毎年実施されてきましたが、改定前の数値と大きく変わることはなく、普通の方だけでなくエコノミストといったマクロ経済統計の専門家の間でも、あまり注目されるものではありませんでした。しかし今回の改定では、家計が保有する投信残高が大きく下方修正され話題となりました。昨年末(2017年12月末)の家計の投信保有額は、改定前は109.1兆円とされていましたが、改定後は76.4兆円と、32.7兆円も減りました。

また、改定作業を過去に遡ることで、家計の投信保有額の変化も、これまで言われていたことと異なることがわかりました。改定前の資金循環統計では、家計の投信保有額は、2011年から毎年増える結果が示されていましたが、改定後の数値では、投信保有額は2014年の80.4兆円がピークで、2015年以降は70兆円台での推移が続く結果となりました。これまで投信業界では、資金循環統計を根拠に「個人(投資家)の投信人気は高まっている」と言われていただけに、今回の改定で、「個人の投信人気は言われていたほどではない」という評価に変わろうとしています。