2014年12月12日金曜日

自民党大勝は円売り再加速につながるか

 日本のメディア各社の衆院選・情勢報道によると、14日投開票の衆院選で、自民党は単独で300を超える議席を獲得し、公明党と合わせた与党は、参院で否決された法案を衆院で再可決できる定数の3分の2(317)の議席を確保する見込みとなっている。仮に報道通りに自民党・与党が大勝すれば、日本に疎い外国人投資家を中心に、市場関係者の多くは、総選挙の結果をアベノミクスの信認と捉えるだろう。

 ただ、総選挙を通じアベノミクスの信認が確認されたとしても、総選挙後の週明け(15日)の為替市場では、円売りの動きが加速するとは考えにくい。市場オープン直後のドル円は、2年前の衆院選直後と同じように円安方向にギャップをつけてスタートする可能性はあるものの、その後はポジション調整の動きが優勢になるだろうと考えている。

 11日の海外市場では、ドルを買い戻す動きが優勢となったが、ドル円は119円台半ば近辺で伸び悩み。NY市場取引後半には118円台後半に下落するなど、ドル円の上値の重さが目立った。12日の東京市場でもドル円は119円ちょうど近辺で上値が重くなり、取引後半には一時118円台半ばまで反落するなど、ドル買い・円売りの動きが強まる気配は見られない。

 原油先物価格が2009年7月以来となる1バレル60ドル割れに下落し、11月の中国鉱工業生産は前年比+7.2%と市場予想を下振れするなど、世界経済の先行き不透明感は強いまま。日本時間18日早朝の米FOMC結果発表では、声明文で事実上のゼロ金利を「相当の期間(considerable time)」維持するとの文言が削除されるとの見方が強まっているが、実際の声明文を見るまでドル買いポジションの積み増すには慎重にならざるを得ない。19日には日銀・金融政策決定会合や黒田総裁会見も控えており、週前半は、ドル高・円安が進展する場面で、むしろドル買い・円売りポジションを調整する動きが強まるのではなかろうか。

 なお一部報道によると、関西電力の高浜原子力発電所3、4号機が、再稼働に向けて原子力規制委員会による原発の安全審査の合格内定を年内に得られる見通しになったという。原発再稼働に前向きとされる自民党が総選挙で大勝すれば、原発再稼働の動きに弾みがつくとも予想され、原油価格の下落と合わせて、日本の貿易赤字の縮小観測も高まりやすくなる。年明けにも実需面では円売り圧力が後退するとの見方も強まりそうだ。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年12月11日)

原油価格が下げ止まらないこともあって新興国通貨はこの日も売り優勢。ロシア・ルーブル(RUB)は対ドルで過去最安値を更新しました。ただ原油安は原油輸入国であるアジア各国にとって朗報。新興国通貨の二極化が進みそうです。

※チャートはフィリピン・ペソ(PHP)の対ドルレート。USD/PHPなので、下に行けばいくほどPHP高を意味します。

 新興国通貨は多くが対ドルで下落。WTI原油先物価格はNY市場取引終盤に1バレル60ドル割れ。米債利回りの上昇もあって新興国通貨は売り優勢となった。

 PHPは対ドルで0.5%の上昇。ムーディーズはフィリピン格付けを「Baa3」から「Baa2」に引き上げ。格付け見通しは「安定的」とした。同社は格上げの理由として財政運営改善に伴う債務削減が続いていることや力強い経済成長に向けた好ましい展望の継続、新興市場に今影響が及んでいる共通リスクへの脆弱性が限定されていることを指摘した。

 IDRはBloombergによると対ドルで小幅下落。インドネシア中銀は市場予想通り政策金利を7.75%で据え置き。同中銀は声明で来年の成長率見通しを5.4~5.8%とし、同国政府による燃料価格の引き上げのインフレに対する影響は今後3カ月間は続くとの見方を示した。

 BRLは対ドルで1.4%の下落。USD/BRLは2.65台と2005年4月以来のBRL安水準に達した。ブラジル中銀は会合議事録(12月4日開催分)を公表。インフレは来年にかけても高水準での推移となり、短期的には加速するとの見方が示された。ただ財政政策が緊縮気味になる可能性は排除されないとし、2016年になればインフレは目標水準に近づく動きを示すとの見方も示された。

 COPは対ドルで0.5%の下落。USD/COPは一時2450台と2009年3月以来のCOP安水準に達した。コロンビアのカルデナス財務相は現在のCOP相場は健全な水準にあるとしたものの、足元のCOP安ペースは急激であり、短期間でのCOP安進展は望んでいないとも発言した。

 TRYは対ドルで0.6%の下落。10月のトルコ経常収支は20.3億ドルの赤字と赤字額が市場予想を上回り、前月分の赤字も上方修正。トルコの対外収支改善期待を後退させた。

 HUFは対ドルで0.8%の下落。11月のハンガリーCPIは前年比-0.7%と市場予想や前月を上回る落ち込みとなり、統計開始以来最大の落ち込みを記録。ハンガリー中銀による追加利下げ観測を高めた。

 ZARは対ドルで0.9%の下落。第3四半期の南アフリカ非農業部門雇用者数は前年比1.0%増と市場予想を小幅上回ったが、前期比では1.5%減と昨年第2四半期以来のマイナス。第4四半期の同国BER消費者信頼感は0と市場予想を下回るなど、南ア景気の低迷が続いていることを示した。

 RUBは対ドルで1.6%の下落。USD/RUBは55.7台と過去最高(RUBでは過去最安値)を更新した。ロシア中銀は市場予想通り政策金利を100bp引き上げ10.50%にすると発表。同中銀は今後もインフレリスクが高まる場合、利上げを続ける意向を示した。

 ILSは対ドルで0.3%の上昇。11月のイスラエル貿易収支は7.6億ドルの赤字と赤字額が前年同月や前月から縮小。輸出が前月比3.3%減と3カ月ぶりのマイナスとなったものの、輸入が同4.0%減と3カ月連続の減少となったことで貿易赤字が縮小した。

今度の日曜日は第47回衆議院議員選挙と最高裁判所裁判官の国民審査の投票日ですね。皆様お忙しいとは思いますが、投票しましょう。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年12月11日)

この日はドル買い戻しの動きが優勢。ただ原油価格が下げ止まらないこともあって、ドル円の上値は重い状態が続くと思われます。


 12月11日のロンドン市場はドルを買い戻す動きが優勢となった。ドル円は取引序盤に118円ちょうど近辺に下押しされたが、その後は持ち直し、取引後半には118円台後半に上昇。欧州株や日経平均先物は小幅ながらプラス圏で推移。米債利回りは動意薄だったが、ドル円は下値の堅い動きとなった。

 一方、ユーロは上値の重い動き。ユーロドルは取引き前半に1.24ドル台半ば近辺から1.24ドル台後半に上昇。しかしECBが月報で金融政策の姿勢を来年初めにはリリースするとし、原油価格の下落は他品目のインフレにも影響を及ぼす可能性があるとの見方を表明すると、ユーロドルは1.24ドル台前半に下落。その後、ECBがTLTRO第二弾で供給額は1298.4億ユーロと市場予想を下回ったことを発表すると、ユーロドルはやや下落した後に反発。引けにかけては1.24ドル台後半に反発したが、この日の高値を超えることはなかった。

 スイスフランは方向感に欠ける動き。ドルスイスは0.96台半ばを挟んでの上下動が続いた。スイス中銀は市場予想通り政策金利とスイスフランの対ユーロでの上限を据え置き。同中銀は声明でデフレリスクの高まっていると指摘。スイスフランは依然として高水準にあるとの見方を示し、無制限の為替介入を行う用意があることや、必要に応じて追加措置を講じる用意があることを明らかにした。

 NOKはノルウェー中銀の予想外の利下げを受けて下落。EUR/NOKは同中銀の発表を受けて8.90ちょうど近辺から一時9.07台前半まで急上昇。ただ、その後NOKは買い戻され、EUR/NOKは引けにかけて8.97台半ば近辺まで下落した。ノルウェー中銀は市場予想に反し政策金利を1.50%から1.25%に引き下げると発表。同中銀は石油産業の活動は鈍くなっており、原油価格の急落がそうした傾向を増幅する可能性があると指摘。経済全体に影響が及び、失業率がやや上昇する可能性があるとの見方を示した。また同中銀のオルセン総裁は25bpの追加利下げの可能性は五分五分と発言。金融政策に関する分析レポートでは、2016年末に向けて政策金利が1.25%かそれを幾分下回る水準になることが示唆されているとも述べた。

 NY市場に入ってもドルは買い戻しの動きが続いた。取引序盤はドル円が118円台前半に小幅下落する一方、ユーロドルは1.24ドル台後半で底外動きを示すなどドル買戻しの動きは一服。ただ米経済指標の発表前にドル円は118円台半ば近辺に小反発。ユーロドルは1.24ドル台前半に下落するなどドルは強含んだ。

 11月の米小売売上高は前月比0.7%増と市場予想を上回る伸び。一方、同時に発表された新規失業保険申請件数は29.4万件と、市場予想に反し前週から改善。両指標が好結果だったことを受けて、米債利回りは上昇基調に転じ、ドル買い優勢の展開に。ドル円は取引後半には119円台半ば近辺とこの日の高値を更新。一方、ユーロドルは1.23ドル台後半に下落した。ただ取引終盤に入り米国株が上げ幅を縮めると、ドル円は119円台前半に下落した。

 カナダドルは軟調な動き。ドルカナダは1.14台後半から1.15台半ば近辺まで上昇した。10月のカナダ新築住宅価格は前年比+1.6%と前月から変わらず。第3四半期のカナダ設備稼働率は83.4%と市場予想を上回ったが、カナダドルは指標発表後、売り優勢の動きとなった。

 原油価格の下落に歯止めがかからず、米国株は上値が重い展開。米景気の拡大基調は続いているものの、市場の慎重な姿勢は続いたままだ。本日東京市場でもドル円は上値の重い動きが予想される。一方、ユーロもTLTROの不発もあってECB緩和観測が根強いことから弱含みでの推移となる見込み。アジア通貨は世界経済の先行き不透明感を背景に対ドルで軟調な推移が予想される。

2014年12月11日木曜日

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年12月10日)

市場のリスク回避姿勢の継続でドルは売られていますが、新興国通貨はイマイチのまま。世界経済の先行き不透明感が重石となっています。

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。原油価格の下落を背景に中南米通貨やRUBが下落する一方、東欧通貨は続伸となった。

 MXNは対ドルで1.0%の下落。USD/MXNは14.5台と2012年6月以来のMXN安水準に上昇した。11月のメキシコ名目賃金は前年比4.3%増と3カ月ぶりの高い伸びとなったがMXNはNY市場取引中盤にかけて売りが先行した。

 CLPは対ドルで0.3%の下落。11月のチリ自動車販売は前年比29.3%減と3カ月連続の前年割れ。チリ景気の悪化継続が示された。

 PENは対ドルで小幅下落。10月のペルー貿易収支は3.6億ドルの赤字と赤字額が市場予想を小幅上回る結果。輸出は前年比12.3%減と夏場以降、落ち込みペースが加速気味。

 ZARは対ドルで0.9%の下落。11月の南アフリカCPIは前年比+5.8%と市場予想通り高止まり。コアCPIは同+5.8%と市場予想を上回るなど南アフリカのインフレ圧力の強さが示された。一方、10月の同国小売売上高は前年比3.4%増と市場予想を上回った。

 TRYは対ドルで変わらず。第3四半期のトルコGDPは前年比1.8%増と市場予想を大きく下回る弱い伸び。トルコ中銀のバシュチュ総裁は来年のトルコのインフレは商品市況の下落を背景に6.2%を下回る可能性があると発言。原油価格が1バレルあたり10ドル下がると、同国インフレは0.4~0.5%pt程度低下し、経常赤字はGDP比0.5%pt程度縮小するとの試算結果を公表した。今年第4四半期の成長率は強いものにはならないとの見方も示した。

 RUBは対ドルで1.1%の下落。USD/RUBは54.8台と過去最高(RUB安)水準に達した。12月8日までの週のロシアCPIは日次平均前月比+0.050%と前週より鈍化。ただ2週前の伸びに比べれば高い伸びとなった。

 HUFは対ドルで0.2%の上昇。ハンガリー中銀は会合議事録(11月25日開催分)を公表。政策金利据え置きの決定は全会一致の結果。今後の金融政策はインフレ目標のためにも緩和的なものであることが続けられるべきとの考えが示された。

ある日本企業はコンビニ大手と燃料電池車用の「水素ステーション」を併設することで合意したそうです。燃料電池車の普及に弾みがつくといいですね。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年12月10日)

原油価格の下落などで世界経済の先行き不透明感が増す状況。米利上げ期待は続いているものの、単純なドル買いが難しく、むしろドル買いポジションを縮小する動きもある様子。ドル円の上値も重いままと見るべきと思われます。

 12月10日のロンドン市場はドル、ユーロともに方向感に欠ける動き。ドル円は取引序盤に119円台前半から118円台後半に下落したが、その後119円台前半に反発し、同水準でもみ合いの動き。ユーロドルは1.23ドル台後半での推移となった。欧州株はプラス圏で推移し、日経平均先物は東京市場終値水準でのもみ合いとなるなど、市場のリスク回避姿勢は一服。ドル、ユーロは様子見姿勢の強い展開となった。

 エストニア中銀のハンソン総裁は一部メディアとのインタビューで、個人的には社債を対象として検討する方に大きな安心感がある。長期に及ぶ大規模な国債の買い入れには依然として警戒心を抱いていると発言。ユーロ圏各国の国債利回りは、その多くが過度に低い水準にあると指摘。ECBによる国債買い入れに否定的な見方を示した。一方、一部ドイツ紙はECBドラギ総裁がドイツのショイブレ財務相に電話をかけ、ECBの国債買い入れの支持を求めたと報じた。

 ポンドは軟調な動き。ポンドドルは取引序盤に1.56ドル台後半から1.57ドルちょうど近辺まで上昇したが、取引終盤には1.56ドル台半ばまで下落。引けにかけて1.56ドル台後半に反発したが、上値は重かった。10月の英貿易収支は20.24億ポンドの赤字と赤字額が市場予想を下回り、今年3月以来の低水準に縮小。ただ市場の反応は限定的だった。

 NY市場はドルが下落。ドル円は119円台前半から118円ちょうど近辺に下落基調で推移。ただ取引終盤には118円台前半に反発した。一方、ユーロドルは1.23ドル台後半から1.24ドル台前半に上昇した。OPECは月報で、来年のOPEC産原油需要見通しを日量2892万バレルと、従来予想から28万バレル下方修正し、現行の生産量を100万バレル超下回る水準であると発表。これを受けて原油先物価格は1バレル60ドル台と2009年7月以来の安値水準に下落した。米国株は石油株を中心に売りが先行し、米債利回りも低下基調で推移。取引終盤に発表された11月の米財政収支は568億ドルの赤字と市場予想を下回る赤字となったが、ドル売り優勢の動きは指標発表後も続いた。

 カナダドルは対ドルでも下落基調で推移。ドルカナダは1.14台後半から1.15ちょうど近辺に上昇した。カナダ中銀のポロッツ総裁は金融システム政策のレビューの発表会見で、景気回復は苛立たしいほど緩やかであると発言。原油下落は重大なリスクであるほか、住宅市場は10~30%の範囲で割高であるとの見方を示すなど、総じて悲観的な内容が示された。

 ニュージーランド中銀は市場予想通り政策金利を3.50%で据え置き。同中銀は声明で同国金利は緩やかに上昇するとの見方を示す一方、NZドル高は持続不能で大幅な下落が予想されると指摘した。同中銀の声明を受けてNZドル/ドルは0.76ドル台後半から一時0.78ドル台前半に急上昇。その後は0.78ドルちょうど近辺でのもみ合いとなった。

 OPECの原油需要見通しが下方修正され、原油価格の下押し圧力は増した印象。9日より始まった中国・中央経済工作会議では来年の成長率目標が7.5%から7.0%程度に下げられるとの見方も出ている。米国景気の拡大基調に変わりはないものの、世界経済全体の先行き不透明感は強まっている状況。本日東京市場でのドル円は上値の重い動きが予想される。一方、ユーロは対ドルでは底堅い動きとなる見込み。アジア通貨は世界経済の先行き不透明感を背景に対ドルで軟調な推移となりそうだ。なお本日は韓国とインドネシアで政策金利が発表される。いずれも市場予想では金利据え置きの見方が大勢。ただKRW高抑制を狙って韓国では予想外の利下げの可能性も。一方、インドネシアはIDR安懸念から予想外の利上げに動く可能性もあると思われる。

2014年12月10日水曜日

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年12月9日)

この日はドルが売られましたが、ロシア・ルーブル(RUB)だけでなく、チリ・ペソ(CLP)やコロンビア・ペソ(COP)も対ドルで下落するなど、新興国通貨の一部は弱いまま。新興国通貨はまだまだ我慢が必要のようです。

 新興国通貨は対ドルで方向感に欠ける動き。東欧通貨が対ドルで上昇する一方、COP、CLP、RUBが下落した。

 MXNは対ドルで変わらず。11月のメキシコCPIは前年比+4.17%と市場予想通り前月から鈍化。11月の同国ANTAD既存店売上高は前年比2.4%増と市場予想を小幅上回った。

 CLPは対ドルで0.5%の下落。11月のチリ貿易収支は4.6億ドルの黒字と黒字額が市場予想を上回ったものの、前月からは減少。輸出は前年比3.5%減と2カ月連続の前年割れとなった。

 CZKは対ドルで0.5%の上昇。11月のチェコCPIは前年比+0.6%と市場予想に反し前月から小幅鈍化。チェコのディスインフレ傾向は続いている。

 HUFは対ドルで0.6%の上昇。10月のハンガリー貿易収支は3.74億ユーロの黒字と黒字額が市場予想を大きく下回る結果。輸入の増加が貿易黒字の縮小につながった。

 ZARは対ドルで0.7%の上昇。10月の南アフリカ製造業生産は前月比0.5%増と市場予想を下回る伸び。指標発表後、ZARはやや売られたが、NY市場に入ると買い戻し優勢の動きとなった。

ロシアのモスクワには椅子の代わりにダブルベッドが設置された映画館があるそうです。私なら間違いなく寝てしまうでしょう。もったいないから行くのはやめることにします。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年12月9日)

ドル円は一時、120円ちょうど近辺から118円ちょうど近辺と2円も下落。その後、119円台半ば近辺に反発するなど荒い値動きとなりました。ドル高基調に変わりはないと思われますが、ドル円のボラティリティの拡大には注意が必要です。


 12月9日のロンドン市場はドルの上値が重い動き。ドル円は取引前半に120円ちょうど近辺から119円台半ば近辺に下落。取引後半には再び120円ちょうど近辺に反発したが、上値は抑えられた。一方、ユーロドルは1.23ドル台前半から1.23ドル台後半に上昇した。欧州株、日経平均先物はともにマイナス圏での推移。米債利回りは取引前半に低下した後に取引後半には反発したが、終盤には伸び悩み。先週末の米雇用統計後のドル買いポジションを調整する動きが優勢となった。

 フィッチは日本国債の格付けを「A+」から引き下げる方向で見直すと発表。格付けの方向性を「ネガティブ」とした。同社は来年10月に予定されていた消費税率10%への引き上げを延期したことが格下げにつながるマイナス要因の一つと指摘。2020年度の財政健全化目標の達成もリスクが高まっているとした。ただ、フィッチの発表に対する市場の反応は限定的だった。

 ポンドは取引前半こそ上昇したが、中盤以降は軟調な動き。ポンドドルは取引前半は1.56ドル台後半で強含みの動きとなったが、取引後半には1.56ドル台前半に下落した。10月の英鉱工業生産は前年比+1.1%と市場予想を下回り、前月分も下方修正。英景気の先行き期待を後退させた。

 NY市場では、取引中盤にかけてドル売りが先行する動き。ドル円は120円ちょうど近辺から118円ちょうど近辺と大きく下落。一方、ユーロドルは1.23ドル台後半から1.24ドル台前半に上昇した。11月の米NFIB中小企業楽観指数は98.1と市場予想や前月を大きく上回り、2007年2月以来の高水準を記録。その後発表された10月の米求人件数は483万件、同月同国の卸売在庫は前月比0.4%増といずれも市場予想を上回った。しかし、米国株が大きく下げて始まるなど、市場はリスク回避姿勢が強まる展開。米債利回りも低下基調が続き、ドル売りの動きを後押しした。

 取引後半に入ると大きく下げた米国株がやや買い戻され、米債利回りも小幅反発。ドルも買い戻し優勢の動きとなり、ドル円は119円台半ば近辺に上昇。一方、ユーロドルは1.23ドル台後半に下落した。ECBプラート専務理事はECBが国債買い入れに踏み切れば、金融緩和姿勢を維持するとの強いシグナルを送ることになり、間接的に銀行融資を促進する可能性があると発言。1月の会合での国債買い入れの決定の有無に関する質問に対し、1月に決定し、その後実施する可能性もあると述べた。

 中国での短期融資に関する担保規定の厳格化やギリシャ大統領選前倒し決定もあって市場はリスク回避姿勢を強める動き。先週末の米雇用統計後に形成されたドル買いポジションを調整する動きが強まった。米国株は下げ幅を縮めるなど、市場の動揺も落ち着いた様子だが、本日東京市場でのドル円は不安定な値動きが続くと予想される。一方、ユーロはECB追加緩和期待を背景に上値が重くなる見込み。アジア通貨は市場のリスク回避姿勢の強まりを受けて対ドルで軟調な推移となりそうだ。

2014年12月9日火曜日

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年12月8日)

ドルは下げたものの、新興国通貨で対ドルで上昇したのは東欧通貨くらい。ロシア・ルーブル(RUB)や南アフリカ・ランド(ZAR)は大きく下げました。ただメキシコのように景気拡大基調がみられる国もチラホラ。一部ではあるものの新興国通貨の反発の準備は着々と進んでいるような気もします。

 TWDは対ドルで0.2%の下落。11月の台湾貿易収支は42.2億ドルの黒字と黒字額が市場予想を下振れ。輸出が前年比3.7%増と市場予想を上回ったが、輸入が同5.1%増と市場予想を上回る伸びとなったことで貿易黒字が縮小した。

 INRは対ドルで小幅下落。第3四半期のインド経常収支は101億ドルの赤字と市場予想を上回る赤字を記録。貿易赤字の拡大が経常赤字の拡大につながった。

 BRLは対ドルで0.7%の下落。ブラジル中銀の週次サーベイでは来年末のUSD/BRL見通しが2.70と6週連続でBRL安方向に修正。政策金利見通しは12.50%と前週調査から上方修正された。

 MXNは対ドルで小幅上昇。11月のメキシコ自動車生産は前年比11.4%増と3カ月連続の二桁増。同月同国の自動車販売は同11.2%増と5カ月連続の二桁増を記録するなどメキシコ景気の拡大基調を示した。メキシコ中銀のカルステンス総裁は原油安を背景にメキシコのインフレは目標とする3%に収れんするだろうと発言。MXN安のペースは他新興国通貨と比べても大きなものではないとの認識を示したが、今後もMXN安が続くようなら利上げをする必要もあるとの考えを示した。

 ZARは対ドルで1.5%の下落。UDS/ZARは11.5台と2008年10月以来のZAR安水準に達した。第3四半期の南アフリカ経常収支はGDP比6.0%の赤字と前期より低下したものの、市場予想を上回る赤字を記録。南アフリカの対外収支の改善期待の後退を受けてZARは指標発表後、売りが先行した。

 TRYは対ドルで0.3%の下落。10月のトルコ鉱工業生産は前年比+2.4%と市場予想を下回る伸び。トルコ中銀はこれまで一日当たり2千万ドルとしていたドル売り介入を4千万ドルに引き上げると公表。同中銀は最近のTRY相場のボラティリティの拡大を理由として挙げた。

 CZKは対ドルで0.4%の上昇。10月のチェコ鉱工業生産は前年比+3.2%、同月同国の貿易収支は102億コルナの黒字とともに市場予想を下振れた。

 PLNは対ドルで0.3%の上昇。ポーランド中銀のグレボッカ委員は来年第1四半期に欠けてデフレリスクが続くとの見方を披露。同中銀のブラトコフスキ委員も追加利下げを拒否するのは非合理だとして、100bpの利下げも視野に入るとの見解を示した。一方で、同中銀のホーイナドゥフ委員は現地メディアとのインタビューでGDP成長率が堅調に推移していることを理由に追加利下げの可能性はないとの見方を示した。

 ILSは対ドルで0.5%の上昇。イスラエル中銀は会合議事録(11月24日開催分)を公表。金利据え置きの決定は前科一致であることが判明した。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年12月8日)

先週末の米雇用統計は出来すぎの感も。8日のNY市場ではドルが売られました。とはいえ、米国景気の堅調地合いは継続。ドルは対円、対ユーロともに買い優勢の状態が続くと思われます。

 12月8日のロンドン市場はユーロが軟調な動き。ユーロドルは1.22ドル台後半から1.22ドル台半ば近辺に小幅下落した。10月のドイツ鉱工業生産は前年比+0.8%と市場予想を小幅下振れ。その後、オーストリア中銀のノボトニー総裁はECB来年第1四半期にインフレが鈍化する可能性が高いと発言。ユーロ圏経済の勢いが大きく衰えているとも指摘し、ユーロ相場の下落は重要な副次的効果があるとも述べ、ユーロ安を容認する印象を与えた。

 ドル円は121円台前半から121円ちょうど近辺に小幅下落。ユーロ圏景気の先行き不透明感を背景に欧州株は軟調な推移。米債利回りも小幅低下し、ドル円の上値を重くした。

 NY市場に入るとドルが下落基調で推移した。米国株が下げて始まったことから、ドル円は120円台後半に下げる一方、ユーロドルは1.22ドル台後半に反発する動き。しかし、その後、米国株が先週末終値水準を回復し、米債利回りは下げ止まると、ドル円は121円ちょうど近辺に反発するなどドルも下げ止まった。ただ、取引中盤に発表された11月の米労働市場情勢指数は2.9と前月から鈍化。米債利回りが再び低下基調で推移すると、ドル円は120円台後半に下落する一方、ユーロドルは1.23ドルちょうど近辺に上昇するなどドル売り優勢の動きに。後半に入り、米国株が下げ幅を広げる動きとなるとドル円は120円台前半に下落。ユーロドルは1.23ドル台前半に上昇するなどドル売りの動きが広がった。取引終盤は米国株が下げ止まりから反発に転じたことでドル円は120円台半ば近辺に反発。ユーロドルは1.23ドル台前半で伸び悩む格好となった。

 ECBは12月5日時点までの週のABS購入額が2.33億ユーロと前週の3.68億ユーロから縮小したことを発表した。

 カナダドルは軟調な動きとなった。11月のカナダ住宅着工件数は19.56万件と市場予想を小幅上回り、10月の同国住宅建設許可件数は前月比0.7%増と前月の大幅増にかかわらず前月比プラスを維持。ただドルカナダは1.14台前半でのもみ合いが続くなど、市場の反応は限定的だった。NY市場取引中盤に原油先物価格が下げると、カナダドルは売り優勢の動きに。取引後半にはドルカナダは1.14台後半に上昇した。

 先週末の米雇用統計はやや出来すぎの感もあり、米労働市場情勢指数は前月からやや鈍化した。とはいえ、日本のGDPが下方修正されるなど、日米の景況感格差は広がった印象。金融政策の違いもあって、本日東京市場でのドル円は下値固めから再び上昇基調で推移すると予想される。一方、ユーロはECB追加緩和期待を背景に上値が重くなる見込み。アジア通貨は対ドルで軟調な推移となりそうだ。