2017年3月18日土曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2017年3月17日)



 3月17日のロンドン市場は、取引後半にドルが軟調になる中、ユーロが下落するなど、やや不安定な動きとなった。

 ドル円は113円台前半から113円ちょうど近辺に下落基調で推移。東京市場でにじり安の動きだった米債利回りはロンドン市場に入り下げ止まり。しかしドイツ株が下げて始まったことでドル円は上値の重い動き。後半に入り米債利回りが低下に転ずると、ドル円もドル売り優勢となった。

 ユーロドルは取引中盤まで1.07ドル台後半で方向感に欠ける動き。1月のユーロ圏貿易収支(季調値)は157億ユーロの黒字と黒字額が市場予想を下回り、2015年3月以来の低水準に縮小したが、ユーロの反応は限定的だった。取引後半に入り、一部フランス系の調査会社が、フランス大統領選世論調査を発表。第1回投票でルペンの支持率が小幅ながら上昇すると、ユーロは売りが先行し、ユーロドルは1.07ドル台前半に急落。その後も同水準で推移した。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2017年3月17日)

 新興国通貨は対ドルで小動きだった。

 CNYは対ドルで小幅下落。
2月の中国海外直接投資は前年比9.2%増と市場予想に反し前年越え。伸び率は昨年6月以来の高い伸びだった。

 SGDは対ドルでほぼ変わらず。
2月のシンガポール輸出(除く石油)は前年比21.5%増と市場予想を上回り、2012年2月以来の高い伸びに加速した。

 BRLは対ドルで0.9%の上昇。
3月15日のブラジルFIPE・CPIは前月比+0.02%とほぼ市場予想通り。3月のブラジルIGP-M(二次速報値)は前月比+0.08%と市場予想を小幅下振れ。3月のブラジルCNI産業信頼感は54.0と前月から小幅上昇した。

 CLPは対ドルで変わらず。
チリ中銀は市場予想通り政策金利を25bp引き下げ3.00%にすると発表。同中銀は声明で景気とインフレが足元のトレンドを維持するなら、金融政策による刺激が必要になる可能性があると指摘。追加利下げに含みを持たせた。

 COPは対ドルで0.3%の上昇。
1月のコロンビア貿易収支は7.54億ドルの赤字と赤字額が市場予想を小幅下回った。

 PLNは対ドルで0.2%の上昇。
2月のポーランド鉱工業生産販売は前年比+1.2%、同月同国の小売売上高は同+7.3%、同月同国のPPIは同+4.4%と、いずれも市場予想を下振れた。

よい連休をお過ごしください。

2017年3月17日金曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2017年3月16日)



 3月16日のロンドン市場は、取引序盤に円が買われる場面があったが一時的。その後は米債利回りの上昇を背景にドルが底堅く推移した。

 ドル円は取引序盤に113円台前半から113円割れへと急落。ロンドン市場に入り、日本の安倍首相が、一部私学に100万円の寄付をしたとされる問題が一部で材料視された模様。ストップオーダーによるドル売りの動きも加わったようで、ドル円はドル売り・円買いの動きが強まった。

 ただ、ドル売り・円買いの動きは続かず、その後、米債利回りは上昇。ドル円は113円台半ばまで大きく反発し、取引後半は113円台半ば手前で推移した。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2017年3月16日)

 新興国通貨は対ドルで続伸。FRBイエレン議長がFOMC後の会見で利上げペースの加速を否定したことが好感された。

 IDRはBloombergによると対ドルで小幅上昇。インドネシア中銀は市場予想通り政策金利を4.75%で据え置き。同中銀は声明で慎重な金融調整を続けていく意向を示し、金利、為替、マクロプルデンシャルといった様々な手法で今後の情勢変化に対応する用意ができているとした。

 BRLは対ドルで0.4%の下落。
3月15日のブラジルIPC-Sは前月比+0.35%と前週や市場予想とほぼ同じだった。

 CZKは対ドルで0.3%の上昇。
2月のチェコPPI(工業)は前年比+3.1%と2012年2月以来の高い伸びに加速。1月のチェコ経常収支は294億コルナの黒字と黒字額が市場予想を小幅下回ったが、前月分の赤字額が下方修正された。

 PLNは対ドルで0.5%の上昇。
1月のポーランド経常収支は24.6億ユーロの黒字と2004年の統計開始以来最大の黒字を記録。2月のポーランド平均総賃金は前年比4.0%増と市場予想通り前月から鈍化。同月同国の雇用は前年比4.6%増と市場予想を小幅上回り、2008年7月以来の高い伸びに加速した。

 TRYは対ドルで1.5%の上昇。
トルコ中銀は市場予想通りレポレート、翌日物貸出金利、同借入金利の3金利を現状維持。事実上の政策金利となった後期流動性貸出金利は75bp引き上げられ11.75%にすると発表した。同中銀は声明で必要であればさらなる金融引き締めを実施する意向を示した。3月10日までの週のトルコ非居住者によるトルコ債投資は3.54億ドルの買い越しと、昨年9月以来の買い越し額を記録した。

 RUBは対ドルで1.0%の上昇。
3月10日のロシア金・外貨準備高は3914億ドルと前週から減少した。

花粉症ネタも、そろそろ底を突きつつあります。

本日もよろしくお願いいたします。

2017年3月16日木曜日

マーク・ファーバーのコメント(2017年3月)



今回も
マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート
の内容を一部ご紹介します。
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=9933&c=2011281600009


博士と40年来の友人であるロバート・プレクターは
エリオット波動研究の第一人者として知られています。

著書『エリオット波動入門』は全米テクニカルアナリスト協会で
アワード・オブ・エクセレンス賞を受賞している名著です。
同書およびエリオット波動に関しては
http://amzn.to/2npj5zZ
をご覧ください。

大多数が米国株に悲観的だった70年代後半に
80年代の大相場を予見し
84年のトレード大会で444%のリターンを弾き出すなど
プレクターには数々の実績があります。

また、氏が90年代に指摘した米国資産の“最高潮”も
博士によると“実質的”にはそのとおりであり、
自分の見解と一致するとのことです。

さて、プレクターは最近、長年の研究成果をまとめた
800ページの大著を上梓しました。
http://amzn.to/2npkpTr

新著のテーマである「ソシオノミクス」は
むりやり訳すと“社会心理経済学”となるでしょうか。

相場に限らず社会変化の原動力は
人々が内的に知らず知らず共有している
「ムード(空気)」であり
空気を読むことで過去の事象の発端を説明し
将来の変化を予測していく科学だといえます。

行動経済学に近いような気がしますが、
ソシオノミクスは社会ムードを
唯一無二の原因としている点で、
アプローチが全く違うようです。

また、氏は現実離れした仮説で実用的でない
机上の方程式を作っている現代経済学や
社会変化の外的原因を説明するとされる
ニュースは全く役に立たないどころか
むしろ有害だと断じています。

博士はソシオノミクスと19世紀末に発展した
心理学的景気循環論との密接な関係を指摘して
プレクターの説を大方支持しながらも
社会の変動要因は心理だけではないと(無視するより、はるかに良いが)
またムードに変化を引き起こすものを理解することが
自分にとっては重要と考えているようです。

さらに、ニュースは百害あって一利なしというわけではなく
読む人の意識が重要だと示唆しています。

さて、今月の投資方針ですが、
プレクターの“お弟子さん”のレポートを引用しながら
博士が注目する市場のひとつである
シンガポール株・REITについて
具体的銘柄を挙げて解説しています。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2017年3月15日)

 3月15日のロンドン市場はドルの上値が重い展開となった。

 ドル円は取引前半に114円台後半から114円台半ば近辺に下落。中盤に同水準で下げ止まり、後半にはいったん114円台後半に持ち直したが、終盤には再び114円台半ば近辺に下落した。ドイツ株は序盤に上昇したが、その後、前日終値水準に反落。米長期債利回りは低下基調で推移し、ドル円の上値を重くした。

 ユーロドルは取引序盤に1.06ドル台前半で小幅上昇。中盤も同水準で小動きとなったが、後半はロンドン市場序盤の水準に小幅下落した。第4四半期のユーロ圏雇用は前年比1.1%増と前期から小幅鈍化し、2015年第3四半期以来の低い伸び。ただ市場の反応は限定的だった。

 ポンドは英経済指標を受けて下落した。ポンドドルは取引中盤まで1.22ドル台前半で小動き。中盤に入り発表された2月の英失業率は2.1%と昨年1月と同様に1975年1月以来の低水準に低下。しかし同時に発表された1月の英週平均賃金は前年比2.3%増と市場予想を下回る伸びだった。英経済指標発表後、ポンドドルは1.22ドルちょうど近辺に下落。いったんは下げ止まったかのように見えたが、後半には1.21ドル台後半に下落した。

 NY市場は米経済指標を受けて円売り優勢の動きとなったが、中盤に入るとドルの上値が再び重くなり、終盤にFOMCの結果が発表されるとドルは大きく売られた。

 取引序盤に発表された3月のNY連銀製造業景気指数は16.4と市場予想を上回ったが、前月から低下。同時に発表された2月の米CPIは前年比+2.7%と市場予想通り前月から加速。コアCPIも同+2.2%と市場予想通りだった。同月同国の米小売売上高は前月比0.1%増と市場予想通りで前月から鈍化したが、前月分は同0.6%増に上方修正された。

 米経済指標発表後、ドル円は114円台半ば近辺から114円台後半に小幅上昇。一方、ユーロドルは1.06ドル台前半から1.06ドルちょうど近辺に下落した。

 取引中盤に近づき発表された3月の米NAHB住宅市場指数は71と市場予想を大きく上回り、2005年6月以来の高水準に上昇。同指標発表後、ドル円は114円台後半で強含んだが、ユーロドルは1.06ドル台前半で底堅く推移した。

 取引中盤に入り、米債利回りが低下すると、ドル円は114円台半ば近辺に下落し、ユーロドルは1.06ドル台前半で小動きとなった。

 取引終盤にFRBはFOMC声明を発表。FFレートの誘導目標は25bp引き上げられ0.75~1.00%となった。ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は金利据え置きを主張し、唯一反対票を投じた。声明では、企業投資が幾分強まった様子と上方修正。ただ、経済活動の先行きについては、金融政策スタンスの緩やかな調整により、経済活動は緩やかなペースで拡大する見通し、とする従来の文言が維持された。

 同時に発表されたFOMCメンバーによる金利見通し(いわゆるドットプロット)は以下の通りだった。

2017年

0.875%(年1回) 2名
1.125%(年2回) 1名
1.375%(年3回) 9名
1.625%(年4回) 4名
1.875%(年5回) 0名
2.125%(年6回) 1名

※中央値は1.375%。カッコは利上げ回数見通し

 FOMC声明発表後、ドル円は113円台後半に急落する一方、ユーロドルは1.06ドル台後半に急上昇するなどドル売り先行。ただ、ドル売り一巡後にドル円は114円ちょうど手前水準に反発。ユーロドルも1.06ドル台後半でもみ合いとなった。

 FOMC声明発表の30分後、FRBイエレン議長が会見を開始。冒頭で利上げは米経済の進展が続いていることを反映したものだと指摘。再投資の方針は維持されたが、いずれ変更することについて協議したとし、財政再せく変更の可能性は協議しなかったことを明らかにした。また3回の利上げは緩やかなペースであると確実に言えるとし、仮に利上げ回数が予測中央値から1度ずれても、利上げペースはなお緩やかなものであるとの認識を示した。

 イエレン議長の会見中にドル円は113円台前半に一段安。いったんは113円台半ば近辺に反発したが、引けにかけては再び113円台前半に下落。一方、ユーロドルは1.07ドル台前半に上昇した後に1.07ドルちょうど近辺に反落。しかし引けにかけてオランダ総選挙の投票が締め切られ、出口調査の速報で与党・自民党が最大議席を獲得し、ウィルダース党首率いる自由党の獲得議席は19議席(総議席150)にとどまる見込みとの結果が報じられると、ユーロドルは1.07ドル台前半へと上昇し、この日の高値を更新した。

 FOMCで利上げが全会一致ではなく、金利据え置きを主張し、反対票が1票投じられたほか、一部で期待されていたドットプロットでの利上げ回数見込の上方修正が見送られたことで米債利回りは急低下。
ドルは大きく売られた。

 ただ昨年12月から比べれば、FOMCならびにFRBイエレン議長の米経済に対する見方はより前向きになったと感じられる。今回のドル売りの反応は、一部で行き過ぎたともいえる利上げペースに関する期待が剥落したためでしかなく、ドルはいずれ買い戻されると思われる。

 ただ本日東京市場でのドル円は、日銀金融政策決定会合の結果が発表されるまで様子見姿勢が強まると予想される。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2017年3月15日)

 新興国通貨は対ドルでほぼ全面高となった。

 KRWは対ドルで0.5%の上昇。
2月の韓国失業率は4.0%と市場予想を上回り、1年ぶりの4%台に上昇した。

 IDRはBloombergによると対ドルで小幅上昇。
2月のインドネシア貿易収支は13.2億ドルの黒字とほぼ市場予想通りの結果。輸出が前年比11.2%増と市場予想を下回ったが、輸入も同10.6%増と市場予想を下回った。

 PHPは対ドルで変わらず。
1月のフィリピン海外労働者送金は前年比8.6%増と市場予想を上回った。

 INRは対ドルで0.2%の上昇。
2月のインド貿易収支は89.0億ドルの赤字と赤字額が市場予想を下回った。

 BRLは対ドルで2.1%の上昇。
3月のブラジルIGP-10は前月比+0.05%と市場予想や前月を下回った。

 COPは対ドルで0.9%の上昇。
2月のコロンビア消費者信頼感は-24.3と市場予想や前月を小幅上回った。

 CLPは対ドルで0.2%の下落。
2月のチリ自動車販売は前年比10.4%増と前月から伸びが加速した。

 PENは対ドルで0.7%の上昇。
2月のペルー失業率は7.7%と市場予想を上回り、2012年4月以来の高水準に上昇。1月のペルー経済活動は前年比+4.8%と市場予想を上回った。

 CZKは対ドルで1.1%の上昇。
1月のチェコ小売売上高は前年比7.7%増、同月同国の鉱工業生産は同+9.6%と共に市場予想を上回った。

 PLNは対ドルで1.3%の上昇。
2月のポーランド・コアCPIは前年比+0.3%と前月から小幅加速したが、市場予想を下回った。

 TRYは対ドルで1.9%の上昇。
12月のトルコ失業率は12.7%と市場予想を上回り、2010年3月以来の高水準に上昇。2月のトルコ財政収支は68.4億リラの赤字と再び赤字に転落した。

 ZARは対ドルで2.9%の上昇。
第1四半期の南アフリカBER企業信頼感は40.0と前期から小幅上昇。1月の南アフリカ小売売上高は前年比2.3%減と市場予想に反しマイナスとなった。

 RUBは対ドルで1.3%の上昇。
3月13日のロシアCPIは前週比+0.1%と前週から小幅加速した。

 ILSは対ドルで1.0%の上昇。
2月のイスラエルCPIは前年比+0.4%と市場予想を上回り、2014年6月以来の高い伸びに加速した。

米北東部は14日、季節外れの大雪に見舞われたそうです。私は花粉に見舞われています。

2017年3月15日水曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2017年3月14日)



 3月14日のロンドン市場はユーロが軟調に推移する一方、円は下値の堅い動きを見せた。

 ユーロドルは取引序盤に1.06ドル台前半から1.06ドル台半ば近辺に上昇したが、ユーロ買いの動きは続かず、その後、1.06ドル台前半に反落した。取引中盤に発表された1月のユーロ圏鉱工業生産は前年比+0.6%と市場予想を下振れ。同時に発表された3月のドイツZEW景況感指数は+12.8と前月から上昇したものの、こちらも市場予想を下回る水準。ユーロドルは1.06ドル台半ば近辺に小幅上昇したものの、取引前半と同様にユーロ買いの動きは続かず、取引後半は1.06ドル台前半でじり安の動きとなった。

 ドル円は取引序盤に115円ちょうど近辺から115円台前半に上昇。ロンドン市場に入り米長期債利回りが小幅高となったが、その後、一転して低下基調で推移。ドイツ株も小幅ながらマイナス圏で推移すると、ドル円は115円ちょうど近辺に小幅下落。後半も同水準での推移となったが、終盤に115円割れとなるなど、ドル円は上値の抑えられる展開となった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2017年3月14日)

 新興国通貨はINRが対ドルで大きく上昇したほかは、対ドルで下落。原油安が重石となった。

 PHPは対ドルで小幅下落。
1月のフィリピン失業率は6.6%と前年の5.7%から上昇した。

 CNYは対ドルで変わらず。
1-2月の中国小売売上高は前年比9.5%増と市場予想を下回り、2003年12月以来の一桁の伸びに鈍化。一方、1-2月の中国鉱工業生産は前年比+6.3%と市場予想を上回り、2015年8月以来の水準に加速した。

 INRは対ドルで1.2%の上昇。
2月のインドWPIは前年比+6.55%と市場予想を上回り、2013年11月以来の高い伸びに加速。同月同国のCPIは同+3.65%とほぼ市場予想通りだったが前月から加速した。

 MXNは対ドルで0.4%の下落。
1月のメキシコ鉱工業生産は前年比-0.1%とほぼ市場予想通りだった。

 COPは対ドルで0.5%の下落。
1月のコロンビア小売売上高は前年比2.2%減、同月同国の鉱工業生産は同-0.2%と、ともに市場予想に反し前年割れとなった。

 ZARは対ドルで小幅下落。
1月の南アフリカ鉱物生産は前年比1.3%増とほぼ市場予想通り。一方、同月同国の製造業生産は同0.8%増と市場予想を下回った。

 RUBは対ドルで0.8%の下落。
1月のロシア貿易収支は114億ドルの黒字と黒字額が市場予想を小幅下回った。

 PLNは対ドルで0.2%の下落。
2月のポーランドCPIは前年比+2.2%と市場予想を上回り、2012年12月以来の2%台に加速した。

米オレゴン州のある町が350万ドルで売りに出ているそうです。35万ドル追加すれば古い学校も手に入るとのこと。詳しくは不動産屋さんにお問い合わせください。

本日もよろしくお願いいたします。

2017年3月14日火曜日

杞憂に終わると思われる地銀の外債売却による円高の進展

 一部メディアは、金融庁が地方銀行(地銀)の資産運用部門に絞って立ち入り検査を実施すると報じた。金融庁は、地銀の運用におけるリスク管理体制を検証し、含み損を抱えた場合の対応策や投資判断基準を調べるという。また同庁は、頭取ら経営陣がどの程度リスクを認識し、主体的に運用に関わっているかどうかも検証すると報じられている。

 日銀によるマイナス金利政策などで運用難の地銀は、相対的に高い利回りを求め、外国債券(外債)への投資を拡大してきた。ところが、昨年11月の米大統領選を機に米国を始めとする外国長期債利回りは上昇(債券価格は下落)。一部地銀は、金利上昇により数百億円単位の損失を計上したと報じられている。

 金融庁が地銀に立ち入り検査を実施するとの報道で、地銀は保有する外債を取り崩すとの見方が一部から示されるようになった。金融庁は、融資を絞る一方で運用の比重を高める金融機関の姿勢に不満を持っており、地銀の多くは金融庁をはじめとする当局の意向に従順な傾向にあるといわれている。今回の金融庁の検査をきっかけに、地銀が外債保有の削減を進める展開を想定してもいいだろう。

 全国地方銀行協会が月次で公表する地方銀行の主要勘定によると、地銀64行が保有する外国証券は、今年(2017年)1月時点で12.7兆円。リーマンショック後の2011年や2012年の頃の外国証券保有額は6兆円前後だっただけに、地銀が当時の水準(6兆円前後)まで外国証券の保有額を削減し、削減分を円建て資産に換える可能性も考えられなくはない。

 しかし仮に地銀が外債を中心に外国証券の保有額を削減し、削減分を円建て資産に換えたとしても、円相場に与える影響は限定的と思われる。地銀による外債投資の多くは、為替ヘッジ付きであるほか、地銀による外債売却の規模は(そもそも)大きくならない可能性が高いからだ。

 ヘッジ付き外債投資とは、外貨建債券への投資の際に為替ヘッジをつけることで為替変動によるリスクを回避すること。為替ヘッジは為替先物予約で外貨を自国通貨に交換する契約を結ぶことで実施されるため、ヘッジ付きの外債投資は、為替市場の需給に対し中立的と考えられる。

 地銀による外債投資のうちヘッジ付きの割合を正確に把握することはできないが、大手生保の運用計画などから推察すると、少なくとも外債投資の4割程度はヘッジ付きと思われる。つまり地銀が保有する外国証券(約13兆円)のうち5兆円程度は、たとえ売却されたとしても為替市場の需給に影響を与えない。

 地銀が保有する外国証券のうち、残り8兆円が外貨建てであるとし、その半分の4兆円が売却されると考えてみよう。しかし、その場合でも、円高圧力が強まるとは考えにくい。たとえ金融庁の検査が入ったからと言って、地銀「全体」が保有する外国証券を我先にと慌てて短期間で売却するわけではないからだ。たとえばリーマンショックで金融危機が世界的に広がった2008年の時ですら、地銀64行が売却した外国証券額は合計1.6兆円(月平均で1400億円)程度に過ぎなかった。

 日本の国際収支統計によると、昨年11月から今年1月までの3カ月の間、日本の証券投資は月平均4.1兆円(3カ月計で12.2兆円)の売り越し。この影響もあってか、ドル円は今年1月に高値の118円から112円に下落したが、2月は111円台半ば近辺を底に下げ渋り。3月は一時115円台に回復している。数カ月間に実需で数兆円の円買いが発生すれば円高の動きも強まるだろうが、地銀全体が外国証券を数千億円程度売却したとしても、それで円高が大きく進むとは考えにくい。

 そもそも地銀が外債投資を積極化させた背景には円債利回りの低下がある。日本の10年債利回りは今年に入って概ね+0.05~+0.10%の範囲で推移。地銀全体が、リスク管理の観点から保有する外国証券を多少削減することはあっても、外国証券を積極的に売却し、0.1%に満たない円債を買い進めるとは考えにくい。

 今後ありうるとすれば、金融庁が地銀にクギを刺したことで、地銀による外債投資が抑制され続けることだろう。ただ日本国債の利回りが日銀の金融政策によって低水準に抑えられる一方で、米国を中心に外債利回りが上昇する環境が続く以上、大手銀行や生保といった他金融機関は、これまでと変わりなく淡々と外債投資を広げていくと予想される。金融機関全体で外債売却が進み、円高圧力が強まるとの展開は、杞憂に終わると思われる。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2017年3月13日)



 3月13日のロンドン市場はドルが対ユーロ、対ポンドで買い優勢となる一方、対円では上値の重い動きとなった。

 ユーロドルは取引中盤まで下落基調が続き、1.07ドルちょうど近辺から1.06ドル台後半に下落。この日はドイツで主だった経済指標の発表がなく、やや材料難。ユーロの高値警戒感からロンドン市場に入ってから、ユーロは売り優勢となった。取引後半のユーロドルは1.06ドル台後半で動意に欠けた。

 ポンドドルは取引前半に1.22ドル台前半で上値の重い動き。中盤は1.22ドル台前半で下げ渋ったが、後半には一時1.22ドルちょうどに下落。終盤は1.22ドル台前半で上値が抑えられた。スコットランドのスタージョン行政府首相は、英国からの独立を問う2回目の住民投票実施に向けた法的手続きを開始すると表明。ポンドの上値を重くした。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2017年3月13日)

 新興国通貨は対ドルで方向感に欠ける動き。ただ先週末終値からの変化は比較的小幅で総じてみれば、様子見姿勢の強い展開だった。

 MYRは対ドルで0.2%の上昇。
1月のマレーシア鉱工業生産は前年比+3.5%と市場予想や前月を下回った。

 BRLは対ドルで0.3%の下落。
ブラジル中銀による週次エコノミストサーベイでは今年末までの政策金利見通しが9.00%に下方修正。3月12日までのブラジル貿易収支は24.2億ドルと黒字拡大ペースが前月より加速した。

 MXNは対ドルで小幅上昇。
2月のメキシコANTAD既存店売上高は前年比2.7%増と市場予想を下回り、6カ月ぶりの低い伸びに鈍化した。

 TRYは対ドルで0.2%の下落。
1月のトルコ経常収支は27.6億ドルの赤字と赤字額が市場予想を下振れた。

 ILSは対ドルで0.2%の上昇。
2月のイスラエル貿易収支は14.3億ドルの赤字と赤字額が前月から拡大。イスラエル中銀は会合議事録(2月27日結果発表分)を公表。政策金利の据え置きはメンバー4名全員による全会一致。最近のILS高がインフレの目標水準への到達を遅らせる要因になるとの指摘があった。

コロラド大学がミシガン病院で行った調査では、夏時間開始翌日の月曜日に心臓発作が25%
増加したとの結果が示されているそうです。気を付けたいと思います。もう遅いか。

本日もよろしくお願いいたします。

2017年3月13日月曜日

安定的な動きを維持するとみられる韓国ウォン(KRW)

 韓国の憲法裁判所は3月10日、職務停止中の朴槿恵大統領の罷免を認めるとの審判結果を発表した。これにより朴大統領は即時失職。次期大統領選は、5月9日の実施が有力視されている。

 韓国世論調査専門機関「リアルメーター」によると、次期大統領選に立候補が予想される候補者のうち支持率が高いのは以下5人である。

1位(36%):文在寅(ムン・ジェイン)「共に民主党」元代表
2位(14%):黄教安(ファン・ギョアン)首相(大統領権限代行)
3位(13%):安煕正(アン・ヒジョン)忠清南道知事
4位(11%):李在明(イ・ジェミョン)京畿道城南市長
5位(10%):安哲秀(アン・チョルス)「国民の党」前共同代表

(注)カッコ内数値は支持率
(出所)リアルメーター

 上記5名のうち文在寅氏、安煕正氏、李在明氏は、最大野党「共に民主党」に所属。唯一の保守系候補とみなされる黄教安氏が、現時点でも次期大統領選への出馬の意思を明らかにしていないこともあり、4月に実施されるとみられる共に民主党の予備選が事実上の次期大統領選になるとみられている。

 共に民主党に属する3候補は、いずれも朴前大統領の政策を否定し、北朝鮮に対しては融和的な姿勢を示している。一方、2015年に日韓で合意された慰安婦合意に対しては否定的だ。また韓国への配備が進められている高高度ミサイル防衛システム(THAAD)について、文在寅氏は配備の再検討を示唆している。このため外交関係の有識者を中心に、韓国の政権交代で韓国の地政学的リスクが高まるとの見方が示されている。

 中長期的には、こうした指摘が現実のものとなり、韓国ウォン(KRW)安・円高の流れが強まる恐れがある。ただ短期的には、今回の朴大統領罷免を機にKRWは底堅さを増すと予想される。

 次期大統領選で共に民主党系の候補が勝利したとなれば、大統領就任当初の支持率は非常に高いものになる可能性が高い。日本のメディアは、日韓関係の悪化を懸念する声を強めるかもしれないが、韓国内政の安定化は為替市場にとってKRW買い材料となる。

 朴前大統領が職務停止の間も韓国のファンダメンタルズは強固なままだった。2月の韓国貿易収支は72.2億ドルの黒字と黒字額が急増。1月の同国鉱工業生産は前年比+1.7%と市場予想を下回ったが、前月比では+3.3%と高い伸びとなった。

 インフレ圧力はやや強まったが、KRW売りの材料にはなりにくい。2月の韓国CPIは前年比+1.9%と前月に続き2%近くの伸びとなったが、コアCPIは同+1.5%と昨年後半とほぼ同じ伸び。デフレ圧力の後退で韓国中銀による利下げ観測も後退している。

 米国を中心に世界景気が安定感を増しており、外需主導の韓国経済の先行き懸念は高まりにくい。韓国次期大統領選や北朝鮮の軍事挑発など、韓国の地政学的リスクは高まっているものの、KRWは安定的な動きを維持するとみられる。今年前半のUSD/KRWは1100~1200のレンジ内での推移が見込まれる。