2014年8月1日金曜日

東京電力から福島県の個人に支払われた賠償金で拡大した福島県経済

 福島第一、第二原発事故(以下、原発事故)による放射能汚染に対する賠償金の使い道について日本の一部メディアが報じた内容が話題になっているようです。報道では、楢葉町からいわき市に避難した家族が一時、月収200万円になったことを紹介し、現在でも家賃、所得税、住民税、医療費が免除されていると説明しています。また原発事故による避難者が、賠償金を元手に高級外車や高級腕時計の購入や、ギャンブルや遊興に勤しんでいるとも報じられています。また震災から半年は賃貸物件に人気が集中したものの、その後は中古住宅が売れ始め、震災から2年経つと、土地の購入が増えたという不動産業者のコメントも掲載されています。

 避難者による浪費の真偽は定かではないにせよ、福島県景気が全国平均に比べ堅調のように見えるのは否定できないと思います。経済産業省が発表する大型小売店販売額をみると、福島県は消費税率引き上げの影響で今年4月は前年比2.4%減に落ち込みましたが、5月は同3.6%増、6月は同2.7%増と2カ月連続の前年越え。一方、全国は4月から3カ月連続の前年割れです。住宅着工件数をみると、2012年以降、福島県は全国平均を大きく上回る伸びを続けています。



 東京電力は、原発事故で避難を余儀なくされた個人、法人、個人事業主などに対し、2011年10月から(仮払いではなく本払いとして)賠償金の支払いを始めています。個人に対する賠償金は、避難生活等による精神的損害、就労不能損害、その他実費(避難・帰宅等に係る費用相当額、家賃に係る費用相当額)などに対して支払われています。

 東京電力がこれまで支払った賠償金総額は、今年7月25日現在、約4兆1,099億円。そのうち1兆8,002億円が個人に支払われていますが、自主的に避難した個人に対しては別に計3,530億円も支払われており、計2兆1,532億円(総賠償金額の52.4%)が個人に支払われたことになります。

 東京電力の資料によると、同社が支払う賠償金の75%が福島県向けであり、そのうち70%が個人向けとあります。福島県在住の個人が受け取った賠償金額は約1兆1,304億円(=2兆1,532億円×75%×70%)と推計され、今年4-6月期は(月によってバラつきがあるものの)月間700億円強が支払われていると考えられます。


 福島県在住の個人に支払われた賠償金の一部は預金に回っています。福島県の個人預金残高をみると、原発事故発生以降、増加基調で推移。特に2013年に入ってからは着実に拡大を続けています。


  もちろん福島県の個人預金の増加分が全て東京電力から支払われた賠償金によるものではありません。しかし福島県の個人預金の伸びが原発事故以降に全国の伸びを上回り続けていることから、賠償金が個人預金の伸びを後押ししていると考えられます。


  東京電力から支払われた賠償金のうち、どの程度が福島県の個人消費や住宅着工に回ったかは、支払われた賠償金から賠償金によって増えたであろう個人預金を差し引くことで推計できます。

 たとえば昨年度(2013年度)をみると、支払われた賠償金総額は1兆5,714億円。そのうち福島県在住の個人に支払われたのは約8,250億円(=1兆5,714億円×75%×70%)と推計されます。同年度に個人預金は3,063億円(前年比7.2%)増えていますが、そのうちの一部は賠償金の支払いとは無関係に増えた可能性もあります。そこで、ここでは全国の個人預金の伸び(前年比2.8%増)を賠償金とは無関係に伸びたと仮定し、差分となる1,874億円が賠償金支払いによって増えた個人預金額とします。8,250億円から1,874億円を差し引いた6,376億円が福島県の個人消費や住宅着工に回ったと試算されます。県民一人当たりにすると32万円。2011年度の福島県の県内総生産(GDP)は6兆4,324億円ですから、上記試算によると、東京電力による賠償金支払いによって、福島県の県内総生産(GDP)は9.9%も押し上げられたことになります。仮に個人預金の伸び全てが賠償金支払いによるものと仮定しても、2013年度に福島経済(個人消費と住宅着工)に流入したマネーは5,187億円(=8,250億円-3,063億円)と試算され、2011年度の福島県・県内総生産(GDP)の8.1%となります。

 こうした試算は、かなりラフなものですから、賠償金の支払いだけで福島県の経済規模が1割近く押し上げられた、という結果は、やや過大なものである可能性があります。ただ、東京電力による賠償金の規模が莫大であるのも事実で、程度の差こそあれ、東京電力による賠償金の支払いが、福島県経済に大きな影響を与えていることは否定できないと思われます。

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年7月31日)

 新興国通貨は対ドルで3日続落。米債利回りが底堅く推移したことで、この日も新興国通貨は軟調な動きとなった。

 BRLは対ドルで1.0%の下落。6月のブラジルPPI製造業は前年比+5.04%と昨年7月以来の伸びに鈍化。同月同国の基礎的財政収支は21億レアルの赤字と赤字額が市場予想を上回った。

 COPは対ドルで0.3%の上昇。コロンビア中銀は市場予想通り政策金利を25bp引き上げ4.25%にすると発表。同中銀のウリベ総裁は今年の同国成長率見通しを4.2~5.8%に上方修正したことを公表。第2四半期成長率は4.3%近辺になり、インフレは年末には3%近辺に鈍化するとの見方を示した。また同国カルデナス財務相はドル買いプログラムの規模を引き上げたことがCOP安の動きをサポートしているとの見解を示した。

 CLPは対ドルで小幅上昇。6月のチリ失業率は6.5%と市場予想通り前月から悪化。チリ中銀は会合議事録(7月15日開催分)を公表。この会合では25bpの利下げが決定されたが、メンバーの一人は経済指標の結果から考えて金利据え置きが妥当との見解を示し、会合内で金利据え置きについて議論されたことが明らかとなった。

 ZARは対ドルで0.6%の下落。6月の南アフリカPPIは前年比+8.1%と市場予想を上回るペースでの鈍化。同月同国の貿易収支は2億ランドの赤字と赤字額が市場予想を大きく下回る好結果。ただ前月分は赤字額が上方修正された。

 TRYは対ドルで0.4%の下落。7月のトルコ消費者信頼感は73.9と前月から小幅上昇。TRYはNY市場に入ると売り優勢となった。

 CZKは対ドルで0.5%の下落。チェコ中銀は市場予想通り政策金利、CZKの対ユーロ上限をそれぞれ据え置き。同中銀はCZKの対ユーロ上限を2016年より前に終了させることはないとの意向を示した。また同中銀は今年の成長率見通しを2.9%に上方修正する一方、来年の見通しを3.0%に下方修正。同中銀のシンガー総裁はCZKの対ユーロ上限の変更に関して目立った議論はなかったことを明らかにした。

 PLNは対ドルで0.6%の下落。7月のポーランド中銀インフレ予想は前年比+0.1%と市場予想を下回り、過去最低を更新。ポーランドのディスインフレ傾向の継続が示された。

米国のハイウエーで黒装束に身を包んだ女性がネットで話題になっているそうです。実在する人物のようですね。この報道を見て、ふと、口裂け女の話を思い出しました。小学生のころ、口裂け女は100メートルを6秒で走ると友達から教えてもらったことも思い出しました。

ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年7月31日)

 7月31日のロンドン市場はユーロがじり安の動きとなった。7月のドイツ失業者数は1.2万人減と3カ月ぶりの減少。ユーロドルは指標発表後に1.34ドルちょうど近辺に小幅上昇したが、その後発表された7月のユーロ圏CPIは前年比+0.4%と市場予想を下振れ。ユーロは上値が抑えられる動きとなり、ユーロドルは取引中盤には1.33ドル台後半に下落。その後も同水準でじり安の推移を続けた。

 一方、ドル円は102円台後半で底堅く推移。ドイツ株、日経平均先物はともに小幅マイナス圏での推移となったが、米債利回りは下値を固める動き。米FRBによる利上げ期待がドルをサポートした。

 NY市場は取引前半こそドル買い優勢となったが、中盤以降は伸び悩む展開となった。米新規失業保険申請件数は30.2万件と市場予想を小幅上回る結果。ただ4週平均は30万件を下回り2006年4月以来の低水準となった。同時に発表された第2四半期の雇用コスト指数は前期比+0.7%と2008年第3四半期以来の高い伸び。労働コスト上昇で米FRBが利上げに前向きになるとの見方も一部から指摘され、両指標発表後にドルは買い優勢に。ドル円は103円ちょうど近辺に上昇する一方、ユーロドルは1.33ドル台後半で小幅下落した。しかし上昇した米債利回りが低下に転ずるとドル買いの動きは一服。その後発表された7月のシカゴ購買部協会指数が52.6と市場予想を大きく下回り、昨年6月以来の低水準に落ち込むとドルの上値は重くなる展開に。ドル円は取引中盤以降、102円台後半で推移。ユーロドルは一時1.34ドルちょうど近辺に反発。その後は1.33ドル台後半で底堅く推移した。

 前日発表の米GDPやFOMCを契機にドル買いムードが強まるとの見方もあったが、米債利回りは予想以上に伸び悩む動き。欧米株は大きく下げ、市場のリスク選好姿勢が強まることは期待しにくい状況。本日東京市場でのドル円は103円台に再トライする動きが出るかもしれないが、米債利回りの伸び悩みを背景に上値は抑えられやすいと予想される。一方、ユーロは欧米金融政策の方向感の違いを背景に上値の重い動きが続く見込み。アジア通貨は欧米株の下落を受けて対ドルで軟調な推移が予想される。

2014年7月31日木曜日

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年7月30日)

 新興国通貨は対ドルで続落。米GDPの好結果を受けて米債利回りが上昇。新興国通貨を下押しした。

 BRLは対ドルで0.7%の下落。USD/BRLは一時2.26近辺まで上昇する場面もあった。7月のブラジルIGP-Mは前年比+5.32%と市場予想を下回り、昨年10月以来の低い伸び。卸売・生産者段階でのブラジルインフレ圧力の後退を印象付けた。

 CLPは同1.2%の下落。6月のチリ製造業指数は前年比-0.7%と市場予想に反し前年割れ。同月同国の小売売上高は同2.3%増と市場予想を下回る弱い伸び。チリ景気の低迷が嫌気されCLPは指標発表後、下落基調で推移した。

 ZARは対ドルで0.6%の下落。6月の南アフリカ発電量は前年比3.1%減と7カ月ぶりの大幅な落ち込み。同月同国の電力消費は同2.7%減と昨年2月以来の落ち込み。南アフリカ景気の先行き不透明感が強まった。6月の南アフリカ財政収支は276.6億ランドの黒字と市場予想を上回る黒字となったが市場の反応は限定的だった。

 RUBは対ドルで0.2%の下落。米ルー財務長官はロシアに対する経済制裁は国際社会の結束と、ますます深まるロシアの孤立を示す狙いがあると説明。ロシアが危機解決に向けて措置を講じない場合、米国は新たな行動をとる用意があると警告した。G7首脳はロシアがウクライナへの政策を変更しなければ、ロシアに対する一段の経済制裁を導入するとする共同声明を発表した。

 HUFは対ドルで0.3%の下落。ハンガリー中銀のBartfai-Mager委員は現地メディアとのインタビューでHUF安はロシア・ウクライナ情勢の緊張によるもので、ハンガリーのファンダメンタルズの観点からは正当化できないと発言。また同国のデフレリスクはみられないとの認識も示した。

東京地方は今日も夏らしい天気となる見込み。近所の神社でもセミの鳴き声が聞こえてきます。私は仕事で泣かないようにがんばります。

ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年7月30日)

 7月30日のロンドン市場はドル買い優勢の動き。ドル円は102円台前半で底堅く推移。一方、ユーロドルは1.34ドルちょうど近辺で上値の抑えられる動きを続けた。この日発表予定の米経済指標や翌日未明発表のFOMC声明に対する期待感から米債利回りはじり高の推移。ドイツ株、日経平均先物も底堅い動きとなりドルをサポートした。第2四半期のスペインGDPは前年比1.2%増と市場予想を上回り、6年ぶりの1%台成長を記録。ただ7月のドイツ各州CPIは前年比で多くが前月より鈍化。ユーロの重石となった。

 NY市場は米経済指標の結果を受けてドルが上昇した。7月の米ADP雇用統計では民間雇用者数が21.8万人増と市場予想を下回る伸び。ただ、米GDP発表前ということもあって市場の反応は限定的だった。第2四半期の米GDPは前期比年率4.0%増と市場予想を大きく上回り3四半期ぶりの高い伸び。個人消費が同2.5%増と市場予想を
上回り景気をけん引した。また前期成長率も同2.1%減と従来の2.9%減から上方修正された。米景気の拡大基調が確認されたことでGDP発表後、ドル買いが先行。ドル円は102円台前半から102円台後半に上昇。その後、上昇一服となる場面もみられたが、取引後半にかけては103円ちょうど近辺に一段高となった。一方、ユーロドルは1.34ドルちょうど近辺から1.33ドル台後半と昨年11月12日以来の低水準に下落した。

 取引終盤にはFRBがFOMC結果を発表。市場予想通り資産購入額を現行の月額350億ドルから100億ドル減らし250億ドルにし、FFレート誘導目標を現行の0~0.25%に据え置くことを決定した。声明では労働市場の状況改善に伴い失業率は低下しつつあるほか、インフレ率は上昇していると指摘。インフレはFOMCの長期目標に多少近づいたとし、インフレリスクを注視するとした前回の認識を改めた。しかし一方で、米雇用の現状について、労働力の著しい未活用が残ると指摘。緩和終了後も相当の期間、ゼロ金利政策を堅持するとの文言も盛り込まれた。なおフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁は、同文言を声明に盛り込むことに反対票を投じた。

 FOMC声明が一部の期待ほどタカ派色が強くなったこともあり、米GDP発表後に続いたドル買いの動きは一服。ドル円はFOMC結果発表後、103円ちょうど近辺から102円台後半に下落。一方、ユーロドルは1.34ドルちょうど近辺に反発した。

 米GDPは好結果に終わったが、在庫寄与が1.7%ptもある点には要注意。米景気の拡大基調は確認されたものの、拡大ペースは市場やFRBの見込みとほぼ同じものと考えるべきと思われる。現に米債利回りは上昇したものの、FOMCを受けて上昇一服。本日東京市場でのドル円は102円台後半での揉み合いが予想される。一方、ユーロは欧米金融政策の方向感の違いを背景に上値の重い動きが続く見込み。アジア通貨は米景気の拡大が好感され対ドルで底堅い動きが見込まれる。

2014年7月30日水曜日

強く期待することは難しい7月からの日本景気の回復

30日に発表された6月の日本・鉱工業生産は前月比-3.3%と市場予想を上回る落ち込みとなり、東日本大震災発生後、最も大きな落ち込みとなりました。鉱工業生産の季節調整済み水準は96.7と100を下回り、今年1月に記録した103.9から6.9%も低下したことになります。

生産よりも落ち込みが厳しいのが鉱工業生産者出荷です。6月分は前月比-1.9%と5カ月連続の低下。結果として在庫は季節調整済み水準で110.5と2012年11月以来の水準に積み上がっています。生産と出荷の低下、在庫の積み上がりという現象から機械的に考えれば、日本景気は今年2月から後退局面に入ったかのようにみえます。

ただ日本の金融市場は日本景気の先行きを悲観視していないようです。為替市場ではドル円を始め円相場は鉱工業生産に対し目立った反応を示しませんでした。円債市場は買い優勢(利回り低下)となっていますが、日本株市場は米国株が下落したにもかかわらず小幅ながらプラス圏で推移しています。

日本景気の先行き懸念が高まらない理由として、鉱工業生産と同時に発表された製造業工業予測調査で7月、8月の生産拡大が示されたからと思われます。同調査によると製造工業の生産は7月に前月比+2.5%、8月に同+1.1%と2カ月連続のプラスが見込まれています。生産用機械や化学工業が生産をけん引するとの見通しが示されています。

ただ製造工業予測調査は今年に入って下振れることが恒常化しています。たとえば製造工業生産予測指数は4月から3カ月連続で実績を2%程度下回っています。7月の予測指数は前月調査から下方修正されています。生産予測指数で7月、8月と2カ月連続の増産が示されたからといって、7月からの日本景気の回復を強く期待することは難しいように思われます。

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年7月29日)

 新興国通貨は対ドルで下落。EUのロシアに対する追加制裁の合意で新興国通貨は売り優勢の動きとなった。

 BRLは対ドルで0.4%の下落。6月のブラジル融資残高は前月比0.9%増と前月と変わらず。IMFエコノミストはブラジル当局にファンダメンタルズに反する為替介入を控えるよう指摘。ブラジルの対外ポジションは望ましい水準に比べ弱く、国民貯蓄率をもっと高めるよう努力すべきとの見解も示した。

 COPは同0.5%の下落。ムーディーズはコロンビア債格付けを従来の「Baa3」から「Baa2」に一段階引き上げ。見通しは「安定的」とした。同社は格上げの理由としてコロンビアの力強い成長の原動力が持続すると予想。健全な財政運営が抑制された財政赤字につながっていると指摘した。

 ZARは対ドルで0.4%の下落。6月の南アフリカM3は前年比7.24%増と市場予想を下振れ。ただ同時に発表された同月同国の民間部門信用は同8.69%増と市場予想を上回り、2カ月連続の加速となった。第2四半期の南アフリカ失業率は25.5%と市場予想を上回り、2012年第2四半期以来の高水準に上昇した。

 CZKは同0.3%の下落。チェコ中銀はCZK安策を2015年第2四半期まで継続すると改めて表明。また同策の延長の可能性もあるとし、ディスインフレリスクがより強まれば、CZKの対ユーロの上限を引き上げる必要性も増すとの見解を示した。

書籍販売で有名なオンライン小売大手企業が3Dプリンタでイヤリングなどを復元するサービスを開始したそうです。なんでもカスタマイズですね。

ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年7月29日)

 7月29日のロンドン市場はドル、ユーロともに小動き。ドル円は取引序盤に102円ちょうど近辺から101円台後半に下落したが、その後持ち直し、引けには再び102円ちょうど近辺に上昇。一方、ユーロドルは1.34ドル台前半での推移を続けた。米債利回りの低下がドルの上値を重くしたが、ドイツ株、日経平均先物はともに底堅く推移。ドル売りの動きが強まることはなかった。

 ポンドは下落。ポンドドルは1.69ドル台後半から1.69ドル台半ば近辺に下落した。6月の英住宅ローン承認件数は6.72万件と市場予想を上回り4カ月ぶりの高水準。指標発表直後はポンド買いの動きが強まったが、買い一巡後は一転して売り優勢の動きが続いた。

 NY市場はドルが上昇。ドル円は102円ちょうど近辺から102円台前半に小幅上昇。一方、ユーロドルは1.34ドル台前半から取引中盤には1.34ドルちょうど近辺に下落。後半も同水準で上値の抑えられる動きが続いた。5月のS&Pケースシラー住宅価格指数は前年比+9.34%と市場予想を下回り、昨年2月以来となる一桁の伸び。ただ、その後発表された7月の米消費者信頼感は90.9と市場予想を上回り、2007年10月以来の高水準を記録。ドルをサポートした。

 EUはロシアに対し大規模な追加経済制裁を実施することで合意。追加制裁は石油、金融、防衛、民生軍事など幅広い分野の企業が対象で、ロシアの国営銀行は欧州金融市場での資金調達が禁止される。ロシアの政府系金融機関はEU域内で必要な資金の約半分を調達しており、アジアなどの市場では完全には代替できないとみられている。一方で、民間企業の株式やロシア国債の購入は禁止されない。EUがロシアに対し大規模な追加制裁に踏み切るとの報道が広がると、ドル円が102円ちょうど近辺まで下落する場面もみられたが、ドル売りの動きは限定的だった。

 EUがロシアに対し大規模な追加制裁の実施に合意したことで市場のリスク回避姿勢はやや強まる格好。米債利回りの下落もあってドル買いの動きは強まりにくい。ただ、明日(31日)未明発表のFOMCを見極めたいとの思惑も強く、本日東京市場でのドルとユーロはともに方向感に欠ける展開が予想される。アジア通貨も対ドルで様子見姿勢が強まると思われる。

2014年7月29日火曜日

8月中旬くらいから動きそうな円相場

29日に発表された6月の日本・小売業販売額は前年比0.6%減と3カ月連続の前年割れとなりました。同月同国の二人以上世帯の実質消費も同3.0%減と3カ月連続の前年割れ。消費税率が5%から8%に引き上がってからの3カ月間、日本の消費は低迷を続けていることになります。

メディア等々では足元での消費低迷を「消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動減」が続いている、と表現するかもしれませんが、事実を正確に表現しているとは思えません。CPIが消費税率引き上げ後に前年比3%以上の上昇を続けている一方で、一人当たり名目賃金の伸びが1%を下回る伸びとなれば、消費が低迷するは自然のこと。消費税引き上げ効果を取り除いてもCPIは前年比1%以上の伸びを示しているわけですから、一人当たり名目賃金はCPIの伸びに負けています。仮に消費税率が引き上げられなくても、消費はいずれ低迷すると考えるべきだったと思います。

日本株が伸び悩んでいるのも消費低迷の原因の一つでしょう。日経平均株価は1万5500円台を回復しましたが、それでも年初来4%の下落。昨年は日本株が大きく上昇したことで、いわゆる資産効果が生じ、消費を押し上げましたが、今年は昨年のような資産効果を期待するのが難しい状況です。

6月の日本・失業率は3.7%と前月から0.2%pt上昇しました。職探しを始めた方は増えたものの、人気の高い正規雇用は前年比2万人減と増えないまま。非正規雇用は同36万人増と拡大基調を続けていますが、職探し中の労働者の受け皿になり切れていません。

日銀の黒田総裁は日本景気が7-9月期(第3四半期)には再び成長軌道を取り戻すと言明しているだけに、今回(6月)の結果から動くことはできず、当面は様子見姿勢を維持すると思われます。為替市場は29日に発表された日本の経済指標に大きな反応を示しませんでした。おそらく日銀・黒田総裁と同じように7月の日本の指標を見極めたいとの思惑が強いのでしょう。

ただ、7月に入って日本の消費が6月から一気に拡大している、という報道を目にすることもなく、私の周囲の経済状況にも大きな変化が生じた様子もないことから、7月以降に日本景気が成長軌道を取り戻す、という見方が怪しくなってきた気がします。7月の指標が発表され始める8月の中旬あたりからは、これまで動きが少なかったドル円を含め、円相場が動き始めるかもしれません。ちなみに8月8日は日銀の金融政策決定会合と7月の景気ウォッチャー調査、8月11日は7月の消費者態度指数、8月13日には4-6月期(第2四半期)GDP。がそれぞれ発表されます。

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年7月28日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。ロンドン・NY市場を通じ、株式、債券両市場とも方向感に欠けたまま。新興国通貨は個別材料に反応する展開となった。

 BRLは対ドルで0.3%の上昇。ブラジル中銀の週次サーベイではインフレ見通しが小幅下方修正。他見通しはほぼ前週から変わらずだった。ブラジルのルセフ大統領は一部メディアとのインタビューで政府として社会福祉プログラム「ボルサ・ファミリア」の拡充を検討していることを明らかにした。

 RUBは対ドルで1.0%の下落。USD/RUBは5月上旬以来となる35.5台に上昇した。ロシアが領内からウクライナに砲撃したことを示すとする衛星写真を米国が公開。英仏独伊米の5カ国首脳は電話会談でロシアに対する追加制裁を導入することで一致。ロシア景気の悪化懸念がRUBを下押しした。

 ZARは同0.5%の下落。南アフリカ金属労働者組合(NUMSA)は金属業界の賃金交渉で合意。4週間続いたストライキは終結する見通しとなった。同合意の発表後、ZARは下げ渋りの動きに転じた。

 ILSは対ドルで変わらず。イスラエル中銀は市場予想に反し政策金利を25bp引き下げ0.50%にすると発表。予想外の利下げを受けてILSは売りが先行したが、売りの動きは長く続かず、ILSは利下げ発表後の水準に値を戻した。

昨日の東京地方は久しぶりに涼しい朝となりました。今日も昨日並みの気温が見込まれていますが、熱中症対策は引き続きお願いいたします。

ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年7月28日)

 7月28日のロンドン市場は東京市場に引き続きドル、ユーロともに動意に乏しい展開となった。ドル円は101円台後半、ユーロドルは1.34ドル台前半での推移。この日はユーロ圏主要国で主だった経済指標の発表がなく材料難。ドイツ株、日経平均先物はともに小動き。米債利回りも動意に乏しく、市場は様子見姿勢が強かった。

 NY市場では取引前半にドルがやや売られる場面がみられたが動きは限定的。取引中盤にはドルは持ち直し、総じてみればドル、ユーロともに方向感に欠ける動きが続いた。6月の米中高住宅販売成約指数は前月比-1.1%と市場予想に反しマイナス。指標発表後、米債利回りが低下し、ドルの重石となったが、同指標の前年比は-4.5%と市場予想ほどの落ち込みを示しておらず、その後発表された7月のダラス連銀製造業活動指数は12.7とほぼ市場予想通りで、2013年9月以来の高水準を記録。ドル売りの流れは強まらず、NY市場全体を通じ、ドル円は101円台後半、ユーロドルは1.34ドル台前半での推移となった。

 ポンドは上値の抑えられる展開。ポンドドルはNY市場取引前半こそ1.70ドルちょうど近辺で推移していたが、中盤にはじり安の動きとなり、引けにかけては1.69ドル台後半での推移となった。IMFはこの日公表した英国に関する報告書で、英住宅市場はまだ典型的なバブルの兆候を示していないものの、金融安定へのリスクとなり得ると分析。全体的なポリシーミックスは適切としながらも、迅速な調整が必要となる可能性があると指摘。インフレ率が上昇すれば迅速な政策調整が必要になるかもしれないとし、住宅市場を発端とする金融安定リスクへの取り組みでマクロプルーデンス措置が不十分であれば、利上げを検討する必要もあるだろうと指摘した。また英経済に関しては、力強く回復して見通しは明るいとし、通貨ポンドはやや過大評価されているとの見方も示した。

 米住宅市場の先行き懸念が徐々に強まっているものの、今週はFOMCや米雇用統計を週後半に控え、動きが取りにくい状況。本日東京市場でもドル、ユーロともに動意に乏しい展開が続きそうだ。アジア通貨も対ドルで様子見姿勢が強まる見込み。

2014年7月28日月曜日

個人消費の動向がカギとなるメキシコ景気

 メキシコ中銀は25日、会合議事録(7月11日開催分)を公表した。同議事録によると、メンバー全員が、資本財輸入の増加を根拠に第2四半期のメキシコ景気の改善を見込んでいることが判明。建設業や電力業で景気の底打ち感が示されているとの見方を示した。

 たしかにメキシコ景気は第2四半期に入って底打ち感が強まっている。四半期でみたIMEF製造業指数は第2四半期に51.59と前期の51.08から上昇。昨年は前年割れが頻発したメキシコ鉱工業生産も今年に入って前年越えを記録することが増えてきた。

 ただ同会合議事録では、メキシコ経済の低迷も指摘されている。メンバーの過半はメキシコ経済の弛み(スラック)が数ヶ月前の予想を上回る規模であり、当面は続くとの見通しを示している。また、負の需給ギャップは2015年末まで続き、インフレは今年末には前年比4%を下回り、来年当初は3%近辺まで鈍化するとの見方も示している。

 メキシコ経済の弛み(スラック)の主因は個人消費の低迷にある。6月のメキシコANTAD既存店売上高は前年比0.2%減と3カ月ぶりの前年割れ。5月の同国小売売上高は同1.6%増を記録したが、ANTADと同様に6月は再び前年割れとなるとの見方が強い。6月の消費者信頼感は91.0と4カ月連続で前月から上昇したが、水準は昨年7月に記録した98.0からは大きく低下したままである。

 消費低迷の背景の一つに賃金の弱さがある。6月のメキシコ名目賃金は前年比4.27%増と前月から鈍化。同月同国CPIが同+3.75%だったことから、実質賃金の伸びは非常に緩やかなものであることが分かる。ペニャニエト大統領による構造改革路線は、市場関係者から高い評価を得ているが、メキシコ国民にとっては課税強化を中心に先行き不透明感を強める要因となっている。実質賃金の弱い伸びと相まって同大統領の政策が消費を下押ししている可能性もある。

 メキシコ中銀としては第3四半期も景気拡大基調が続くことを期待して、様子見姿勢を取るしかないだろう。特に個人消費関連指標が非常に重要となる。今週は8月1日に6月の海外労働者送金が発表される。市場予想では前年比4%程度の増加と前月並みの伸びが見込まれているが、予想を上回る伸びとなればメキシコ景気の先行き期待も強まりやすくなる。

 逆に個人消費関連の指標の伸びが精彩を欠いたままだと、メキシコ中銀による追加利下げの思惑が強まるだろう。利上げが続く見込みのコロンビアやブラジルとの金利差拡大も嫌気され、これまで安定感のある推移を続けてきたMXNも軟調な展開に変わると予想される。

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年7月25日)

 新興国通貨は対ドルで売りがやや優勢。米債利回りは低下したものの、欧米株は下落。新興国通貨に対する慎重な姿勢が強まった。

 BRLは対ドルで0.4%の下落。6月のブラジル経常収支は33.45億ドルの赤字と赤字額が市場予想を下回る一方、同月動向の対内直接投資は39.24億ドルと市場予想を上回る結果。ただブラジル中銀は前日引け後にドル買い介入に相当する通貨スワップのロールを7千枚から4千枚に縮小すると通告。取引開始時のBRLは売り優勢。その後は方向感に欠ける動きとなった。

 MXNは対ドルで小幅上昇。6月のメキシコ貿易収支は4.23億ドルの黒字と黒字額が市場予想を下振れ。輸出は前年比7.7%増と2012年10月以来の高い伸びとなったが、輸入が同9.6%増と加速したため貿易黒字が抑えられた。その後、メキシコ中銀は会合議事録(7月11日開催分)を公表。メキシコ経済には依然として弛み(スラック)が残り続けるとみるメンバーが過半を占めたものの、メンバー全員が第2四半期のメキシコ景気の改善を見込んでいることが示された。

 TRYは対ドルで小幅下落。6月のトルコ貿易収支は78.5億ドルの赤字と赤字額が前年同月を下回ったものの、市場予想を上回った。7月のトルコ企業景況感は106.4と2カ月連続の低下。同月同国の設備稼働率は74.9%と前月から小幅低下。トルコ景気の停滞が示された。

 RUBは対ドルで0.5%の下落。ロシア中銀は市場予想に反し政策金利(1週間物レポ入札最低金利)を50bp引き上げ8.00%にすると発表。同中銀は声明で地政学的緊張の悪化やRUB相場動向への潜在的な影響、税制・関税政策変更の可能性によりインフレリスクが高まったと指摘。RUB下落がインフレ加速の原因との見方も示した。またインフレリスクが長引けば利下げを続ける意向も示した。

昨日夕方にものすごい雷雨がくる、と聞いたので自宅で待機していましたが、雨は降らず、単に蒸し暑い夕方を過ごすだけとなってしまいました。

ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年7月25日)

 7月25日のロンドン市場はユーロが下落。ユーロドルは1.34ドル台後半から1.34ドル台前半に下落した。7月のドイツIFO企業景況感は108.0と市場予想を下回り、3カ月連続の低下。ドイツ景気の減速感が嫌気され、ユーロは指標発表後に売りの動きが強まった。

 ドル円は101円台後半から102円ちょうど近辺に小幅上昇。米債利回りが小高く推移するなか、日経平均先物はプラス圏での推移。ドル買いの動きをサポートした。

 ポンドは英GDP発表直後に買いが先行したが一時的。ポンドドルは1.70ドルちょうど近辺から1.69ドル台後半に下落した。第2四半期の英GDP(速報値)は前年比3.1%増と市場予想通りの伸び。ただ前期からは小幅加速した。

 NY市場はドル伸び悩みの展開となった。6月の米耐久財受注は前月比0.7%増と市場予想を上回る伸び。輸送用機器を除いたコア受注も同0.8%増と市場予想を上回った。指標発表直後はドルがやや買われたが、GDP算出に使われる同月同国のコア資本財出荷は同1.0%減と3カ月連続の減少。米債利回りは低下基調で推移し、ドル円は101円台後半に小幅下落。ユーロドルは1.34ドル台前半で下げ渋る動きとなった。

 米経済指標は概ね堅調な推移を続けているが、米債利回りは低位に抑えられたまま。ウクライナ情勢の先行き不透明感もあって市場のリスク選好姿勢も強まりにくい。本日東京市場でもドル円は上値の抑えられる展開となりそうだ。一方、ユーロはユーロ圏景気の減速懸念を背景に上値の重い動きが続く見込み。アジア通貨は欧米株の下落を受けて対ドルで軟調な推移となりそうだ。