2016年1月15日金曜日

盛り上がるかもしれない1月会合での日銀・追加緩和期待

現時点では市場関係者の一部からしか指摘が出ていないようだが、日本の成長率は昨年第4四半期も前期比マイナスとなる可能性が高いと思われる。

日本経済研究センターが公表するESPフォーキャスト調査によると、昨年第4四半期成長率見通しは前期比年率0.63%増と、昨年12月時点の同1.31%増から大きく鈍化。予測値が低い8機関の平均では同0.13%減とマイナスとなっている。

第4四半期も再びマイナスとなる最大の理由は個人消費の悪化だ。家計調査ベースの実質消費支出は、昨年11月が前月比2.2%減と3カ月連続の減少。10~11月平均でみると、7~9月期(第3四半期)から1.8%の減少となっている。

減少ペースが大きいことから、家計調査のサンプルバイアスを指摘する声もあるが、家計調査よりもサンプル数の大きい家計消費状況調査でも支出総額は減少基調で推移しており、家計調査の弱さをサンプル要因のみで説明するのは無理がある。

個人消費だけでなく設備投資も成長率の重石となりそうだ。11月の機械受注(民需除く船舶・電力)は前月比14.4%の大幅減。同指標は9月、10月と2カ月連続で大きく増加したが、11月だけで過去2カ月の増加分を打ち消した。12月が前月比9%以上落ち込まなければ、10~12月期(第4四半期)で前期比プラスとなるが、これは7~9月期(第3四半期)が前期比10.0%減と大きく落ち込んだため。12月の工作機械受注では、内需が前月比6.3%減(前年比11.5%減)と大きく減少したことも考慮すると、12月の機械受注に大きな期待は持ちにくく、第4四半期の設備投資も前期と同様に伸び悩む可能性が高いと思われる。

在庫調整の進展も成長率の下押し要因となるだろう。GDP統計によると、民間在庫は昨年第1四半期と第2四半期に計3.3%もGDPを押し上げ。第3四半期は0.8%の押し下げとなったが、昨年前半の積み上がりを解消したとは言い難い。鉱工業生産指数をみても在庫調整は一半ばで、第4四半期でも民間在庫は成長率を下押しすると予想される。

第4四半期の成長率は、12月の経済指標の結果次第といえなくもないが、これまで発表された12月の経済指標を見る限り、大きな期待は持ちにくい。12月の日経製造業PMIは52.6と11月から変わらず。12月の消費者態度指数も42.7と11月とほぼ同じ。12月のマネーストック(M2)は前年比3.0%増と、市場予想に反し11月から減速した。12月の景気ウォッチャー(現状判断)は48.7と、11月の46.1から大きく上昇したが、第4四半期の平均は47.7と、第3四半期の平均(49.5)を下回っている。今後発表される12月の個人消費関連、設備投資関連の各指標が、第4四半期成長率を大きく押し上げるほどの改善を示すと期待するのは難しいようだ。

第3四半期にプラスに転じた日本の成長率が、第4四半期に再びマイナスとなると、日本景気の伸び悩みが再び注目を集め、日銀による追加緩和観測が盛り上がることだろう。次回の金融政策決定会合は1月29日だが、同じの日の朝に12月の家計調査、鉱工業生産、CPIなど重要指標が相次いで発表される。いずれの指標も弱い結果となれば、市場が日銀の追加緩和期待を大きく強める展開も考えられる。